2024.04.20

PSIRTとは

PSIRT(Product Security Incident Response Team)とは、自社で製造もしくは販売している製品に対して外的脅威に対するセキュリティ対策をおこない安全確保を保つ組織のことです。デジタル化が進み、電化製品や車などさまざまな製品がインターネットに接続されるようになりました。便利になる半面、サイバー攻撃を受けるリスクが高まることから、需要が高まっています。PSIRTはインシデントの事前対応や発生後の対応、さらに脆弱性の管理をおこなうことによって、製品の安全性を高めます。

PSIRTとは

PSIRT(Product Security Incident Response Team)はIoT機器が普及したことによって、注目されるようになりました。製品に関するセキュリティの脆弱性やインシデントに迅速に対応し、ユーザーのデータやプライバシーを保護する役割を果たしています。

また、IoT機器の複雑性が増すなかで、PSIRTは製品のライフサイクル全体でセキュリティを確保するための戦略的なアプローチを模索しています。そのため、製造段階から販売後のサポートまで、継続的なセキュリティ対策が求められています。PSIRTの存在は、製品の信頼性を高め、ユーザーに安心感を提供する一翼を担っています。

PSIRTの課題として、効率よく自社の製品に関連する情報をスピーディーに入手するかが挙げられます。急速に進化するサイバーセキュリティの脅威に対応するためには、最新の情報が不可欠です。そのため、PSIRTは製品の脆弱性やセキュリティインシデントに関する情報源を適切にモニタリングし、迅速な対応が可能な状態を維持する必要があります。

この課題に対処するために、PSIRTはセキュリティ情報のデータベースや脆弱性データベースへのアクセスを確保し、セキュリティ専門家との協力を強化しています。また、業界全体との情報共有やセキュリティコミュニティへの積極的な参加も重要です。これにより、PSIRTは迅速かつ正確な情報を得て、製品のセキュリティを向上させることが可能となります。

PSIRT構築前に必要なこと

PSIRTを構築する前に運用方針を明確化したうえで、戦略や戦術を設定することが重要です。これにより、セキュリティインシデントに対する一貫性のあるアプローチが確立され、効果的かつ迅速な対応が可能となります。

運用方針の明確化

PSIRT構築前に運用方針の明確化が必要です。運用方針の策定は、迅速で効果的な対応を確実にするために不可欠です。これには、インシデントの報告プロセスや情報共有の手法、担当者の役割と責任の明確化などが含まれます。

運用方針が明確であれば、組織はセキュリティインシデントに対してより迅速かつ組織的に対処でき、影響を最小限に抑えることが期待できます。セキュリティの専門家や関係者と協力し、PSIRT構築前にこれらの基本的な要素を確認することで、セキュリティ体制をより強化できます。

戦略の設定

PSIRTを構築するには、明確な戦略の設定が不可欠です。戦略は、セキュリティインシデントに対処する全体的なアプローチや目標を定義し、組織内での役割分担やプロセスの標準化を含む計画を策定します。

組織の特有のリスクやニーズに基づいて、PSIRTの役割と範囲を明確に定めることが重要です。これには、製品やサービスのセキュリティポリシーの確立や脆弱性の特定から対応、そして改善までの包括的なサイクルの設計が含まれます。

戦略の設定には外部との連携も重要で、セキュリティベンダーやセキュリティコミュニティとのパートナーシップの構築が含まれます。これにより、セキュリティ情報の共有や協力体制の構築が促進され、より広範なセキュリティエコシステムに参加できます。

戦術の策定

PSIRTを構築するには、明確な戦術の策定が必要です。戦術は、セキュリティインシデントに対する具体的な手順やアクションプランを含みます。これは、組織がセキュリティ上の課題に素早くかつ効果的に対処できるようにするための戦略的なプランの一環です。

戦術的なアプローチでは、セキュリティインシデントの検出から対応、解決までの一連のプロセスが詳細に明記されます。これには、脆弱性の特定や修正プログラムの実施、および影響を最小限に抑えるための迅速なコミュニケーション手段の確立が含まれます。

PSIRT導入の目的

PSIRTの導入目的は、企業が製造・販売する商品のセキュリティを確保し潜在的な脆弱性に対処することです。迅速で総合的な対策を通じてセキュリティを管理し、脆弱性が発見された場合には迅速かつ効果的な対応を実現します。

PSIRTを導入することで次のような対策ができ、企業が製造または販売している製品の信頼性向上と顧客満足度の向上を促進し、業界全体での情報共有と共同対応を可能とします。

  1. インシデント事前対応
  2. インシデント発生後の対応
  3. 脆弱性の管理

インシデント事前対応

PSIRT導入の目的の1つとして、インシデント事前対応が挙げられます。インシデント事前対応は、組織がセキュリティに関連する問題に早期かつ効果的に対応できるようにする重要な要素です。

この取り組みには、潜在的な脆弱性の特定と修復、予測されるリスクの評価、セキュリティ意識向上のための教育プログラムの実施などが含まれます。事前の計画によって、組織はセキュリティインシデントのリスクを低減し、被害を最小限に抑えることができます。

インシデント発生後の対応

PSIRTの導入には、インシデントが発生した際に円滑で迅速な対応が可能となるよう、組織内外の連携や情報共有の方法を整備することも重要です。これにより、インシデントの初動段階から迅速な情報収集と分析が可能となり、対策の実施が効果的に進められます。

組織内での連携は、PSIRTが異なる部門やチームと密接に連携し、セキュリティインシデントに対する包括的な理解を構築することを意味します。外部との連携においては、セキュリティベンダー、他の企業、セキュリティコミュニティとのパートナーシップを築くことで、より広範なセキュリティエコシステムに参加し、インシデント情報を共有できます。

脆弱性の管理

PSIRT導入によって、自社で製造または販売している商品の脆弱性を管理することが可能です。PSIRTの導入は、脆弱性の早期発見と対処のための明確な手順を確立し、リスクを最小限に抑える効果的な方法となります。信頼性の高い製品を顧客に提供するためには、PSIRTの導入が必要不可欠です。

また、PSIRTが製品に関するセキュリティ情報を的確かつ迅速に共有することで、業界全体での情報共有や共同対応が促進され、セキュリティの向上につなげることが可能です。PSIRTは脆弱性に対処するために、セキュリティに関連する活動内容や評価指標を明確にして対策を継続することが求められます。

まとめ

PSIRTとは、自社製品を外的脅威から守るためにセキュリティ対応をおこなうチームのことです。このチームは、製品に関連するセキュリティ脆弱性のリスクマネジメントをすることで、もしセキュリティインシデントが発生した場合には、迅速で効果的な対処をおこないます。PSIRTの存在は、企業が製品やサービスのセキュリティを確保し、信頼性を保つために欠かせないものです。PSIRTは継続的な監視と迅速な対応を通じて、製品の安全性を維持し、ユーザーの信頼を確立します。

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