2024.10.15

事業開発人材育成のポイントと人材育成プログラム事例

競争が激化する市場で新たなビジネスチャンスを発見し、事業を創るための能力として、リブ・コンサルティングではBTCスキル(Business、Technology、Creative)を重要視しています。これらのスキルは従来のOJT中心の育成だけで習得するのが困難であり、効果的な習得のためには実践を重視した育成プロセスが必要です。

人材育成は企業の成長や競争力強化に直結するため、組織全体で新しい価値を生み出す力を養うことで強固なビジネス基盤を構築できます。そして、事業開発の成功の鍵は、スキルを習得するだけでなく、スキルを活用し、急速に変化する市場や技術に対して柔軟かつ迅速に対応することだといえます。

事業開発の基本原則

事業開発の4つの基本原則

リブ・コンサルティングでは事業開発の4つの基本原則を掲げています。この基本原則を抑えることで事業開発の成功率が高まっていきます。

プロセスとノウハウを知る 素晴らしいアイデアにたどり着く。事業化する大きな柱へと成長する。そのためには、誰もが活用すべきプロセスとノウハウがあります。一番の基本ともいえるこのポイントを、まずは取り入れ実践することが必要です。
圧倒的経験値を増やす プロセスがわかっていても、その通りに行かないのがビジネスの現場の常です。直面する課題を乗り越えながら進むには、どれだけ場数を知っているか、がとても重要になります。自社だけではその経験値を増やせない。だから成功も失敗も、他社の経験を取り入れる必要があります。
熱を高める 知っていることと、やり遂げることは大きく違います。「なんとしても私たちがこれをやり遂げるんだ」というオーナーシップを、スタートアップとは違う既存企業の中でどのように高めていくか。ここに、現代の仕事と面白さが潜んでいます。
知恵とつながり合う 組織はいろんな人がつながりあってできたひとつの生命体です。社内リソースに限りがある中で事業開発は進む。そのときキーとなるのは、どれほど社外のパワフルな人の知恵とつながりあっているか。この差で、組織という生命体は強くも弱くもなります。

事業開発人材に求められる3つのスキル

これからの事業開発人材に求められるスキルの変化

現代の事業開発に必要な人材について、過去のT型やπ型人材育成では、幅広い業務経験を積みながら特定の専門性を身に付けるOJTが中心でした。しかし、DXなどの最新の社会的トレンドに対応するためには、従来の育成方法ではカバーできない分野が増えてきています。今後の人材育成には、ビジネス、テクノロジー、クリエイティブの3つを統合したBTCスキルが求められており、これに基づいて事業開発を進めていくことが重要です。

事業開発人材に求められるBTCスキル

現在の事業開発人材に求められるスキルとしては次の3つが挙げられます。

  • Business:社会や顧客の課題・ニーズに寄り添い、収益性を確保しながら事業として課題解決を実現していくスキル
  • Technlogy:先端テクノロジーをビジネスサイドから読み解き、デジタル活用を前提に事業アイデアをアップデートしてビジネスモデルの変革や事業規模の拡大を図るスキル
  • Creative:社会課題と自身の思いを接続・言語化し、多様性のある仲間とともに周囲の共感と協力を得ながら、より大きなビジネスを構想・実現していくスキル

リブ・コンサルティングでは、事業開発の人材育成という観点で上記3つのスキルをバランスよく兼ね備えることを前提にソリューション設計を行っています。

次世代リーダー層向け事業開発人材育成プログラム

BTCスキルはOJTでは習得が難しいため、事業開発人材育成プログラムとして、6ヶ月をかけた企業向けのカスタマイズプログラムを提供しています。プログラムでは企業ニーズに応じた講座を提供できるよう、社員インタビューを通じて具体的な要件を作り上げ、6回程度のワークショップ形式でBTCスキルを学ぶ講座を実施します。学んだスキルを使い、事業プランを作成する実践の場を設け、最終的には社内発表会で成果をアウトプットすることを前提としています。

事業開発人材育成プログラムの紹介

以下はリブ・コンサルティングの事業開発人材育成プログラムの事例です。

  • BTCスキル獲得
  • 事業開発ワークショップ
  • 仮説検証活動・事業プラン策定
  • 事前事後フォロー(評価・振り返り)

BTCスキル獲得コンテンツ例

Creativeパート

Creativeパートでは、事業開発におけるビジョンの重要性や社会的課題に向き合うための視座を高める取り組みを強調したコンテンツを提供しています。例えば総合商社向けの事業開発人材育成コンテンツでは、バリューチェーンを活用し、複雑な課題を解決することを考慮し、視点を広げるために外部パートナーを講師として招くなどの講義やワークショップを実施しています。事業開発担当者の熱意を引き出し、その熱意を反映したビジョン作りのためのフレームワークや実例を用いた講座となっています。

また、カーボンニュートラルやDX、SXなど、現代の社会的課題に対応する際には、通常の業務視点からさらに視座を高め、サスティナビリティの専門家からの講義を通じて、将来のあるべき社会を考えるための視点を提供しています。従来の業務の枠を超え、より高い目線で社会の求めるものを理解し、それに基づいた事業構想を描くことを目的としています。

