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人材育成の目標設定とは?人材育成の目標設定の手順とポイント
企業の業績向上を果たすためには、その企業で働く人材の育成が欠かせません。人材育成は、社員個々人のスキルアップにとどまらず、企業にとっても生産性の向上が見込まれ、企業の成長を加速させるための原動力にもなりえます。
この記事では、人材育成における目標設定の方法や、目標設定の手順、ポイントなどについて詳しく解説していきます。
人材育成の目標設定が大事な理由
普段の仕事をこなしながら時間を捻出して育成が実施されるケースも多いです。限られた時間で最大限の成果を狙うためには、目標の設定がとても重要となります。
目標が定まっていなければ、ただ研修を行うだけで肝心の成果に繋がりにくくなってしまいます。人材育成には時間もコストもかかります。しっかりとゴールを定め、目標と結果が可視化できる状態にする必要があります。
人材育成を目標とした研修はしっかりと個人の目標設定を行い、参加する研修に目的意識をもたせ、その後の仕事に活かしていけるものでなければなりません。設定した目標がクリアできれば、社員も達成感を感じることができ、仕事においても良い方向に向かっていきます。これは個人のスキルアップのみならず、全社的な利益にもつながっていきます。
人材育成の目標設定を行う手順
手順1:目標に掲げる項目の設定
目標の項目設定は、達成したいと思うものをピックアップしていきます。
これには4つのタイプがあります。
1つ目は、「向上・強化」です。この項目は現状に問題は特にないが、今よりもレベルアップしていきたいとする目標です。
2つ目は、「改善・解消」です。この項目は、現在の状況に問題があり、その問題にフォーカスし改善、解消させていく目標です。
3つ目は、「維持・継続」です。これまでどおり行い、今と同じような状態を保っていくという目標です。
4つ目は、「創出・開発」です。これまでとは違う新しいことを始めたいときに設定する目標です。
手順2:達成の基準を設定
目標の達成基準は明確にわかりやすくすることが大切です。基準を数字で設定するのが望ましいですが、ケースによっては数字での基準にこだわらないほうがわかりやすくなることもあります。
数字での目標設定例としては次のようなものがあります。
- 企画を毎月1つ考える。
- 訪問営業を1日10件行う。
- 会議では必ず1回は発言する。
具体的に数値化し目標を立てることで、やるべきことが可視化されます。これにより目標達成に向けて動きやすくなります。
手順3:期日の設定
いつ時点までに目標を達成したいかという期日を設定します。
もし目標管理制度の導入が初めての企業の場合は、まずは一括して社員に1〜3ヶ月程度の短期間で設定し、慣れてもらうとよいです。
手順4:達成計画の作成
目標に掲げた項目を達成するためのアクションプランを日々の業務に落とし込んでいきます。どのように実行するのか、どのような関係者がいるのか、どのようなツールを利用するのかについて、目標設定シートを用いて具体的に記載していきます。
頭だけでイメージせず、きちんとシートを利用して可視化できるようにしておきます。
人材育成目標設定のチェックポイント
ここからは、成果に繋げやすく、達成しやすい目標を設定するためのポイントをご紹介します。
働く社員にとってプラスとなる目標設定ができているか
上司から指示されたことをやるだけでは、社員のモチベーションは上がりません。企業で働く社員が、何のために行い、達成した場合どうなるのかについて、しっかりとイメージしてもらえる目標を設定することが大切です。
企業が掲げる目標と個人の目標に齟齬はないか
企業の目標と個人の目標がずれていれば、人材育成を行う目的を見失ってしまいます。企業が目指すべき目標=ゴールを明確にし、個人の目標はそれに沿ったものである必要があります。
社員すべてに対し同じ目標設定を行っていないか
現代は多様性の時代です。社員一律に同じ目標を設定していては、企業も成長しません。個人の適性を判断したうえで、それぞれの個人に合った目標設定が大切です。
長期的な視点がもてているか
働く社員の自己成長を手助けしてあげることは、今後の企業の成長にとって必要なことです。新入社員だけでなく、企業で働く個人の成長に終わりはなく、長期にわたって人材育成の目標設定を行うことは大切です。社歴に捉われず、どの世代の社員においても成長できるということを意識してあげる働きかけをしていく必要があります。
目標達成度が測れるか
人材育成の目標に対して、どの程度まで達成できたかという、達成度を測定することもとても重要です。前述しましたが、目標達成度は数値で測るのが理想ですが、必ずしも数値化ができるわけではなく、難しい場合は「どのような状態になっているか」で測ります。目標はあやふやにせず、事前に綿密に計画を立てておけば、途中段階の進捗状況も確認でき、目標達成に近づけることができます。
人材育成の目標設定例
設定する目標は担当部署や業務によって異なります。ここからは一般的な部署における人材育成の目標設定の例をご紹介します。
人事部
人事部の業務は多岐にわたりますが、人事部は企業の成長にとって必要な人材の発掘をする部署となるため、非常に重要な職務を任されています。人事部においては、企業や社員が抱えている問題に対して改善、解消に焦点を当てた目標を立てることが望ましいです。
例えば、自社にとって適した研修をセッティングし、●月●日までに●人の受講者数を目指すといったような形で目標を設定します。
総務、財務部
総務や財務部は、自社において他の部署が行わないさまざまな社内業務を行う部署です。いわゆる事務と呼ばれる業務を中心に行いますが、総務や財務部門においては、維持、継続に焦点を当てた目標を設定するとよいです。
目標設定例ですが、給与計算や決算書の作成業務において月の残業時間を●時間までに抑える、給与計算を行う際に締め日以降の修正をゼロにするといったものが挙げられます。
顧客対応を行う部署
基本的に顧客への対応が中心の業務となり、寄せられるクレームや要望事項などに日々応えていく必要があります。顧客にとっては直接対応を行う部署が会社の顔となります。よって対応の質が高いと満足度も自ずと高まるはずです。
日々寄せられる事項に柔軟に対応しなければならず、その中で個別に対応の質を上げていく必要が出てきます。強化や向上を目指すタイプの目標が望ましいです。
目標設定例としては、顧客対応満足度●%以上という形がまず挙げられます。ただしこれだけだと、状況によっては達成までのステップが見えづらくなります。できればもう1歩踏み込んだ内容を設定するのが望ましいです。
例えば、電話対応に●分以上かかった場合、他の社員がフォローに入ることでチーム全体の顧客対応満足度を●%以上にするという目標。個人ではなくチームでの目標を設定することにより、柔軟に対応しやすくなります。
まとめ
人材の育成が成功すると、社員個々人のスキルアップだけでなく、企業としても大きく成長することが可能になります。人材育成を行ううえで、事前の目標設定はとても大切になります。企業内の人材育成を検討している方は、是非参考にしてください。