- 経営戦略
生産性向上と補助金
生産量向上とは少ない資源で大きな成果が生み出せるよう業務内容を改善することです。劣悪な労働体制の改善に向けて公表された、働き方改革における施策の1つとして認知は広がり、多くの企業で取り組みが進められています。
しかし、テクノロジーの導入や従業員の育成など、生産量向上には多くのコストが必要です。補助金は返済が不要であるため、うまく活用することで生産量向上に向けた施策の実施が可能になります。
生産性向上とは
生産量向上とは少ない資源を有効活用し、最大限の成果が出せるよう業務を改善することを意味します。これまで長時間労働により従業員の負担は大きく、改善が必要とされてきました。労働環境を大きく変えるために働き方改革が公表され、施策の1つとして生産量向上は認知を広げます。
生産性向上が注目を集める背景には、労働人口の減少と競争の激化が挙げられます。労働人口が減少する日本では、1人あたりの生産量を向上し、利益を生み出さなければなりません。また、グローバル化が進んだことで競合は海外の企業も含まれるため、より強固な競争力を身に付ける必要があります。
生産量向上の補助金
補助金とは事業者の取り組みを補助するために、資金の一部を支援するものです。国や自治体などの組織の目標に合わせて、あらゆる分野で補助金の対象者を募集しており、生産量向上に向けた補助金も存在します。
自社の取り組みとマッチする補助金を探すことで、生産量向上に必要な資本を受け取ることができます。しかし、申請したら必ず受け取れるというわけではなく、補助金には審査が必要です。
補助金を受け取るメリット
補助金を受け取るメリットは次のとおりです。
- 返済が不要である
- 施策内容の価値が向上する
返済が不要である
補助金における1番のメリットは返済が不要である点です。審査に通過すれば、事業拡大に必要な経費の一部を受け取ることができます。融資とは異なり、利子や返済が不要であるため、事業に必要な資本が足りない企業に最適なサポートといえます。
施策内容の価値が向上する
目標達成に向けた企業の施策を見直すことで、より良い内容に改善できます。補助金の審査に通過するためには、質の高い事業計画が必要であるため、施策内容の見直しが重要です。内容に欠陥がないか客観視することで、施策内容の価値の向上につながります。
補助金の種類
補助金の種類の一例として挙げられるものは、次のとおりです。
- IT導入補助金
- ものづくり補助金
- 小規模事業者持続化補助金
IT導入補助金
IT導入補助金とは、業務効率化を目的にITシステムを導入する際、システムにかかる費用の一部を支援する制度です。資本金や従業員数に制限があるため、スケールの大きい企業はIT導入補助金を受け取ることはできません。
ものづくり補助金
ものづくり補助金とは、革新的な商品開発や生産性向上に向け、設備投資する費用を支援する制度です。給付の条件として、高い成長率が予測できる、高い利益の獲得が見込めるなどの施策内容であることが挙げられます。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金とは、スケールの小さい事業者における販路の開拓や商品開発への取り組みを支援する制度です。受給できる会社の規模には制限があるため、資本力の大きい企業は審査を通過することができません。
補助金の受け取り方
補助金を受け取るまでの手順は以下のとおりです。
- 補助金を探す
- 申請する
- 採用が決定する
- 取り組みをおこなう
- 補助金を受け取る
補助金を探す
国や自治体ごとに募集している補助金は異なるため、まずは自社にマッチする補助金を探します。インターネットのWEBサイトから詳細を確認でき、自社の目的に合う補助金を把握してください。補助金の受け取りには審査を通る必要があるので、自社の目的に適した内容でないと、補助金を受け取れません。
申請する
自社にマッチする補助金を探したら、申請をおこないます。申請の際は要項を確認したうえ、応募申請書や事業計画書など、審査に必要な書類を提出します。組織によって申請の仕方は異なるため、申請前に一連の流れの確認は必須です。
採用が決定する
審査に合格すると、申請が採用されます。結果が事務局より通知されるので、受け取ったあと、補助金を受け取る手続きが必要です。国や自治体と企業の双方の意見が合致すると、補助金の受け取りが決定し、取り組みを開始できます。
取り組みをおこなう
採用が決定した施策内容に沿って、実際に取り組みをおこないます。基本的に内容の変更はできませんが、どうしても変える必要がある場合には、施策を実行する前に手続きが必須です。補助金のサポートを受ける経費については後払いであるため、領収書や証拠書類を保管しておく必要があります。
補助金を受け取る
取り組んだ施策内容と経費を国や自治体に報告します。確認が終了次第、補助金を受け取ることができます。以上が補助金を受け取るまでの流れです。
補助金における注意点
補助金を利用する際、注意するべき点は次のとおりです。
- 審査に通りにくい
- 課税対象になる場合がある
- 補助金は後払いである
- 支出の時期に注意する
- 事務処理はしっかりおこなう
審査に通りにくい
補助金を受け取るために審査を通る必要がありますが、必ず通過できるとは限りません。いくら手間をかけて準備したとしても、審査に通過しなければ補助金の受給は不可能です。
そのため、生産量向上に向けた戦略を考える際に、補助金を前提として計画を進めると危険です。審査に通らない場合は補助金を受け取ることができないため、施策を考え直す手間がかかります。
課税対象になる場合がある
補助金は収入の一部と見なされ、課税対象となる場合があります。補助金の追加により収益が増加するため、増えた分だけ支払う税金が課せられます。
補助金を利用する際は、課税されるタイミングを見極める必要があり、資金のやり繰りが厳しい時期はできる限り避けるべきです。課税対象となる場合は税金を必ず支払う必要があるので、払い漏れのないよう注意が必要です。
補助金は後払いである
補助金は基本的に後払いです。お金を借りる場合とは異なり、まずは会社側が費用を負担する必要があるため、経費が足りず施策が実行できない事態に注意するべきです。施策をおこなえるだけの資金調達は事前におこなう必要があります。
支出の時期に注意する
基本的に補助金は施策をおこなう期間を設定します。期間以内に支出した経費以外は補助金の対象とはならず、対象外の経費は自社で負担しなければなりません。そのため、期間内に完了させるスケジュール調整が重要であり、少しの遅れにも対応できるよう対策の準備は必須です。
事務処理はしっかりおこなう
施策を実施する期間だけでなく、施策内容と経費を報告する際にも期間が定められています。また、提出書類が雑である場合や施策に不必要な経費が支払われている場合だと、補助金を受け取れない可能性があります。そのため、事務処理はミスのないようしっかりとおこなうべきです。
まとめ
生産量向上とは少ない資源で大きな成果を出せるよう業務を改善することです。生産量向上に向けた施策にはコストがかかるため、自社の資本力だけでは負担が大きい企業も多数存在します。スケールの小さい企業が労働環境の改善に向けた取り組みを希望する場合は、補助金の利用がおすすめです。
補助金は返済が不要であるため、生産量向上に向けた施策にチャレンジできます。しかし、補助金には審査が必要であり、申請が採用されるためには、生産量向上に向けた施策内容が国や自治体の方針にマッチしている必要があります。