- 経営戦略
VUCA時代に求められるスキルと人材
VUCAとは先が予測できない状況のことです。インターネットの普及やテクノロジーの進化により、ものごとの移り変わりが激しい時代へと変化した背景からVUCAは注目を集め、先の予測が困難である時代をVUCA時代と呼びます。
どんな変化にも対応できる力が企業には求められ、組織としてはもちろん、個人単位での対応力やスキルアップが必要です。組織と個人ともに成長しなければVUCA時代で競合他社に勝ち抜くことはできません。求められるスキルは役職や分野によって異なりますが、具体的にイメージできるよう網羅的に把握するべきです。
VUCAとは
VUCA(ブーカ)は先の予測ができない状態を意味し、以下にある4単語の頭文字からつくられた言葉です。
- Volatility(変動性)
- Uncertainty(不確実性)
- Complexity(複雑性)
- Ambiguity(曖昧性)
Volatilityはものごとの急激な移り変わりやすさを意味しており、Uncertaintyは情報源の信憑性が薄いために、確信が持てない状態を意味します。
また、Complexityはものごとが複雑すぎて本質の理解が困難であるといった意味を持ち、Ambiguityは1つの事象に対して考えられる解釈が複数あるため、曖昧であることを意味します。
VUCAが注目される背景
VUCAが注目を集めることになった背景には、時代の変化が挙げられます。インターネットが普及する現代では、消費者のニーズや注目を集めるサービスなど、求められるモノの移り変わりが激しくなっています。
これまでとは変化のスピードが異なり、予想できない出来事が起こるようになった時代はVUCA時代と呼ばれています。企業は激しい変化への早急な対応が必要です。
OODAループ
OODA(ウーダ)ループとは、VUCA時代に最適なフレームワークであり、以下4つの単語の頭文字からつくられた言葉です。
- Observe(観察)
- Orient(状況判断)
- Decide(意思決定)
- Action(行動)
市場や顧客情報を集めるObserveからはじまり、集めたデータを分析し、現状の把握や理解をOrientの過程でおこないます。
次はDecideで情報分析や現状の把握をし、企業の施策を立案したあとActionで実行します。ObserveからActionまでを何度も繰り返し、変化に適応するサイクルをOODAループと呼びます。
求められるスキル
VUCA時代で求められるスキルは次のとおりです。
- 情報収集能力
- 情報処理能力
- 論理的思考能力
- 行動力
- 汎用性の高さ
情報収集能力
情報の収集能力は環境変化の激しい時代を生き抜くうえでもっとも重要です。分析や状況把握、戦略の考案はすべて情報を集めることから成り立っています。
身の周りで起きる出来事の把握や市場や顧客の動きの観察など、さまざまな情報を集める能力を習得する必要があります。効果のある施策の立案や現状の確認、自社の立ち位置を把握でき、VUCA時代でも適応する企業へと成長を促進するはずです。
情報処理能力
数多くの情報を集めたとしても、うまく取り扱わなければ意味がありません。失敗のリスクを下げるためには、膨大な情報量のなかでも正しい判断ができる情報処理能力が求められます。
激しい変化のなかでは、些細なミスが大きな損害につながるケースもあります。どのような事実情報からどんな対策を打てばよいのか最適な判断を下せるよう、判断処理能力は身に付けておくべきです。
論理的な思考能力
論理的にものごとを考える力は仕事や学習など、あらゆる面で重要であり、VUCA時代でも論理的な思考能力は求められます。情報処理によって施策が決まったとしても、あくまで仮説である場合が多く、完璧な選択という訳ではありません。先を予測することはむずかしいですが、限られた情報のなかで最善策を立案するためには論理的思考能力が必須です。
行動力
VUCA時代は環境の変化が激しく、短期間で次から次へとニーズや価値観が移り変わります。変化のスピードに付いていくためには迅速な行動力が必要です。情報収集や計画の立案に時間を使うのではなく、途中段階でもいいので実行に多くの時間を割くべきです。行動しながら改善を繰り返すことで環境の変化に対応できます。
汎用性の高さ
汎用性の高さも重要です。1つのスキルに固執していると、求められなくなったときのリスクは高いですが、複数個のスキルを保有していればリスクを分散できます。日頃から最悪のケースを考え、リスクを回避するべきです。また、複数のスキル習得は価値のある人材への成長を促進します。
求められる人材
スキルも重要ですが、企業の成長に必要な人材についても把握するべきです。
求められる人材は以下のとおりです。
- 適応能力がある
- 責任感がある
- リーダーシップ性を持つ
適応能力がある
適応能力のある人材は、時間をかけずに環境の変化に適応し、円滑に活動を進めることができます。変化に対応し続ける優秀な人材を集めることで、組織としてもか代わり続けるはずです。そのため、企業は従業員を適応能力のある人材へと育成する必要があります。
責任感がある
責任感のある人材はVUCA時代には重要視されます。組織で動くと責任を負う所在が不透明になる傾向があり、事業の責任が誰にあるのか分からないケースがあります。激しい変化のなかでは重大な判断を迫られる場面が多々あるはずですが、迷っている時間はありません。考えた策に責任を持てる方や想定外のリスクにも対応でき、責任をもって活動に取り組む方がVUCA時代には求められます。
リーダーシップ性を持つ
環境ではリーダーシップ性を持つ人材が求められます。活動へ迅速に取り組むには意識や情報の共有が重要であり、組織内での円滑なコミュニケーションを必要とします。率先して周辺の動きをコントロールする代表者がいると、よりスムーズに活動が進むはずです。
組織に求められる取り組み
組織に求められる取り組みは次のとおりです。
- VUCAに対応できる体制を整える
- 施策は日常的に実行する
- 定期的にVUCAを見つめ直す
VUCAに対応できる体制を整えるv
VUCAに対応するためには情報の収集や処理能力、論理的思考能力など、複数のスキルが求められます。もちろん、1人ですべてのスキルを使いこなすことはむずかしく、一定数以上の人材が必要です。
個々のスキルアップや専門部署を立ち上げるといった、組織としての準備を整える必要があります。何が起こるか分からないVUCA時代では、万全な体制で取り組みをおこなうべきです。
施策は日常的に実行する
VUCA時代において環境は定期的に変わります。しかし、変化の移り変わりを確認しない限り、情報を得ることができず、企業が対応する施策を考えるのは不可能です。
そのため、立案した施策は日常的に実行し、小さな変化の流れを見逃してはいけません。市場や顧客から変化を感じ取ることにより、効果のある施策を立案できます。
定期的にVUCAを見つめ直す
VUCAに対する意識を高めるために、定期的に見つめなおす機会をつくるべきです。単に流れ作業としてVUCAへの取り組みをおこなったとしても、従業員がVUCAの重要性を理解しなければ効果的な業務は期待できません。従業員によって企業は稼働しているので、VUCAを浸透させることで、質の高い取り組みが期待できます。
まとめ
VUCAとは先の未来が予測できない状態を意味し、時代の変化が激化した背景から注目を集めます。変化の激しい環境下でも企業が成長し続けるためには、組織としてのスキルアップはもちろん、従業員も個々で力を身に付けることが必要です。
個人では情報の収集や処理能力、行動力などのスキルを求められ、組織では日常的な施策実行やVUCAの見つめ直しといった取り組みが求められます。日々成長を目指す優秀な人材を集め、企業は取り組みを進めるべきです。