2024.04.16

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)とは

PPM(Product Portfolio Management)とは、市場成長率と市場占有率を軸として、自社の商品やサービスを分類することで経営資源の投資配分を決めるための分析方法です。市場成長率は市場の拡大度合いを示し、市場占有率は企業がその市場でどれだけのシェアを持っているかを示します。

PPMは、企業の商品やサービスを評価し、成長が見込まれる分野への投資や競争力を強化するための資源を集中的に配分する際に役立ちます。また、新しい製品やサービスの開発や既存のポートフォリオの最適化にも適していることが特徴です。

PPMとは

PPM(Product Portfolio Management)とは、組織が複数のプロジェクトを戦略的かつ効果的に管理するための手法やプロセスを指します。プロジェクトが組織の目標やビジョンと一致しているかどうかを確認し、リソースを最適に活用してプロジェクトのポートフォリオを最適化することが目的です。

PPMは、プロジェクトの優先順位付け、リソースの配分、進捗の監視、リスク管理などの機能を包括的に提供します。これにより、組織は戦略的な目標の達成に向け、リソースや予算を最適に使いながら、プロジェクトの成功につなげられます。

相対的市場シェア

PPMと相対的市場シェアは、企業が競争環境で成功するための重要な指標です。PPMは市場成長率と市場占有率を考慮し、企業の商品やサービスを評価する戦略的手法です。これにより、成長が見込まれる分野へのリソース投資を最適化し、市場競争力を高めます。

相対的市場シェアは、企業が特定の市場でどれだけのシェアを持っているかを示す指標です。市場シェアが高いほど、企業はその市場で強力な立場にあります。PPMと相対的市場シェアを組み合わせることで、企業は自社の製品が市場成長にどれだけつながり、競合他社に比べてどれだけ有利かを総合的に判断できます。

PPMで分けられる事業

PPMでは、市場成長率と市場占領率を軸として、商品やサービスを分類して次の4つのポジションに分類することが特徴です。

  1. 負け犬
  2. 問題児
  3. 金のなる木
  4. 花形

負け犬

PPMでの負け犬とは市場成長率と市場占領率の両方が低い状態です。つまり投資として必要とされず、利益もでない状態であり事業の成長が見込めないと判断するべき商品やサービスが該当します。

負け犬のポートフォリオは、戦略的な投資対象と見なされず、企業はこれに多くの資源を割くべきではありません。これらの商品やサービスは市場で十分な需要を獲得できず、そのため成長の見込みが薄く、収益性も低いため、適切なリソース配分をおこなわないと、企業全体のパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。

PPMを通じて負け犬を見極め、その事業を見直すか廃止するかの判断が重要です。企業は限られたリソースを有効に活用し、競争の激しい市場で持続可能な利益を追求するために、ポートフォリオの最適化をおこなう必要があります。

問題児

問題児とは市場占有率は低い状態で利益を出しにくいのですが、市場成長率が高い状態です。つまり、市場占有率を上げることで、将来的に金のなる木や花形になる可能性があります。

企業は問題児を見極め、適切な戦略を用いて市場占有率を向上させることで、将来的な成功を見据えることができます。これには市場のトレンドや顧客のニーズを的確に把握し、製品やサービスの改善をおこなうなど、継続的な戦略の適用が求められます。

金のなる木

金のなる木は市場占有率が高く安定した利益を出しやすいサービスや商品の状態です。高い市場占有率により、顧客のファン化が高まり一定の需要が安定して存在することが特徴的です。しかし、市場成長率が低いため積極的に投資をする必要のないことが特徴です。

これは市場が既に飽和状態にあるか、成長が鈍化しているためです。企業は安定した市場占有率を維持しながらも、市場の変化に敏感に対応する必要があります。新たな需要やトレンドに迅速に対応できるよう、革新的な取り組みやサービスの改善をおこなうことが求められます。

花形

花形は、市場成長率や市場占有率がいずれも高い状態です。利益を出しやすい上に競争が激しいため積極的な投資を続けることが求められます。高い市場占有率により、企業は他社との競争で優位性を確立し、その結果、利益を安定して上げることが期待されます。

一方で、花形の市場は競争が激しいため、企業は積極的で持続的な投資を続ける必要があります。新しい製品やサービスの開発、マーケティングの強化、ブランドの差別化など、市場での優位性を維持するための戦略が求められます。また、技術の進歩や顧客の変化にスピーディーに対応することも必要です。

PPM導入の事例

PPMは1970年に発表されてから、世界中の企業で活用されています。特に多くの事業ユニットを持つ企業が長期的な戦略を設定するために使われる傾向です。しかし、必ずしもPPM導入が成功しているとはいえません。企業に適したPPM導入が求められます。

サントリー

サントリーでは、ビールやウイスキー、清涼飲料水といった3本の大きな柱があります。しかし、ウイスキー部門が金の木、清涼飲料水が花形であることに対して、ビール部門は問題児であることが続いたことで、ビール部門は他の事業から再投資をおこない、マーケットシェアを集めることで金の木になるような取り組みを始めました。

この戦略を進めることで、サントリーはビール市場で強固な地位を築き組織全体のバランスをとることにつながりました。その結果、問題児であったビール事業を2022年のビール市場は同社の出荷数量は126%、前年比推計114%と市場を上回る結果となり、金の木に育てることに成功しました。

花王

花王では既存の商品状態をPPMで4つの分野にわけました。例えば、花形の商品としてはシャンプーや洗剤など、金のなる木を使ったスキンケア製品やヘアケアといった具合です。特に洗剤は市場シェアの5割を占めていることから、競争優位に立っていることがわかります。

花王のPPM分析は、市場環境の変化に合わせて柔軟に製品戦略を調整するための有力なツールとなっており、これによって企業価値の最大化と持続可能な競争優位性の構築を目指しています。

市場シェアが高い製品カテゴリーでは、花王は競争優位性を築く一方で、新たなニーズに応える新製品の導入やマーケットシェアの拡大を検討するなど、戦略的なアクションを積極的に進めています。

まとめ

PPMとは、市場成長率と市場占有率を軸とすることでそれぞれの工程を基に自社のサービスや商品を4つに分けるフレームワーク分析方法です。PPMの結果によって経営資本に投資すべき事業を見極めることから、複数の事業をおこなっている企業が導入することが一般的です。

この分析により、各事業の位置づけが明確になり、経営資本を効果的に投資する事業を特定できます。特に複数の事業を展開する企業が、戦略的な経営判断をおこなう際に有効的に活用可能です。

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