2024.10.15

新規事業を推進するために必要な組織変革と人材育成の最前線

経営戦略を策定する中で従来の御用聞きやプロダクト提案型のようなモノ売りから、より潜在的な課題に目を向けて提案をしていく提案・共創型にシフトする企業が増えています。そして、課題がどこにあるのかを発見し、提案するというプロセス自体は事業開発のスキルを身につけることで解決できるようなところも多くあります。

そのため、事業開発に直接的に関わってない方でも事業開発のスキルを身につけることを考えている企業が増えてきています。

事業開発の領域整理

事業開発を市場とソリューションというマトリックスで考えたとき、飛び地の事業開発(新規市場 × 新規ソリューション)を取り組むことがありますが、飛び地の事業開発は難易度が高く、研究開発部門や一部の人でしか携われてないことが多くあります。

一方で、会社内における事業開発の裾野を広げる観点から、既存事業変革型の事業開発には多くの社員が関われる機会があり、新規市場に対する既存ソリューションの応用や既存顧客に対する別角度からのアプローチが求められています。

事業開発運用管理上の課題

企業における事業開発運用管理上の課題

事業開発ステップや各企業のステージゲートにおいて、Go/NoGoの判断を行うことで資源配分の最適化に取り組む企業は多いのですが、社内の目線が合わずに適切な運用管理ができているケースはあまりありません。

新規事業の継続判断とモニタリングが難しい理由は、事業開発の関与度と解像度が異なるためと考えられます。

事業開発で捉えるべき距離感

事業開発で捉えるべき距離感

事業開発の担当者が取り組むときに、既存事業に近いほど解像度は高くなりますが、解像度が高いゆえに事業開発に対するワクワク度が少なく、熱量を持って推進できないケースがあります。

一方、解像度が低くなりすぎるとワクワクはするものの、既存事業とのシナジーが薄すぎるため企業として事業開発を実施する理由がわからなくなってしまう問題が浮上します。

そのため、事業開発では担当者が熱量を持って取り組める程度のワクワク度合いと既存事業との距離感が丁度よいバランスを見極めることが重要です。

事業担当者は検証活動を通じてインプットが増えることで解像度が高まりますが、事業を判断する立場の方は判断するタイミングで初めて事業プランを見ることになり、解像度が低いことにより事業を実施する理由がわからず判断しづらいということが起きてしまいます。

そのため、「距離感」は同じ会社の中でも人によって異なるという前提のもと、メンバーの主体性を引き出しながら個性が活かせる配置を行うことが事業開発を成功させるうえで重要になってきます。

事業開発の関与度と解像度

事業開発で捉えるべき距離感

世の中には解像度を高めるためのフレームワークは多く存在する一方、関与度の差を埋められていないという課題が残っています。本来は解像度と関与度の差を補うアプローチをセットで取り組む必要があるということもあり、リブ・コンサルティングでは、事業開発の担当者が本気度やワクワク度を社内に伝播させていくことに対するアプローチをコンテンツとして用意し、訓練して進めていくというサポートを行っております。

デジタル革新時代の事業開発に必要な人材要件

デジタル革新時代の事業開発に必要な人材要件

事業開発を進めるうえで必要なスキルとして挙げられていたものにT型やπ型というものがあります。専門性を1つ2つ持ち合わせながら領域の幅を広げていくことで事業開発を進められるというものでしたが、昨今ではスピード感が非常に早くなっていることもあり、変化に対して臨機応変に対応することが求められるようなっているため、T型やπ型だけではキャリアとして不足してくるようになっています。

事業開発人材に求められる3つのスキル

そのため、現在の事業開発人材に求められるスキルとしては次の3つが挙げられます。

  • Business:社会や顧客の課題・ニーズに寄り添い、収益性を確保しながら事業として課題解決を実現していくスキル
  • Technlogy:先端テクノロジーをビジネスサイドから読み解き、デジタル活用を前提に事業アイデアをアップデートしてビジネスモデルの変革や事業規模の拡大を図るスキル
  • Creative:社会課題と自身の思いを接続・言語化し、多様性のある仲間とともに周囲の共感と協力を得ながら、より大きなビジネスを構想・実現していくスキル

