2023.07.04

NoSQLとは

NoSQLとは柔軟なデータモデルを備えた非リレーショナルデータベースを意味します。IT技術の発展やDX推進に伴い、企業のITプラットフォームにおけるデータベースも外部環境の変化に対応できる構造が求められています。これまでは、決められた構造に合わせて管理するリレーショナルデータベースを利用するケースが一般的でした。

しかし、形式に決まりを持たないデータ管理を可能とするデータモデルが誕生し、従来のモデルと区別するためにNoSQLと呼ばれ、近年は大きく注目を集めています。NoSQLを利用する企業やユーザーは増えていますが、リレーショナルデータベースの役割をすべて補えるわけではありません。そのため、両者の違いをよく理解し、用途によって最適なデータベースを使い分けることが重要です。

NoSQLとは

NoSQL(Not Only SQL)とは、柔軟なデータモデルを備えた非リレーショナルデータベースです。これまで主流であったリレーショナルデータベース以外のすべてのデータベースを意味するため、非常に範囲が広いといえます。リレーショナルデータベースとは、表形式で複数のデータを関連付けて使用できるようにしたデータベースです。

ただし、厳密にはNoSQLはこれだと表せるものはなく、SQL(Structured Query Language、リレーショナルデータベースを操作する言語)のようなリレーショナルデータベース以外がNoSQLと呼ばれています。

NoSQLはさまざまな形式でデータを格納できる点や高速なデータ処理が可能で拡張性も高い点が特徴です。使用量や負荷に柔軟に対応するため、高機能なデータベースを必要とする最新のアプリケーションでの利用に最適といえます。

NoSQLの重要性

NoSQLの重要性が高まっている背景には、データ量の増加が挙げられます。膨大で多様なビッグデータを処理しなければならない機会が増えたため、データの処理能力に優れているNoSQLの必要性が高まりました。ビッグデータの特徴であるデータ量の多さや形式の多様さ、処理の速さに対応するには従来のリレーショナルデータベースでは困難であるとされています。

NoSQLはExcelやCSVファイルなどの構造化データ以外の画像や動画、音声などの非構造化データ、半構造化データも扱うことが可能です。そのため、さまざまな形式や内容のデータ処理が可能であることから、幅広い分野でのニーズが高まり、大きく注目されるようになりました。

NoSQLのメリット

SQLではlotのようなビッグデータを扱う際に不安がありましたが、NoSQLはシンプルな構造にすることで高速なデータ処理が可能です。また、幅広いスケールアウトに対応することから、上手にサーバーの並列を組むプログラムを作り、サーバーの台数を増やせば増やすほど性能を上げられます。NoSQLは画像や動画、音声、PDFなどの非構造化データと半構造化データも扱うことができるため、どんなにデータが膨大になっても確実に保存することが可能です。

NoSQLの注意点

NoSQLは、複数のサーバーにデータを分散させることによって、整合性が確保できないケースがあるという点に注意が必要です。サーバー間の整合性を保つ必要があることや、構造化データを扱うことが困難である点にも注意しなければなりません。

SQL(リレーショナルデータベース)との違い

SQL(リレーショナルデータベース)との違いは次のとおりです。

  1. データの格納方法
  2. データの処理能力
  3. 拡張性

データの格納方法

SQLのデータは列と行のある表のようなテーブルと呼ばれる領域に保存され、イメージ的にはExcelのように構造化された表形式で管理される形です。よって、構造化されたデータでなければ格納できません。一方で、NoSQLではSQLのような制約はなく、ドキュメントなどに保存することが可能であるため、さまざまなデータモデルが利用できます。

データの処理能力

SQLでのデータ処理はデータが増えるほど処理速度が低下してしまいますが、NoSQLは膨大なデータでも素早く処理できます。NoSQLが高速処理を可能にする要因は、完全な一貫性を含むSQLと違い、データ処理の結果が最終的に一貫性であればいいという点です。

拡張性

データベースの拡張をする際、SQLはサーバーの性能を上げるか、より大規模なサーバーに移行するなどして垂直型に拡張します。一方で、NoSQLは一般的なサーバーを追加するだけの水平型による拡張が可能です。NoSQLは、主にクラウド型アプリケーションを対象に分散型システムのサポート用として設計されているため、スケールアウトによってパフォーマンスの向上が期待できます。

NoSQLの種類

NoSQLの種類は次のとおりです。

  1. キーバリュー型
  2. カラム指向型
  3. ドキュメント型
  4. グラフ型

キーバリュー型

キーバリュー型はもっとも単純でシンプルなデータモデルです。すべてのデータがキーとバリューで構成されており、データを識別するキーと、それに対する値のバリューで扱う形です。キーバリュー型は結合処理ができないため複雑な検索処理には不向きですが、大規模なスケールアウトができます。代表的なデータベースとしてはAmazon Dymamo DB、Memcachedなどが挙げられます。

カラム指向型

カラム指向型はキーバリュー型のバリューが1つ以上の列になったものです。構造的にはSQLに近いモデルといえますが、データを行単位で扱うSQLに対し、カラム指向型では一列単位で扱うのが特徴です。列を動的に追加できたり、データを効率的に圧縮できたりする点がカラム指向型のメリットです。代表的なデータベースとしてはCassandra、RedShiftが挙げられます。

ドキュメント型

ドキュメントはJSONやXMLといった半構造化ドキュメント形式を扱うデータベースです。ドキュメント型はキーバリュー型を発展させたものですが、キーバリューよりも命令や問い合わせを意味する複雑なクエリが可能となります。また、不定形でも柔軟に対応し、複雑な要素を持つデータの格納にも対応する点もメリットです。代表的なデータベースとしてはCloud Firestore、BaseXが挙げられます。

グラフ型

グラフ型はノードやエッジ、プロパティの3つの要素から構成されるデータベースです。複雑な結合処理が必要なデータ向けに設計されており、膨大なデータから共通点や異常点を見つけることに優れています。代表的なデータベースとしてはNeo4j、InfiniteGraphなどが挙げられます。

NoSQLの代表的なモデル

NoSQLの代表的なモデルは次のとおりです。

  1. Amazon DynamoDB
  2. Cloud Firestore

Amazon DynamoDB

Amazon DynamoDBはキーバリューとドキュメント型モデルの両方をサポートし、モバイルやWEB、ゲームなど、幅広いアプリケーションデータベースとして利用されています。データの格納と取得に特化しているうえ、通信の遅延時間を要求するアプリケーションにも対応可能です。

Cloud Firestore

Cloud FirestoreはGoogleが提供するNoSQLのドキュメント型データベースです。データベースを構築するためにハードウェアなどは必要なく、インターネット回線につながってさえいればいつでも利用可能です。Cloud Firestoreはデータ量に応じて自動的にスケールアウトされるため高いパフォーマンスを維持します。

まとめ

NoSQLとは、SQLなどのリレーショナルデータベース以外のデータベースを意味します。高速なデータ処理や拡張性、柔軟性が高いなどのメリットがあり、膨大で多様なデータ処理を可能とするデータベースです。

NoSQLのデータモデルにはキーバリュー型やカラム指向型など、さまざまなモデルが利用可能であり、素早く大量のデータをリアルタイムで扱うことに適しています。一方で、常に一貫性を求めるデータベースにはSQLが適しており、両者の特徴を理解し、用途ごとに使い分けることが重要です。

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