Businessパート

Businessパートでは、クリエイティブな構想を具体的な事業に落とし込むための方法や要点を学びます。企業向けの講義では、ユースケースを用いながら、事業の構築プロセスを進めるための手法を説明し、事業の提供価値、競合との差別化、顧客ニーズに応じた設計、市場の魅力度やリターンの見積もり、リソースの必要性、リスク要因、自社が事業に取り組む理由といった要素を明確にし、実際に手を動かして学ぶ場を提供します。

また、事業を絵に描いた餅で終わらせないためのポイントとして、ビジネスモデルの構築から実際の行動計画までを具体的に考えることが必須となります。事業のマネタイズの手法やキーパートナーの獲得法、事業の仮説に対する検証のポイントや、アクションプランの詳細な実行スケジュールの設計を通じて、構想にリアリティを持たせるために必要な考え方・フレームワークを身に着けます。

Technologyパート

Technologyパートでは、2つの主要なテクノロジー領域に焦点を当てています。1つ目はディープテックと呼ばれる製造業技術、2つ目はITテクノロジーシステムです。ディープテックでは、技術シーズを市場ニーズに変換するためのプロダクトアウトとマーケットインの両方のアプローチが必要です。このプロセスを実際の技術事例を使ったワークを通じて学び、特定のテーマを題材に事業構築を体験的に学ぶグループワークを行います。

ITテクノロジーでは、Web3や生成AI、デジタルツインといった最新技術をどのように理解し、事業に組み込むかを学びます。フレームワークを用いて技術の理解を深め、研修後もトレンドを追えるような基礎を築きます。また、システムを「作らせる立場」として必要な知識やアーキテクチャ、ITグランドデザインの概念を学び、SIerやITコンサルタントと連携するためのスキルを磨きながら、実際のシステム開発に関与するための知識を身につけます。

事業開発のワークショップ例

メガトレンドからの未来予測+事業機会探索

ワークショップコンテンツ例:メガトレンドからの未来予測+事業機会探索

事業機会を探索するためにメガトレンドを基に未来予測を行い、事業機会の発見を支援するワークを実施しています。一例として、数年後の未来を予測し、その未来に対して解決すべき課題を考え、事業アイデアの種を見つけ出します。このプロセスではフレームワークを用いてアイデアを具体化していく活動を行っています。

簡易ブループリント作成+3分ピッチ

ワークショップコンテンツ例:簡易ブループリント作成+3分ピッチ

事業機会や未来の構想を基に、簡易なブループリントを作成するワークを実施しています。このワークでは、社内で賛同を得る場面を想定し、発散したアイデアを伝わりやすい形にまとめることを重視しています。誰に何を実現するべきかというコンセプトを整理し、プレゼンテーションで効果的に伝えるスキルを磨くための作業が行われています。

ビジネスモデルキャンバス+検証論点設計

ワークショップコンテンツ例:ビジネスモデルキャンバス+検証論点設計

未来予測を基に事業の具体化を進める中で、さらに深くビジネスモデルを検討するために、ビジネスモデルキャンバスを使用するワークを実施しています。このワークでは、マネタイズのポイントや提供価値、リスク、リターン、インパクトなどの要素を詳細に分解し、実務レベルまで検討します。

仮説検証活動・事業プラン策定

事業プラン策定

事業プラン策定では、参加者に事業プランを自由に作らせるだけではなく、事業開発コンサルタントがグループレビューに参加し、各自のプランについて詰まっている点や改善点をアドバイスします。また、BTCスキル獲得講座で学んだフレームワークを活用し、必須スライドを指定しながら、学んだ内容を実践的に活用できるレベルに引き上げることを目指しています。

仮説検証活動

仮説検証活動では、BTCスキル獲得講座で作成した事業プランを机上の空論に終わらせないため、実際の顧客やユーザーに検証を行い、事業の価値を確認します。検証の結果、価値がない場合は何を修正すべきか、受け入れられる要素は何かを明らかにするため、外部のインタビューサービスも活用し、仮説をブラッシュアップします。

事前事後フォロー(評価・振り返り)

評価・振り返り

事業プランの社内発表後、事前事後のフォローにも力を入れており、特にBTCスキル獲得講座後には個別のフィードバックを実施します。個々のBTCスキルや事業開発スキルを細かく評価し、良かった点や成長部分、課題やボトルネックとなっている点を「スキルカルテ」としてシートにまとめ、30分程度の個別フィードバック面談を行います。この面談を通じて、必要なスキルや今後取るべきアクション、成長課題を第三者の視点から明確にし、今後の事業開発に向けた改善をサポートします。

まとめ

事業開発において、企業の競争力を維持するためには、柔軟かつ実践的なスキルを持つ人材の育成が不可欠です。BTCスキルを軸にしたプログラムは、単なる知識習得に留まらず、実際の事業に即した実践的な学びを提供し、企業の成長を支える人材を生み出します。これらのスキルを持った人材を育成することで、企業は変化する市場や技術の波に対応し、新たなビジネスチャンスを創出することができるはずです。

関連資料ダウンロード

一覧に戻る

関連コラム