2022.01.04

組織人事の重要性とは?組織人事戦略の特徴と成功させるためのコツ

VUCAの時代と呼ばれる昨今、ビジネス環境の複雑化は留まるところを知りません。このような状況は、人事部門の仕事にも大きく影響を及ぼします。

移り変わりの激しい現代に対応するためには、旧来のようなマニュアル通りの作業ではなく、多角的な視点による柔軟な人事判断が求められます。ここで重要となるのが「組織人事戦略」という考え方です。

本稿では、組織人事戦略の特徴および、組織人事戦略を成功させるためのコツについて解説します。

参考:人事評価制度構築コンサルティング

組織人事戦略とは

組織人事戦略とは、人事を「経営戦略のための手段」として捉え、社内の各部門と連携しつつ採用や教育を進めていく、という考え方を指すものです。

一般的な人事の役割は、人材を登用して教育し、現場で力を発揮できるようにすることです。一方、組織人事戦略においては、これらを経営戦略と連動して行います。場合によっては、社員の能力に合った適切な部門への配置換えをすることもあります。

ビジネスを組織づくりの面でマネジメントする。これが組織人事戦略の本質です。

組織人事戦略の特徴

迅速な人事判断が可能

社内での連携を重視する組織人事戦略では、経営戦略に合わせた素早い人事判断が可能です。「こういう戦略を採るなら、この部門にこういう人材が必要だ」、「採用しなくても、こちらの部門に適切な人材がいるから配置換えをしよう」など…各部門との連携がとれているため、必要な人材の情報をすぐに把握できます。

こうした人事判断の迅速さは、優秀な人材を獲得するための強い武器になります。人材獲得の競争が激化している昨今において、スピーディーな判断ができれば優秀な人材を他社に先んじて確保できるためです。

厚生労働省の資料『一般職業紹介状況(令和3年9月分)について』によると、令和2年9月から令和3年9月までの1年間は、有効求人倍率が常に1倍以上で推移しています。また、総務省の資料『平成30年度版情報通信白書』によると、総人口の60.0%を占める労働人口は今後減少していき、2040年には総人口の53.9%になると予測されています。

つまり、企業は数少ない求職者の中から自社に合った優秀な人材を確保しなければならないのです。加えて、今後はその競争が激化する可能性も示唆されています。こうした状況の中では、迅速な人事判断こそが企業にとっての大きな強みになります。

人事の問題点を把握しやすい

人事によって経営戦略を実現するためには、そもそもの経営理念や各部門が抱える課題を的確に把握しなければなりません。これは、組織全体を俯瞰することに等しいです。こうした俯瞰の視点を持つことで、結果として人事部門そのものの問題点や課題を把握しやすくなります。

例えば、採用した人材が上手く育たないという問題が生じたとします。組織人事戦略を実践し、組織全体を俯瞰できていれば「経営戦略と教育方法がマッチしていないのではないか」、「戦略に即した評価ができていないのではないか」、「そもそも採用した人材が戦略とマッチしていなかったのではないか」など、従来よりも一歩踏み込んだ問題提起が可能になります。

組織人事戦略を成功させるためのコツ

経営戦略や企業理念を正しく理解する

組織人事戦略の目的は、組織の経営戦略を実現させることです。そのためには、人事が経営戦略や企業理念を正確に把握することが求められます。経営戦略や企業理念を正しく理解できていなければ、そもそも組織人事戦略を行うことすらできません。

例えば、「3年以内に売上を50%アップさせる」という計画があったとします。仮に人事がこうした計画を理解していなかった場合、人事はただ漠然と人を雇い、漠然と教育をするだけになってしまうことが推測できます。

もしここで計画内容や企業戦略を正しく把握できていたなら、「営業に長けた人材を営業部門に配置しよう」、「商品開発に必要な技術と知識を持った人材を採用しよう」などといった具体的な人事判断ができたはずです。

まずは経営戦略や企業理念を理解する。これが組織人事戦略の始まりです。

世の中の情勢に目を向ける

組織人事戦略には、経済状況や社会情勢といった外部要因が大きく影響します。自社の経営戦略だけでなく、世の中の情勢にも目を向けることが大切です。

例えば、2020年から流行した新型コロナウイルス感染症の影響により、世の中の働き方は大きく変化しました。感染拡大を防ぐべく、人と接することの少ないリモートワークが推奨され、労働環境を整えるために頭を悩ませた担当者も多いはずです。こうした変化に対しても、柔軟に対応する必要があります。

併せて、前述した通り近年では労働人口の減少が問題視されています。さらには、労働時間の制限や休日の確保などとといった労働に関する法改正がなされる可能性も考えられます。こうした状況にも素早く対応できるよう、世の中の動きに対して敏感であることが求められるのです。

社員との意思疎通を図る

組織人事戦略は、いわば人事部門の改革です。これまでの仕事に慣れている社員にとって、仕事の方法や環境を変えられることはストレスになりかねません。ただ改革を推し進めるだけではなく、社員の理解を得ることも必要です。

社員との意思疎通を図りながら、彼らのモチベーションを下げないように努めることも大切な仕事です。社員と経営陣が同じ目標に向かって進もうとする意識があれば、不満は発生しにくくなります。

経営陣と社員との意思疎通のための施策としては、社員が共感しやすい目標を作りスローガンとして掲げる、という方法が考えられます。経営計画に即した人材の確保や育成方法などを丁寧に説明し「共に頑張りたい」と思われるようなメッセージを発信してください。

まとめ

移り変わりの激しい現代では、人事においても迅速性や柔軟性が求められます。旧来の人事の手法にとらわれることなく、自社の経営戦略や世の中の情勢なども踏まえ、多角的な視点で人事判断を下すことが大切です。

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