- 組織人事
組織文化の事例
組織文化とは、それぞれの企業において従業員全員で共有している思考様式や価値観、行動規範のことをいいます。企業が目標を達成するための規則やルールも組織文化にあたります。組織文化は社外から企業に対する印象を作り上げることによって、企業ブランディングにも大きく影響します。
これらのことから、組織文化は企業戦略と変わらず経営をしていく上で重要な要素です。
組織文化とは
組織文化とは組織で共有している信念や認識、ルールのことをいいます。制度や規則など目に見えるものや理念や戦略といった標ぼうされている価値観、他にも企業において共通の意識を持っている場合も組織文化にあたります。
従業員が共通の組織文化を理解することによって、企業の理念や商品、その他提供価値に対して共通の認識をすることができます。このように、企業が組織文化を確立することによって商品の開発や販売、アフターサービスまで同じ意識をもって取り組めます。
組織文化はユーザーのニーズや社会の流れによって変化していく必要がある場合があり、一度出来上がると変化しにくい組織風土とは特徴が異なります。組織文化や外的要因が影響しますが、組織風土は影響しません。
組織文化が企業にもたらす影響
組織文化が企業にもたらす影響には次のような点が挙げられます。
- 従業員の定着率が高まる
- 判断が早くなる
- 企業に一体感が出る
従業員の定着率が高まる
組織文化が定着することにより、従業員一人ひとりが企業の方向性を理解することができ、従業員の満足度が上がります。このことから、離職率が下がり従業員の定着率が上がることになります。従業員の定着率が上がると人材確保をしやすくなり、求職者に対してのアピールにもなることから今後人材採用がしやすくなります。
判断が早くなる
事業に関する議論をしたとき、組織文化が定着していると企業の目標を共有していることから決断をしやすくなります。
企業に一体感がでる
従業員の数が多い会社だと従業員によって業務に対する考え方が異なり、業務の方向性がバラバラになりやすい傾向にあります。しかし、組織文化が定着していると行動指針が明確になることから企業全体的に一体感が出ます。
組織文化の事例とは
組織文化には次のような事例があります。
- 従業員全員が経営者(ファーストリテイリング)
- 仕事は挑戦に満ちていなければいけない(Google)
- 社会貢献活動につなげる(トヨタ)
- 社員全員がリーダー(Amazon)
- 新規事業提案制度(リクルート)
- 最小の資本と人で最大の付加価値を上げる(キーエンス)
従業員全員が経営者
ユニクロを運営しているファーストリテイリングでは個の尊重や会社と個人の成長をもっとも重要な価値観としています。 全員経営を打ち出しており、一般社員も経営者の観点から業務に取り込むことによって業務効率を高めていくのが大きな目的です。
ファーストリテイリングは、従業員の成長と自己実現を重視しています。従業員全員が、経営者として、世界で一番良い方法でビジネスを実行していく「グローバルワン・全員経営」、また、「現場・現物・現実」という考え方に基づき、常にお客様と現場を最優先に考え、本質的な課題解決ができる人材を育成しています。
出典:教育と育成(ファーストリテイリング)
仕事は挑戦に満ちていなければいけない
Googleは個人のスキルを尊重し挑戦できる環境を提供することを重要としています。組織文化を明確にすることにより、従業員一人ひとりの成果を上げられると考えています。
仕事は挑戦に満ちていなければいけない、挑戦は楽しくなければいけないという考えで会社を作りました。適切な企業文化があるほうが、創造性のある優秀な成果が上がりやすくなると Google は考えています。
出典:Google が掲げる 10 の事実(Google)
社会貢献活動につなげる
トヨタは車作りを通して社会貢献をすることや地域共創をすること、さらに人財育成をすることを組織文化としています。地域や社会の発展を実現しながら、従業員一人ひとり個人の成長も重要視しています。
トヨタの社会貢献活動もまた、“未来にどうありたいか”という視点で具体的な行動を起こす時だと考えています。
SDGs実現に向けて、取り組むべき分野を「共生社会」「人財育成*」「地域共創」、トヨタが目指す「Mobility for All」とし、誰もが豊かな心で、力強く生きていける地球社会の構築を目指します。
出典:社会貢献活動(TOYOTA)
社員全員がリーダー
Amazonでは従業員がリーダーであることを組織文化としており、一人ひとりが主体的に行動できる環境があります。このことにより、Kindleをはじめイノベーティブなサービスが誕生しています。
Amazonには世界で共通の「Our Leadership Principles」という14項目からなる信条があります。 それは、チームを持つマネージャーであるかどうかにかかわらず、Amazonでは、全員がリーダーであるという考え方のもとで、社員一人ひとりが、全ての日々の活動において、常にこの「Our Leadership Principles」に従って行動するよう心がけています。
出典:求める人物像Amazonでは、全員がリーダーです。(Amazon)
新規事業提案制度
「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」はリクルートの教訓です。リクルートは創立当時から起業家を輩出しており、従業員全員が当事者意識を持っていることからチャレンジ精神を持っています。
New Ringとよばれる新規事業提案コンテストが毎年開催されており、現在運営しているウェディング事業からデジタル事業、その他の事業においても従業員がNew Ringにより提案されたものです。
『ゼクシィ』『R25』『スタディサプリ』など数多くの事業を生み出してきた新規事業制度は、1982年に「RING」としてスタートし、1990年「New RING」と改定、そして2018年「Ring」にリニューアルしました。
出典:「新しい価値の創造」(リクルート)
最小の資本と人で最大の付加価値を上げる
キーエンスでは全社員が徹底して資本を減らすことを最小限にして、最大の成果を上げることを目指しています。
具体的な例を挙げると、営業担当がアポイントを取るとき、もっとも事務所から遠い場所にあるクライアントを1日の最初にとり、だんだんとオフィスに近い場所のクライアントのアポイントになるように調整します。このように進めることによって、最後のアポイントが終わったら事務所の近くに帰っており移動時間を最小限にすることができます。
このように無駄な労力を極力減らして、効果を最大限にするような工夫がされています。
付加価値とは、事業活動により生み出された新しい価値です。つまり、私たちの活動がどれだけ社会に役立っているかを示す指標です。そのため、付加価値を最大化することこそが社会への貢献だと考えています。「最小の資本と人で、最大の付加価値を上げる」。この考え方がキーエンスの経営の原点であり、私たちが目指す企業活動の理想形です。
出典:この会社には、夢中を支える「考え方」と「仕組み」が揃っている。(キーエンス)
まとめ
特に大手の企業は独自の組織文化を確立することで他社との差別化をしています。さまざまな組織文化が挙げられますが、従業員一人ひとりが成長できる環境作りをしていることが共通しています。いずれの企業も組織文化が明確であり、従業員一人ひとりが自身の役割を意識して自発的に行動しています。
さらに、企業に対するイメージが形成されており、ブランディングにつながっています。