リブ・コンサルティングでは、事業開発の人材育成という観点で上記3つのスキルをバランスよく兼ね備えることを前提にソリューション設計を行っています。

組織変革・人材育成ソリューション

リブ・コンサルティングの組織変革・人材育成ソリューションとしては大きく4つに分かれています。

事業開発プロジェクト伴走 具体的な事業開発プロジェクトをベースに、組織的な事業開発能力の向上、事業開発推進担当社の伴走サポートを目的にしたメンタリング支援
事業開発人材育成プログラム 既存社員の事業開発人材化を目的に、次世代リーダー層や次世代フォロワー層向けアップスキリングプログラムを集合型研修として提供
イントレプレナー発掘育成プログラム 社内から事業アイデアおよび事業化が生み出すためにビジネスアイデアコンテストの活性化と企画運営サポートを通じた事業開発に強い組織風土への変革支援
デジタル事業共創スタジオの運営 事業開発に必須となるデジタルリテラシー強化を目的に生成AI課長ワークショップ、有識者とのセッション機会など、事業開発組織に必要なインフラ機能を提供

事業開発プロジェクト伴走

事業開発プロジェクト伴走

事業開発プロジェクト伴走では、目的を事業開発ノウハウを社内に蓄積し、再現可能な状態にすることとしています。

実際に進行中の具体的な事業開発プロジェクトを通じて、組織および人材の事業開発能力を直接的に強化するための支援を行い、企業の目的や事業開発能力フェーズに応じた支援スタイルを提供いたします。

事業開発人材育成プログラム

事業開発人材育成プログラム

事業開発人材育成プログラムでは、企業変革を事業開発の観点から推進できる人材を社内に増やすことを目的としています。

新規事業専任者のみならず、既存事業に携わる方も含めて事業開発人材化を促すことで会社として、事業開発能力を高める取り組みを実施いたします。対象者に合わせて研修プログラムのボリュームや難易度の調整をすることもできます。

アップスキリングプログラムとしての次世代リーダー層向けの人材育成プログラムとビジネスイネーブルメントとしての社内の事業開発力向上のインフラ研修プログラムの2つを提供しています。(詳細は後述)

イントレプレナー発掘育成プログラム

イントレプレナー発掘育成プログラム

イントレプレナー発掘育成プログラムでは、ビジネスコンテストのアップデートと応募者および運営事務局の負荷軽減、運用サポートを目的としています。

ポイントとしては大きく次の2つがあります。

  • 企画運営の中で、質の高いアイデア数を増やすことに対するサポート
  • 起案されたものに対して、最終プレゼンの品質を向上させることに対するサポート
施策例 ソリューション内容
事業開発セミナーの開催 社員の興味喚起と意欲醸成を目的にセミナーを企画開催
事業開発テーマの選定 企業が求める領域、視点を示す事業テーマを個別選定
応募用フォーマットの提供 応募内容の一定水準の担保と選考を見据えた「型」の提供
デジタル活用研修 アイデアアップデートのためにデジタル視点をインプット
メンタリング伴走支援 現役コンサルタントによる応募者の伴走サポート
プレゼン発表会の場の企画 審査員/審査基準などモチベーションの上がる場をセット
応募者の負荷軽減施策 一部の仮説検証調査活動などの代行も可能
事務局の負荷軽減施策 事務局業務を一部代行も可能(内容は要ご相談)

デジタル事業共創スタジオの組成

デジタル事業共創スタジオの組成

デジタル事業共創スタジオの組成では、デジタル × 事業開発に携わる方が日常的に知見をアップデートできる場の提供を目的としています。

デジタルリテラシー向上のための機会を定期的に提供するほか、リブ・コンサルティングのネットワークを活用し、事業開発に携わる方と有識者やコンサルタントとの会話の機会を提供いたします。

