- 営業戦略
プロダクトアウト失敗例
プロダクトアウトは、経営方針にあった企業が作りたいものを開発して販売することをいいます。そのため、ユーザーのニーズよりも企業の都合が反映されていることから企業が良いと思う商品であれば販売するといった考え方です。プロダクトアウトを失敗する大きな例として、ユーザーのニーズを満たすことができなかった点が挙げられます。
プロダクトアウトであっても、市場の動きやユーザーのニーズを無視して開発や販売を進めると失敗する可能性が高くなります。これまでにも、ユーザーのニーズをつかみきれなかったり、市場の動きに合わせられなかったりして失敗したプロダクトは少なくありません。
プロダクトアウトの特徴
プロダクトアウトは、企業や開発者の考えを軸として商品を開発して販売する手法です。ユーザーや市場のニーズを軸として商品を開発するマーケットインとは対義語となっています。しかし、完全にユーザーや市場のニーズを無視していいわけではなく、結果的にユーザーのニーズや市場の動きに合わせられなかったプロダクトアウトが失敗しているケースが一般的です。プロダクトアウトでも、マーケットインでもユーザーや市場の動きを理解する必要があるのは同じです。
プロダクトアウトが失敗する理由
プロダクトアウトが失敗する理由として次のような点が挙げられます。
- 商品への過剰な期待を持っている
- ユーザーニーズを考えない
- 想定が外れるリスクがある
- 必要になる水準が高い
- イノベーションを成功させる必要がある
- 調査の軽視
商品への過剰な期待を持っている
プロダクトアウトは企業が良いと思った商品を基準として市場に展開します。しかし、商品やサービスに対して過剰な期待を持っていると売れない可能性が高くなります。プロダクトアウトは企業側の意思で商品を開発することから、傲慢な態度になってしまう点には注意が必要です。提供者本位とユーザーの軽視を同じようにとらえていると、失敗する可能性が高くなります。
ユーザーニーズを考えない
プロダクトアウトは、企業の技術やアイディアなどを最大限に活かして製品開発を進めるのが一般的です。しかし、単に機能性やスペックを高くしただけではユーザーニーズに合わない可能性があります。プロダクトアウトにおいては、ユーザーの課題を解決するために企業の持つ技術を活かすことが重要です。
プロダクトアウトは生産者が基準の考え方であるとはいえ、ユーザーのニーズを満たさないと失敗することになります。
想定が外れるリスクがある
プロダクトアウトでもユーザーや市場のニーズを想定して商品を開発することが重要です。しかし、あくまで想定であり十分な市場調査をしないのが一般的なので想定が大きく外れる可能性があります。
必要になる水準が高い
プロダクトアウトの基本的な考え方として、開発者本位で商品開発から生産、販売まで進めます。ユーザーのニーズを基準とした開発をしないことから、商品がユーザーに認められるためには性能の高さと完成度が必要です。単にユーザーのニーズを満たすだけでなく、ユーザーの想像を超えるような商品であることが重要です。
イノベーションを成功させる必要がある
プロダクトアウトは、市場調査をはじめとしたマーケティング戦略を取らないことが一般的です。新しい価値を開発するイノベーションと似た概念が求められます。そのため、プロダクトアウトを成功させられるには高い技術力や開発環境、もしくは高い企画力が重要です。
調査の軽視
プロダクトアウトは開発者の都合で商品開発をしますが、それでもユーザーや市場のニーズを汲み取ることが重要です。しかし、調査や分析をまったくしないようでは失敗する確率が高くなります。プロダクトアウトであっても、成功しているケースの多くはユーザーのニーズを完全に無視しているわけではありません。
プロダクトアウト失敗例
プロダクトアウトには次のような失敗例が挙げられます。
- Apple Newton
- 3Dテレビ
- バーチャルボーイ
Apple Newton
数々のプロダクトアウト成功例を出しているApple社ですが失敗例もあります。Apple Newtonは当時のCEOであるジョン・スカリーが構想した世界初のPDA(Personal Digital Assistant、個人向けの情報端末)で、まだiPhoneもiPadも誕生していない頃の商品です。
しかし、1993年8月2日にApple Newtonが販売してまもなくパソコン事業が価格競争に敗れ、赤字になる事態が起こりました。結果、Newtonの販売に力を入れて主力のパソコン事業をほったらかしにしていた点やNewtonも売れ行き不振であった点などの批判が起こり、スカリーは退任に追い込まれました。大きな要因として手書き入力の認識能力の低さ、値段の高さといった要因が挙げられます。
その後、価格はそのままで認識能力を高めた第2世代機種が発売されましたが、思った以上に売れることはありませんでした。この時期はMac離れが深刻でNewtonどころではなくなってしまい、1998年には販売打ち切りが発表されます。Newtonが売れなかった理由として、Apple社の経営環境が変わったことによりユーザーのニーズが変わってしまいました。さらに、十分な戦略議論をする時間のなかったことが挙げられます。
3Dテレビ
2010年2月にVIERA VT2を発売して以来、各メーカーの上位モデルが3Dに対応していました。2009年に大ヒットした映画アバターの影響があったことから、これからは3Dが主流になると言われましたが、それ以降大きな話題になることがなく2017年新発売のモデルで3D対応している型はありません。3Dテレビが成功しなかった大きな要因は、自宅で3Dを見るといった体験が浸透しなかったことです。
さらに、3D映像を楽しむためには専用のメガネが必要であることや、3D酔いする人が増えたことも不評の原因です。結果的に3Dテレビはメーカー側が高い技術を兼ね備えた商品を売りたいだけの例となってしまいました。
バーチャルボーイ
バーチャルボーイとは1995年に任天堂が発表したゲーム機であり、ゴーグル型の画面を除きながら立体画像で楽しむ特徴があります。バーチャルボーイは、フレームワークの戦闘機ばかりで著名な任天堂のメインキャラが登場するわけではなく、ユーザーニーズをつかむことはできませんでした。
まとめ
プロダクトアウトは企業が持つ技術やノウハウなどの強みを活かして商品を開発することです。そのことから、ユーザーのニーズに合わないことがありマーケットインを導入すべきと指摘されることがあります。しかし、プロダクトアウト自体に問題があるわけではなく失敗するケースにはそれぞれ要因があります。
プロダクトアウトは企業が主導で商品の開発をすることです。しかし、ユーザーや市場のニーズを無視していいわけではありません。プロダクトアウトを失敗した要因として、ユーザーのニーズを無視して開発から販売までおこなったケースが挙げられます。さらに、市場や経営環境の変化にあった戦略を立てられず失敗したケースもあります。