2022.06.28

組織改善とは

組織改善とは、組織としての仕組みや構造、機能や役割、運用方法を変えることです。組織が理想とする形を実現するための取り組みで、業績向上や企業成長の効果があります。

また、生産性向上につながる可能性もあるため、従業員のモチベーション向上も期待できます。組織改善は企業だけでなく、企業の土台を支える従業員にも良い効果がある取り組みです。

組織改善とは

組織改善とは、企業が今後も成長し続けられるよう、組織としての基礎を根本から見直していく取り組みのことを指します。企業ビジョンや文化といったソフト面と、評価体制などのハード面を必要に応じて変革していきます。

組織改善を実施するうえで重要なのは、あくまで手段であり目的ではないということです。組織改善の取り組み自体を目的にしてしまっては、根本的な解決は見込めません。

企業そして従業員が、自発的に業務を遂行できるよう、成長意識の高い組織に変革していくことが重要です。

なぜ組織改善が求められるのか

組織改善は主に、規模の大きい企業や規模が拡大傾向にある企業に推奨される取り組みです。企業規模が拡大することで制度が固定されると、市場の変化に対応しづらくなります。

持続的な企業成長を実現するためにも、根本的な企業ルールを見直す姿勢が必要です。このような理由から、多くの企業で組織改善が求められています。

組織改善とエンゲージメントの関係性

組織改善は、企業と従業員の関係値をあらわすエンゲージメントとも深くかかわっています。エンゲージメントは、従業員が組織に対して信頼を持つことで成り立つ考え方です。

既存の組織体制を貫くあまり、従業員のニーズに応えられない業務形態では、エンゲージメントは向上しません。企業成長を支える従業員がモチベーションを保てるように、要望に応じた組織改善が必要とされます。

従業員のエンゲージメントが向上することで、人材の定着率が向上します。また、優秀な人材の離職や流出を防ぐことも可能です。従業員エンゲージメントが高い企業は求職者にとっても魅力的といえるため、新たな人材の確保にもつながります。

組織改善の種類

組織改善は主に、以下の2種類があります。

  • 組織行動の整合性モデル
  • クルト・レヴィンの3段階

組織行動の整合性モデル

マイケル・タッシュマンとデービッド・ナドラーにより提唱された組織行動の整合性モデルは、以下の構図で成り立っています。

  1. 組織改善の専門チーム編成
  2. 課題の洗い出し、分析
  3. ビジョン、戦略の策定
  4. 計画の実行

組織改善を進める専門チームを編成することで、既存業務との兼ね合いを気にせず済むようになります。

クルト・レヴィンの3段階

クルト・レヴィンの3段階は、以下3つの段階で構成されているのが特徴です。

  1. 解凍:組織改善の必要性を従業員へ打診、環境づくり
  2. 変革:立案した取り組みなどを実践
  3. 再凍結:新たに確立した組織体制の浸透

クルト・レヴィンの3段階は、組織改善を進めるうえでもシンプルな手法です。

組織改善で向上するもの

組織改善を進めることで、生産性や従業員満足度、サービス品質が向上します。

生産性

組織改善は従業員の残業時間や無駄なコミュニケーションを撤廃する目的で実施されます。これにより企業全体での生産レベル向上が期待できます。ワークライフバランスやコストに関する課題などを解決できるのも組織改善の特徴です。生産性が向上することで企業規模に捉われずに競合と渡り合えるようになります。

従業員満足度

組織改善を進めることにより、従業員満足度が向上します。新しい働き方が浸透してきた昨今、優秀な人材が離職しないような体制を考えるのが多くの企業の課題です。

これまでの働き方では従業員のニーズに合わないと感じたら、こだわりを捨てて即座に組織改善を実施してください。従業員満足度が向上し、人材が定着することで、新たな人材の確保にもつながります。

サービスの品質

組織改善による従業員満足度の向上は、サービス品質を向上させる効果も期待できます。その理由は、組織改善により従業員が自社のサービスを深く理解できる環境を整えられるためです。

従業員が自社のサービスを理解することで顧客に対するアプローチの質も向上します。これまで見込み顧客止まりだった顧客の獲得も期待できます。また、サービスの品質が向上することで、既存顧客の満足度が大きく向上するのも組織改善による効果です。

組織改善に必要な7S

組織改善を進める際は、7Sと呼ばれる以下7つのSについて理解しておく必要があります。

3S(ハード) 4S(ソフト)
System、Strategy、Structure Staff、Shared value、Skill、Style

3S(ハード)

ハードの3Sは、コントロールや変更がしやすいといわれています。

System(制度)

組織としての制度を示すSです。評価制度や待遇などの仕組みや、業務フローなどが該当します。

Strategy(戦略)

持続性のある優位性を確保するため、企業の方向性を定めることです。組織が立てる戦略全体をあらわします。

Structure(構造)

組織構造をあらわすSです。組織の階層や関係性など、現状を把握するために実施されます。

4S(ソフト)

ソフトの4Sは3Sと異なり、コントロールや変更に手間がかかる傾向にあります。

Staff(人材)

組織で働く人材をあらわしています。従業員の特性や採用の経緯など、人材に関するさまざまな視点も含まれるのが特徴です。

Shared value(価値観)

組織全体が持つ価値観のことです。企業理念やミッション、ビジョン、バリューなどが該当します。

Skill(スキル)

組織がどのようなスキルを持っているのかという視点のSです。従業員全体をみて、組織としてどのような能力を保有できているのかを把握します。

Style(経営スタイル)

社風や経営スタイルをあらわします。企業全体で浸透し、ルール化されているかどうかという視点を持つことが重要です。

7Sをベースにした組織改善の進め方

7Sをベースにし、適切な順序で取り組んでいくことで組織改善が効率化します。以下で紹介する組織改善の進め方は、3Sと4Sがそれぞれ混在しているため、注意してください。あくまで組織改善全体を見た順序になっています。

  1. Shared value(ソフト):理念、ビジョンを掲示
  2. Strategy(ハード):理念、ビジョンの実現に向けた戦略の立案
  3. Structure(ハード):戦略に応じた組織の構築
  4. System(ハード):組織としての運用ルール設定
  5. Staff(ソフト):人材の募集、育成
  6. Style(ソフト):人材との関係性構築
  7. Skill(ソフト):関係性を組織力に変換させるスキルの会得

上記の流れを繰り返すことで、組織全体が強化されます。

まとめ

組織全体の方向性を改めることで、持続的な企業成長が期待できる組織改善。新しい働き方に応じて市場が変化していることで、その重要性が高まったといえます。

組織改善に取り組むことは、生産性やサービス品質の向上だけでなく、従業員満足度の向上にもつながります。優秀な人材の定着にもつながるため、組織改善は持続性のある企業成長における重要な要素です。

企業としての特性を理解したうえで、組織改善に重要な7Sを理解しておくことも重要です。7Sを踏まえたサイクルを確立し、自社が成長し続けられる環境を構築しなければなりません。

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