事業開発人材育成プログラムの種別

事業開発人材育成プログラムの種別

リブ・コンサルティングが提供する事業開発人材育成プログラムは目的やゴール、対象に合わせて実施できるよう、大きく3つのプログラムをソリューションとして開発しています。

  • プランA(リーダー候補の育成):社会人10〜15年目のリーダー候補者を対象に、事業プラン策定からプレゼンテーションまでを一貫して学びます。参加者は最終的に役員層に向けて自らの事業アイデアを提案する機会があります。
  • プランB(中堅社員のスキルアップ):既存事業に従事しながら、新規事業開発スキルを身につけるための研修です。グループワークを通じて、複数の事業プランを策定し、実践的な経験を積みます。
  • プランC(全社的な育成プログラム):全社的なスキル向上を目的としたオンライン研修です。新入社員から中堅社員までが参加し、既存事業の改善や新規事業のアイデア出しを行います。

プランA:選抜型:集合研修+個人演習

プランA:研修プログラムの全体像

プランAは約6ヶ月間にわたり集中的に進められます。最初の1ヶ月間は、事務局と協力してプログラム内容を調整し、研修を実施するための事前課題を提示します。

次に、ビジネス、テクノロジー、クリエイティブなどのスキルを総合的に学ぶ研修が行われます。通常、この研修は3回程度実施され、各回の時間はおよそ4時間が目安です。ただし、研修の回数や頻度は参加者と調整の上で決定できます。

最後の2ヶ月間は、獲得したスキルを基に個々に事業プランの策定に取り組みます。この期間中、仮説検証を行い、アイデアをブラッシュアップし、最終的には社内発表会で役員を含むメンバーに対してプレゼンテーションを行います。この発表会で、より高い蓋然性のある事業プランを発表することを目指します。

プランB:集合研修+グループワーク&Rev

プランB:研修プログラムの全体像

プランBでは、集合研修を全体で3回実施し、特に研修のDay1とDay2に焦点を当てます。この中で、グループごとに事業プラン策定のための問いの設定や解決策の精査、検証の準備を行うワークショップを実施します。その間、各グループは事業プランの仮説検証に取り組み、コンサルタントがオンラインでレビューを行います。この工程は約3〜4ヶ月にわたり進行されます。

プランC:オンライン研修+フレームワーク実践(ビジネスイネーブルメント研修)

プランC:研修プログラムの全体像

プランCでは、オンライン型研修とフレームワーク実践を組み合わせた内容で、事業開発に携わる方々だけでなく、既存事業に関わるビジネスイネーブルメントの担当者にも役立つものとなっています。研修の目的は、新規事業と既存事業を結びつける力や、解像度を上げる力、チーム内でのコミュニケーション能力を向上させることです。

研修は約1ヶ月半から2ヶ月の期間で完結し、事前課題として動画によるオリエンテーションが用意され、研修に慣れていない方にも目的や進行方法を説明します。本研修は2日間に分けて集中的に実施され、オンライン形式で進行します。研修ではフレームワークや考え方が解説され、その後、参加者は事後課題に取り組みます。この課題では、自分が取り組んでいる業務の改善や事業プランの策定に関するアイデアをワークシートに基づいて起案し、提出します。

提出された課題に対しては、個別にフィードバックが行われ、さらにオンライン研修の第3回では、提出された中から2〜3つの優れた起案を全体で共有し、講評を行います。この際、具体的なポイントを解説する時間も設けられ、参加者がより理解を深められるような内容となっています。

まとめ

新規事業開発には組織全体の変革と人材育成の連携が不可欠です。リブ・コンサルティングは、企業の経営戦略を基盤に置きながら、デジタル技術の活用や実践的な育成プログラムを通じて、次世代のリーダーを育成し、新規事業の成功を支援しています。特に、事業開発を成功させるためには、単なるノウハウの伝達ではなく、組織全体が一体となって取り組む体制の構築が不可欠です。

関連資料ダウンロード

一覧に戻る

関連コラム