- 経営戦略
オープンイノベーション白書とは
オープンイノベーション白書とは、NEDOがJOIC(オープンイノベーション協議会)と共同で発行している書籍です。日本におけるイノベーションの課題や現状を踏まえて、対策の掲示を目的に策定されているのが特徴です。
2016年に初版が発行されて以降、現在までに第三版までが公開されています。書籍版だけでなく、ダウンロード版を利用してWebで閲覧することも可能です。
オープンイノベーション白書にはイノベーションの重要性や変遷など、さまざまな内容が掲載されているのが特徴です。そのため、新たなイノベーションを検討する企業にとって非常に重要な役割を果たします。
なぜオープンイノベーション白書が策定されたのか、その背景や歴史、構成について知ることでより理解度を深められます。オープンイノベーション白書から読み取れることを、自社の発展に活かすのも重要です。
オープンイノベーション白書とは
オープンイノベーション白書とは、企業がオープンイノベーションを進めるための課題発見や現状把握に活用できる書籍です。他社のノウハウを自社に活かすオープンイノベーションを効果的に実施するのに、重要視される書籍ともいえます。
オープンイノベーションの歴史についても記載されているので、はじめてイノベーションを実践する企業に必要です。イノベーションとは何か、根本的な知識を身につけるためにも重宝されます。
また、日本だけでなく海外の市況からイノベーションの課題を分析できるため、現実からの脱却を幅広い視点で実施できます。
オープンイノベーション白書は、JOIC(オープンイノベーション協議会)により発行されている書籍です。JOICが2015年に設立した、NEDOという事務局との共同で発行されていることでも知られています。
JOICは、日本企業におけるイノベーションの創造、強化をサポートする目的で設立されています。国家レベルでのイノベーション普及を目的とし、NEDOと共同でオープンイノベーション白書を発行しました。
なぜオープンイノベーション白書が策定されたのか
オープンイノベーション白書策定の背景には、日本のビジネスシーンにおける競争率の激化があります。市場競争を勝ち抜こうとしても、自社のノウハウだけでは差別化が図れないと課題に感じている企業が増えています。
そのため、多くの外部リソースの活用が多くの企業で重要視されています。このような理由から、オープンイノベーションにおける課題を可視化するために、オープンイノベーション白書が策定されました。
オープンイノベーションにまつわるデータはもちろん、オープンイノベーションで成果を上げた企業の実例も掲載されています。自社のイノベーションを効果的に進めるための基盤となるよう、策定されたといっても過言ではありません。
オープンイノベーション白書の歴史
オープンイノベーション白書の歴史は、2016年に発行された初版からはじまっています。その後、初版の内容を最新のものへとブラッシュアップした第二版が発表されました。
第二版では、オープンイノベーションによる効果や目的がより明確にされています。また、オープンイノベーションを進めるうえで注意しておくべきポイントもわかりやすくなりました。
第二版が発行された後、GAFAやHuaweiなどの台頭を受け、第三版がリリースされます。第三版は、日本企業におけるイノベーションの停滞についての可能性を示唆し、策定されました。
また、オープンイノベーションそのものの原点に立ち返っているのも、第三版の特徴です。このようにオープンイノベーション白書は、初版から第三版までブラッシュアップを繰り返し続けています。
第四版が出る予定はあるのか
現状、オープンイノベーション白書の第四版が発行されるという情報は発見できません。NERDの公式サイトにも明確な情報はありませんでした。
少なくとも現段階では第三版が最新版となるため、これから購読を考えている方は第三版を確認してください。
これまでも、市場の状況を加味したブラッシュアップが繰り返されています。今後新たな動きや変革が市場に起こった場合、第四版が出版されるかもしれません。
オープンイノベーション白書の構成
オープンイノベーション白書は主に、イノベーションに関する以下6つの観点から構成されています。
- 変遷や重要性
- 国、業界ごとの経緯
- 日本での現状
- 国内外合わせたイノベーションの事例
- 今後の課題と対策
- イノベーション創出に関する活動内容の報告
1章.変遷や重要性
1章ではイノベーションにおける変遷や重要性について、以下の項目で触れられています。
- 主な変遷
- 歴史
- 20世紀から21世紀にわたるイノベーション論
- 経営、研究、改善、普及、新規事業などさまざまな視点での活用事例
- イノベーションの定義や創出について
2章.国、業界ごとの経緯
2章では、マクロ環境にスポットを当てた観点が組み込まれています。
- マクロ環境における変遷(政治、経済、社会、技術)
- マクロ環境における指標
- 日本の製造業、サービス業の割合
- GDP、収益性、労働生産性について
- 世界の人口と高齢化について
- 社会インフラの現状
- 各国のイノベーション施策(日本、アメリカ、中国、ドイツ、イギリス、イスラエル)
- 業界ごとの変遷
- 各国におけるエコシステムについて
3章.日本での現状
3章からは、日本のイノベーションに特化した内容に触れられます。
- 日本企業におけるイノベーション創出の現状(発明牽引型、展開型、普及型、21世紀型)
- 日本企業の取り組みについて(研究開発、知財、人材、経営、スタートアップ)
4章.国内外合わせたイノベーションの事例
4章では、さまざまな企業のイノベーション事例を掲載しています。有名企業の事例を把握できる絶好の機会です。
また日本企業だけでなく、海外企業の取り組みも把握できます。国内外におけるエコシステムの取り組み事例も掲載されているので、実践編として参考になります。
各企業の事例を受け、イノベーション創出に関する特徴や方策について触れられているのも4章の特徴です。5章に向けた内容となっているため、読んでおくことを推奨します。
5章.今後の課題と対策
5章には、イノベーションに関する日本企業の課題について掲載されています。課題に対する策もあわせて把握できるのも5章の傾向です。
また、今後日本がどのような方向性でイノベーションを進めていくべきかを確認できる章でもあります。
6章.イノベーション創出に関する活動内容の報告
最後の章となる6章では、オープンイノベーション白書を発行するJOICとNEDOの活動内容が報告されています。また、JOICの概要について把握できる項目も掲載されています。
まとめ
オープンイノベーション白書からは、イノベーションに関する重要性や変遷などを学べます。また、イノベーションそのものの概要を把握できるのも特徴です。
日本の有名企業や海外企業などの取り組み事例が、わかりやすく掲載されているのも本書の強みです。
現在新たなイノベーションを検討している企業はもちろん、既存事業のブラッシュアップにも有効活用できます。オープンイノベーション白書を一読し、自社ならではのイノベーションを実行してください。