- 組織人事
テレワークでの人事評価制度
テレワークにおける人事評価制度は取り組みがむずかしく、担当者が頭を抱えるケースは多々あります。非対面式であるうえに評価方法や基準にバラつきがあるため、オフィス勤務での人事評価に慣れている担当者は、従業員の成果で人事評価をおこなう方法に限られてしまいます。
人事評価はキャリアアップするうえで非常に重要な要素であるため、従業員は適切な評価を望んでいます。不当な評価が発覚した場合には、従業員のモチベーションやパフォーマンスの低下につながるので注意が必要です。
人事評価とテレワーク
企業の方針に合わせて従業員を評価するのが人事評価制度です。オフィス出勤とテレワークとでは勤務形態が異なるため、それぞれに合わせて人事評価をおこなう必要があります。人事評価は今後のキャリアアップに重要な要素であるため適切に判断する必要がありますが、テレワーク下での人事評価がむずかしいと感じる担当者は多いです。
評価される側としても、テレワーク下で適切に評価してもらえるか心配し、人事評価の仕方に不安を感じる方がいます。担当者が適切に評価できれば問題ありません。しかし、公正に評価されない場合、従業員のモチベーションは下がり、業務へのパフォーマンスも低下することが考えられます。
テレワークにおける人事評価制度の課題
テレワークにおける人事評価制度の課題は次のとおりです。
- 勤務態度の評価がむずかしい
- 評価方法や基準にバラつきがある
- 手続きが滞る場合がある
- 人事評価プロセスが遅延する
- コミュニケーションが不足する
勤務態度の評価がむずかしい
テレワークでは従業員の業務に対する姿勢が不透明であるため、勤務態度での評価が困難です。会社で勤務する場合は従業員の勤務態度を定期的に確認でき、仕事に取り組む姿勢を1人ひとり把握することで適切に評価できます。
しかし、テレワークでは従業員の仕事に対する勤務態度を直接的に目視できません。そのため、テレワーク下での従業員の勤務態度は評価がむずかしく、評価項目に含めることはできません。
評価方法や基準にバラつきがある
勤務態度の評価がむずかしくなると、基準にバラつきが生まれてしまいます。評価する人によってはメッセージのやり取りやビデオ通話での発言内容など、細かい部分も評価項目に含みます。一方で、テレワークで仕事への姿勢が見えないため、いくつかの項目を割り切った評価をする方もいるはずです。
評価の仕方にバラつきがあると、評価の結果に不快感を抱く従業員は少なくありません。属人によって基準が異なってしまうのは仕方のないことですが、テレワークに適した評価方法を定める必要があります。
手続きが滞る場合がある
人事業務では給与や勤怠など重要な手続きが必要です。業務には多くの時間がかかるため、テレワーク下では書類の手続きをおこなう際に作業の流れが滞ってしまうケースがあります。
書類での手続きが必要である場合は、従業員は直接オフィスへ足を運ぶ必要があるため、時間の都合を合わせなければなりません。テレワーク下で働いていると、対面式とは異なり迅速に対応できないため手続きが滞ってしまいます。
人事評価プロセスが遅延する
人事評価は担当者が少数である場合と複数である場合があり、形態は組織によって異なります。少数で評価をおこなう場合は会社の評価基準や個人の見解に従ってスムーズに結果を出せます。一方で、複数人で評価をする場合、妥当な評価をするために情報の共有や話し合いが必要です。
しかし、テレワーク下では従業員どうしで直接やり取りをする訳ではなく、メールや通話での意思疎通になるため、コミュニケーションに手間や時間がかかります。やり取りがスムーズに進行しないために、人事プロセスが遅延してしまいます。
コミュニケーションが不足する
テレワークでは対面で会話する機会がないため、直接的なコミュニケーションが不足します。そのため、特にルールを決めていない組織では、1つのやり取りに数日もかかってしまうケースが考えられるので、報告や情報共有をスムーズにするには仕組みづくりが必要です。
また、メールやチャットでのやり取りでは意思疎通に手間や時間がかかってしまうので、ストレスを感じる方が少なくありません。定期的にビデオ通話の場を設け、従業員どうしのコミュニケーション不足を解消するべきです。
テレワークでの評価方法
テレワークに適した評価方法は次のとおりです。
- 評価項目を明確にする
- 評価方法は統一する
- 目標管理制度を導入する
- 成果主義を採用する
- ITツールを導入する
評価項目を明確にする
公正な評価を実現するため、テレワーク導入の際は評価項目を明確にする必要があります。テレワークの場合だとオフィスに出社する機会が少なく、担当者は明確である従業員の成果をもとに評価をおこなう方法しかありません。
しかし、目に見えない事象を評価に入れず、成果のみを重視する評価方法はオフィス勤務を前提とした評価制度といえ、従業員が不満を抱かないようテレワークに適した評価をおこなう必要があります。そのため、テレワーク向けの評価項目を設定することで、適切な評価が可能です。
評価方法は統一する
テレワーク下での人事評価に慣れている担当者は少なく、評価にバラつきが出てしまうため、評価方法は統一する必要があります。人が評価をおこなう場合だと個人の主観が入り、評価の差にバラつきが出てしまうため、公正な評価とは言えません。従業員のモチベーションを下げないよう評価方法を統一し、評価にバラつきがでないよう注意が必要です。
目標管理制度を導入する
評価方法を統一する手段として目標管理制度の導入が挙げられます。期限付きの目標を設定し、従業員が目標達成に向けて業務へ取り組む精度です。定期的に目標設定の振り返りをして、達成できない場合は調製をおこないます。
目標達成できれば評価される仕組みづくりは、従業員からの不満を防げます。従業員1人ひとりの業務内容は異なるため、目標達成のしやすさに偏りが出ないよう調整が必要です。
成果主義を採用する
成果主義を採用すると個人の能力が明確になるため、適切な評価が可能です。しかし、評価方法を完全な成果主義にしてしまうと、成果を出せなかった場合に従業員のモチベーション低下につながります。そのため、業務に取り組む過程も評価に入れ、バランスよく成果主義と組み合わせることをおすすめします。
ITツールを導入する
人事評価を公正に評価する際、時間や労力を削減できるITツールの導入はおすすめです。情報を一元化できるシステムを利用すれば、いつでも従業員の情報を確認できます。仕事の進捗状況や勤怠管理などの情報を共有すると、公正な基準を定めた評価が可能です。
また、ITツールはデータ処理など単純作業に長けています。人の手で行うよりもミスなく業務をスムーズに進行できるため、システムを活用することで人事評価の生産性は高まります。膨大なデータから適切な判断を下せるので、より公正な評価が可能です。
まとめ
テレワークの人事評価制度は基準の設定がむずかしく、評価にバラつきがでてしまう恐れがあります。コミュニケーション不足などの課題があるため、人事評価に慣れている担当者でも評価しにくいのは間違いありません。オフィス勤務での人事評価とは異なるため、テレワークに適した評価方法を考える必要があります。
キャリアアップのためにも従業員は正当な評価を望んでいます。不当な評価を防ぐためにも評価項目の明確化や目標管理制度の導入をおこない、適切な人事評価をおこなうべきです。