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人事評価制度助成金とは
人事評価制度の助成金は、人事評価の体制を新しく取り入れることで受給を視野に入れることができます。需給には条件を満たす必要がありますが、人事評価制度を新しく取り入れる企業ならば知っておきたい助成金です。
本記事では人事評価制度助成金について、概要や受給条件、そして申請手順について解説していきます。
人事評価制度助成金とは
2021年現在、人事評価制度を取り入れた際に申し込める助成金として用意されているものは、人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)です。
人事評価制度に関連する助成金は、人事評価制度の体制を整えることによって従業員への賃金向上や退職率の低下など、企業の生産性を高める取り組みを行った際に受け取れる助成金になります。
企業が人事評価制度を取り入れ、成果をあげている従業員の給与を高めることや、離職率が低く働きやすい環境の構築が目的です。
そのため従来までの終身雇用や年功序列の仕組みではなく、能力の高い人材を評価する「成果主義」の動きが強まっていると考えられます。
人事評価改善等助成コースの受給条件
人事評価制度を取り入れ助成金を受け取るためには、5つの条件を満たす必要があります。
- 人事評価制度を行える体制が整っており、労働局から正式に認められている
- 人事評価制度を行っている
- 規定の期間内において、企業の生産性で6%以上の伸び率がみられる
- 人事評価制度に当てはまる従業員の給与合計金額で2%以上の伸び率がみられる
- 離職率が30%以下であり、人事評価制度を取り入れた日から1%改善している(従業員数300未満は維持)
企業の生産性における規定の期間とは、助成金を申し込んだ日の前年度から、助成金を申し込んだ日の3年後までです。
より詳細な条件に関しては厚生労働省:人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)もご覧ください。
人事評価改善等助成コースの受給金額
人事評価制度を新しく取り入れることで受給可能な助成金額は80万円です。
以前までは同じ人事評価制に関連する度助成金として50万を受け取れる「制度整備助成」がありましたが、令和3年度から廃止されているため注意してください。
助成金を受注するには受給の条件をすべて満たし、必要書類を提出しなければいけません。
また人事評価制度に関連する助成金を受け取るには人事評価制度を導入する必要があるため、計画性をもって申請を行ってください。
人事評価改善等助成コースの申請方法
人事評価制度における助成金は「人事評価制度の申し込み」と「助成金の申し込み」において、それぞれに必要な書類を提出しなければいけません。また各々に提出期限が定められているため、間違えることがないように注意してください。
助成金の申請は、以下の手順で行います。
- 決められた書類を提出する
- 人事評価の体制を整え、取り入れる
- 助成金を申し込み、受け取る
各々、解説していきます。
決められた書類を提出する
まずは人事評価制度を取り入れるために、決められた書類を作成し提出してください。
必要書類は以下になります。
- 人事評価制度等整備計画書
- 整備する人事評価制度等の概要票
- 賃金アップ計算書
- 賃金台帳等
- 労働組合または労働者の代表と合意していることが確認できる書類
- 事業所確認票
- 現行の労働協約または就業規則
- 整備後の労働協約案または就業規則案
- 離職証明書
- 人事評価制度等対象労働者の要件を満たすことが分かる書類
- 人事評価制度等整備計画の提出が分かる書類
- 社会保険の適用事業所であることが分かる文書
- その他管轄労働局長が必要と認める書類
作成した書類は、人事評価制度を行う月の6ヶ月前〜1ヶ月前の前日までに各都道府県労働局に提出します。
人事評価の体制を整え、取り入れる
必要書類を提出したら人事評価の体制を整え、取り入れてください。
人事評価制度を行う際の注意点は以下になります。
- 人事評価制度は、新しく計画されたものか改善された内容で取り組んでいる
- 労働者に対する評価は、年に1回以上行う
- 評価基準や賃金の変動額は労働者に開示する
人事評価制度は企業の方向性やビジョンを積極的に共有し、労働者ひとりひとりを正当に評価することが重要です。
助成金を申し込み、受け取る
人事評価制度の実施後は、規定の期間内に条件を満たしているかを確認してください。
条件を満たせているようであれば、助成金の受け取りに向けて決められた書類を提出します。
助成金の申し込みに必要な書類は以下になります。
- 人材確保等支援助成金支給申請書
- 事業所確認票
- 雇用保険一般被保険者の離職状況が確認できる書類
- 対象労働者の賃金台帳等賃金の支払いが確認できる書類
- 整備した人事評価制度等が確認できる書類
- 対象労働者の出勤簿等出勤状況が確認できる書類
- 生産性の根拠となる確認書類
- 賃金アップ計算書
- 支給要件確認申立書
- 事業所が社会保険の適用事業所であることが分かる書類
- その他管轄労働局長が必要と認める書類
作成した書類は人事評価制度の申請日から3年後の2ヶ月前までに提出しなければいきません。
申請までは期間が空いてしまうため、忘れないように管理してください。
人事評価改善等助成コースの注意点
人事評価制度に関連する助成金では条件が細かく定められているため、該当することを必ず確認してください。特に離職率や労働者賃金に関連する項目は間違いやすいため、注意が必要です。
ここでは、人事評価制度に関連する助成金の注意点を詳しく紹介していきます。
離職率は過去1年間で判断する
人事評価制度に関連する助成金の条件には離職率が重要ですが、過去1年間の期間で判断しなければいけません。
そのため過去1年間で「雇用保険一般被保険者」の該当者を1人も雇用していない場合は、人事評価制度における助成金は対象外となるため注意してください。
雇用保険一般被保険者とは雇用されている形態を問わず、31日以上・1週間で20時間以上の雇用がある者を指します。
また下記の雇用者も人事評価制度における助成金では対象外となります。
- 65歳以上で雇用保険に加入している者
- 短期的(4ヶ月以内・1週間で30時間以内)に雇用されている者
- 日ごとか30日以内の規定で雇用されている者
労働者賃金の総額で2%以上の増加が必要
労働者賃金も、人事評価制度の助成金を申し込む条件に関わる重要な項目です。
注意点としては、労働者に支払う給与の総額から2%以上の増加が必要な点になります。労働者全員の給与をすべて増やす必要はありませんが、給与の総額である点を確認してください。
また増加させた給与については、助成金の申請を行う約3年後まで引き下げては行けない点も忘れてはいけません。
まとめ
人事評価改善等助成コースは、条件を満たせば80万円を受け取れる助成金です。したがって、これから人事評価制度を取り入れようと考えている人は申請することをおすすめします。
ただし申請時には3年間の期間が必要な点など、いくつかの注意点があるため必ず確認が必要です。