- 組織人事
人事評価における不満の原因
人事評価とは、従業員一人ひとりの貢献度や業務に対する成果などを評価し報酬を決定することです。人事評価は人間が判断するため、透明性や公平性がなければ従業員の不満につながります。人事評価制度が明確でなおかつフィードバックを十分にしていないと従業員が不満を持ちやすくなることから、離職率の増加や生産性の低下につながりやすくなるのです。
人事評価に対する従業員が持つ不満を放置していると、企業のイメージダウンや売り上げ低下などのリスクとなるため早めの対応が求められます。
人事評価における不満の原因
人事評価における不満の原因として次の点が挙げられます。
- 評価者への不満
- 評価基準があいまい
- 偏りのある評価
- 評価が給与に連動しない点
評価者への不満
従業員がまず人事評価に対する不満を感じる要因は評価者に対してです。評価者が偏りのある評価をしたり、十分なフィードバックをしなかったりする場合は従業員が不満を持ちやすい状況です。
さらに、評価者の主観が入った評価はばらつきが発生しやすくなります。同じことをしているのに評価者が変わったことで評価が大きく変わった場合をはじめ、評価者によって評価が大きく違う場合も不満につながりやすくなります。そのため評価者に対する教育が求められます。
評価基準があいまい
評価者によって評価制度の解釈にばらつきがあったり、評価基準があいまいだと不公平感を持ちやすくなります。さらに、成果のみを評価してプロセスを考慮しない場合をはじめ評価基準が偏っている場合にも従業員が不満を持ちやすくなります。評価基準が明確でも評価者の対応があいまいであれば意味がありません。評価者は評価基準を正確に理解して、評価基準に沿って正確に評価をすることが必要です。
偏りのある評価
評価結果に偏りがあると、不公平だと感じることから不満につながる場合があります。従業員本人が頑張っていたつもりでも評価が低いと不満を感じる可能性が高くなります。さらに、これまで高い評価を受けていたのに突然評価が下がった場合や評価者が変わって評価が落ちた場合でもモチベーションが低下しやすいのです。
このように評価に偏りがある場合は、従業員の不満につながりやすいので注意が必要です。
評価が給与に連動しない点
評価が高くても給与に連動していなければ不満につながります。年功序列の企業によく見られる傾向であり、そもそも評価連動型になっていないケースがあります。どれほど評価が高くても待遇面の向上に繋がらなければ従業員の不満が高くなる可能性があるのです。
人事評価の不満が高まった場合のリスク
人事評価における不満が高まった場合次のリスクが考えられます。
- 離職率の増加
- 生産性の低下
- 採用活動への影響
離職率の増加
人事評価における不満が高まった場合、離職率の増加につながります。同じ業務をおこなっていて、より評価をしてくれる企業があった場合は転職をするケースは少なくありません。離職率が高くなると従業員が持つスキルや積み上げてきた経験を企業が失うことになります。採用や育成をするためのコストや手間を考えると企業にとってデメリットとなります。
日本では少子高齢化が続いており、思ったような人材を採用するのは容易ではありません。さらに、適切な評価がされていない企業に対して求職者が嫌なイメージを持つ可能性もあります。離職率が高い企業は口コミサイトなどですぐに情報が漏れてしまうため入社を希望する求職者が減る可能性があります。これらのことから、離職率が増加すると企業にとって機会損出、不利益につながるのです。
生産性の低下
人事評価制度に不満を持つことによって、従業員のモチベーションやエンゲージメントが下がり生産性の低下につながる可能性があります。モチベーションが下がる従業員が増えることで、ヒューマンエラーが増えたり仕事のスピードが遅くなったりすることから企業のイメージダウンになりかねません。
採用活動への影響
人事評価制度に不満を持つ従業員が増えると、採用活動に影響が出る場合があります。評価への不満が多く離職率が高くなると、求職者の企業への評価が下がりやすくなります。少子高齢化が続く日本において今後さらに採用をするのがむずかしくなり、企業にとって大きな損失となるのです。
人事評価における不満の対処方法
人事評価における不満の対処が必要な場合、次の方法が挙げられます。
- 評価基準の明確化
- 評価者の教育
- 十分なコミュニケーション
- 評価制度を理解する仕組み
評価基準の明確化
人事評価基準があいまいであると、従業員が不安に感じやすくなります。人事評価制度そのものがどのような目的で導入されているかを周知することが重要です。評価基準はすべての従業員が見てわかりやすい必要があり、さらに会社側や管理職側から従業員に対してアプローチすることが重要です。
従業員に対して丁寧にフィードバックをすることで、評価結果に対して納得しやすくなります。さらに、評価を高めるために今後の目標を明確にできるのです。フィードバックの内容として、従業員一人ひとりの良い面と悪い面を説明することで成長につなげることが重要です。
評価者の教育
従業員が納得できる評価制度であっても、評価者が正しく評価を伝えていなければ意味がありません。まず評価者が評価制度の内容を理解していることが必要であり、評価者への教育が必要です。評価者が忙しすぎて十分にフィードバックできていないこともあり、業務の見直しが必要な場合もあります。
評価者が適切に評価するためには、ハロー効果をなくすことが必要です。ハロー効果とは評価をする従業員の印象やイメージを意識しすぎて評価を歪めることです。特定の評価が高いことでほかの項目に対する評価を上げたり、逆に評価を下げたりする可能性もあります。適切性を保つためには、ハロー効果についても見直すことが求められます。
十分なコミュニケーション
管理職者が従業員と定期的にコミュニケーションをとることが重要です。従業員が人事評価制度や基準を理解し安心して業務をするためには、管理職者がフィードバックをおこなうことや従業員の活動を理解することが必要です。評価結果と理由を丁寧に説明することで、従業員は現状の評価と今後への課題を理解しやすくなります。そのため、従業員一人ひとりに対して成長につながるPDCAサイクルを回すことが可能です。
評価制度を理解する仕組み
従業員が人事評価制度に不満を持たないようにするためにも、制度の内容を従業員に周知して理解をしてもらうことが重要です。人事評価制度は企業の価値観や理念などが基となっているため、まずは企業が求めていることを従業員に浸透させる必要があります。
新人研修をはじめさまざまな研修において評価制度に関する説明会を開催したり、従業員一人ひとりとのコミュニケーションをとったりすることが重要です。
まとめ
人事評価制度が整備されていないと従業員の不満につながる可能性が高くなります。評価制度の透明性や公平性を確保するためにも、人事評価制度を明確にして従業員に浸透させることが重要です。さらに、評価者が適切に評価するためにも定期的に評価を教育することも求められます。
従業員の不満がたまったままの状態であれば、離職率が上がったり生産性が低下したりするなど企業にとってさまざまなリスクが起きやすくなります。企業のイメージダウンにつながり、今後採用活動に支障が起きる場合もあり人事評価制度に対する不満は早急に対応することが重要です。