2023.04.24

スマートシティの事例

スマートシティは都市や地域が抱えている課題に対して、新しい技術を活用することでマネジメントによって最適化を進めることを目的とした都市です。計画や管理、整備などにおいて最適化を進めることによって持続できるまちづくりを目指します。日本では2020年5月にスーパーシティ法案が可決され、さまざまな都市においてスマートシティへの取り組みが進んでいます。

スマートシティに取り組む理由

スマートシティは、ICTやエネルギーなどを活用することによって、住民に必要な情報を提供したり社会において必要なことを効率化したりできる都市です。さまざまな都市でスマートシティに取り組む理由として、防犯体制や交通渋滞の緩和、感染症対策など社会問題への解決が挙げられます。

スマートシティの国内における事例

DATA-SMART CITY SAPPORO

北海道の札幌市では、ICT活用戦略を目的としてイノベーションプロジェクトが進められています。データを活用することで都市課題を解決するほかに、新たな価値を作り上げることも目的です。

札幌市とさっぽろ産業振興財団が共同運営する札幌市ICT活用プラットフォームがイノベーションプロジェクトの中核となっており、データの蓄積や分析、普及促進などをおこなっています。プロジェクトにおけるWebサイトで、生活関連に必要なデータや人口データを可視化できるマップなど、オープンデータを市民に提供しています。

スマートシティさいたまモデル

埼玉県さいたま市ではスマートシティさいたまモデルを展開しており、生活に必要であるすべての情報を網羅的に提供しています。美園地区においては、アーバンデザインセンターみその(UDCMi)を拠点として、まちづくりプロジェクトが進められています。まちに関連するデータを一元化することで、生活支援サービスを展開しています。

健康や移動手段、エネルギーなど生活に必要な分野において、デジタル技術を活用することにより課題となっている点を解決することを目的としています。

スマートシティ会津若松

福島県会津若松市で運営しているスマートシティ会津若松では、2011年3月11日に発生した東日本大震災の復興プロジェクトの一環としてスタートしました。「全国の先端を行く地方創生のモデル都市」を目標としており、地域の発展に向けた取り組みを進めています。全国からデジタル活用の実証事業の誘致をはじめ、スマートシティ会津若松は年々進展しています。

さらに、従来のサービスにデジタル技術を加えることにより利便性を高めたサービスを提供しています。例えば、かかりつけ医とオンライン診療で情報共有できることで、継続した利用をうけやすくなることをはじめさまざまな例があります。

スマートシティたかまつ

香川県高松市では、ICTを活用したスマートシティたかまつを推進しており地域経済の活性化や地域課題の解決を目的としています。市民の必要なデータをIoT共通プラットフォームに集めることで、防災に関連する情報やレンタサイクルの情報などを発信しています。さらに、福祉分野においてバイタルや高齢化の呼吸に関連する情報など、より幅広くリアルタイムで市民に発信することが目的です。

柏の葉スマートシティ

千葉県柏市の柏の葉では、健康長寿や環境共生、新産業創造を目指した都市づくりが進められています。公・民・学が連携することによって、それぞれを横断的に活用できるオープンなプラットフォーム作りが進められています。

柏の葉キャンパス周辺の半径2kmエリアに、病院や商業施設、学校などを集めて人や情報などを集めています。このことにより、さまざまな施設を連携させてデータ収集をしているのです。蓄積したデータを活用して、公・民・学が連携することで地域発展に活かしています。

加古川スマートシティプロジェクト

兵庫県加古川市では「子育て世代に選ばれるまち」を目標として、加古川スマートシティプロジェクトを推進しています。加古川スマートシティプロジェクトは、都市の安全や安心を目的として情報通信技術利活用基盤を使った事業であり、市民に対して有益な情報を提供し生活の質を高めることが目的です。

複数分野においてデータを収集しプラットフォームにて分析したデータを、行政情報アプリである、かこがわアプリをはじめ、さまざまな方法で活用されています。例えば、市内に見守りカメラを設置することで地域の安全を守っています。

スマートシティの国外における事例

アムステルダム(オランダ)

オランダのアムステルダムでは、持続可能である街を目標としてエネルギー消費を見直す取り組みが進んでいます。スマートメーターを導入することによって消費電力を可視化し、市民の環境に対する意識の変革を促進しています。ほかにもスマートビルディングの導入によりエネルギー使用量を抑制したり、EV車をさまざまな場面において活用するなどの取り組みが進んでいます。

マンチェスター(イギリス)

イギリスのマンチェスターは、世界規模レベルの医療機関や大学、研究所などが集中しており環境や医療、交通、文化といった4つの分野においてスマートシティ事業の実証実験が進められています。

医療においては、バイオメトリックセンサネットワークを活用することにより呼吸器疾患患者が健康になるための取組をサポートしています。さらに、コミュニティウェルネスでは運動の状況や効果などを記録するなど、一人ひとりが運動をすることを推奨する活動を進めているのです。

交通においては、Talkative bus stopsを設置して利用客が待っている状況を運転手に知らせたり、バスや自転車専用道路を設置することでバスの利用や自転車シェアリングを進めています。この他にも環境面や文化面においてもさまざまな取組を進めているのです。

エストニア

エストニアは人口130万人、面積は日本の9分の1しかない小さな国ですが、IT国家として知られています。日本でも利用されているSkypeや海外送金サービスであるWiseは、エストニアで誕生したものです。

エストニアの首都であるタリンにて、自動運転バスの実証試験プロジェクトが開始しており、第2の都市タルトゥにて2021年より水素燃料を使った自動運転シャトルバスが運行されています。

まとめ

スマートシティへの取組みを進めることで市民に必要な情報をリアルタイムで提供できることをはじめ、生活の質を高められます。さらに、交通渋滞や感染症対策、災害対策など社会的な解決に繋がるケースは少なくありません。よりスムーズな運用をするために、AI技術やネットワーク技術、センシング技術などが活用されています。

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