- 事業開発
新規事業立ち上げのプロセス
社会情勢や流行、顧客のニーズなどが急激に変わる近年、新規事業の立ち上げはリスクがあります。新規事業立ち上げを成功する確率を上げるためには、必要な準備があります。
新規事業立ち上げのプロセスを理解していないと、十分な準備ができず事業が失敗する可能性が高まります。業種によって違いはありますが、新規事業立ち上げに共通する点があります。
新規事業で失敗をしないためにも、十分で効果的な準備をしておくことが重要です。
新規事業立ち上げる前に必要なこと
新規事業を立ち上げる前に、以下3つのことが必要になります。
- 市場の把握
- 事業価値の確認
- 長期間取り組める事業内容であるかの確認
新規事業立ち上げ時の市場把握
新規事業を立ち上げるとき、商品やサービスの内容、販売する手法だけに力を入れがちなのですが、商品やサービスの需要があるのか、参入する市場は今後成長するのかなど市場を把握することが大切です。
需要予測が十分なものでないと事業が成功する確率が低くなります。十分な予測をしたうえで商品やサービスが必ず市場での需要があると言い切れる根拠が必要です。
なぜ新規事業が必要か説明するときに、市場を把握し根拠のある需要予測ができていないと新規事業案が運営者や融資社などに認められないことがあります。
事業価値の確認
新規事業において事業価値の確認が必要です。事業内容がどれだけ充実をしていても事業価値がないと事業は成功しません。近年インターネットやスマートフォンの需要が高まり、ユーザーはさまざまな情報を調べることができます。
そのため、良い商品やサービスをできるだけ安く提供するだけでは長くユーザーの信頼を得ることはできません。ユーザーに対してどのような価値をもたらすのかを明確にする必要があります。
長期間取り組める事業内容であるかの確認
新規事業は、顧客のニーズや市場規模、既存事業の強みを活かすなどいずれも重要です。しかし、実績やノウハウのない事業を立ち上げるため、どれほどの準備をしてもすぐに売り上げにつながるとは限りません。顧客から信頼されるまでも時間がかかります。
そのため、長期間取り組むことができる事業内容でなければ、途中で挫折してしまう可能性があります。すぐに利益や顧客からの良いフィードバックにつながらなくても、続ける熱意があることが重要です。
新規事業立ち上げ時の手順
新規事業立ち上げ時には、一般的に以下の手順で進めていきます。
- 事業のミッション設定
- 顧客セグメントを設定
- 商品やサービスの選定
- テスト販売
事業のミッション設定
新規事業のミッションや理念を設定するにあたり、既存の経営理念とずれていないことが大切です。メインとなる商品やサービスを開発する前に企業のミッション、新規事業の目的、経営者が求める条件などを確認する必要があります。
商品を売ること、サービスを多くの人が利用することはもちろんですが、新商品やサービスを顧客に提供することにより、どのようなミッションがあるのか、どのように世の中に貢献できるのかなどを共有しておくことで経営者との考え方のずれを防ぐことができます。
顧客セグメントを設定
顧客セグメントとは性別や住んでいる場所、年齢などにより顧客グループに分けることをいいます。顧客セグメントが大きすぎると顧客のニーズにあった商品にするのがむずかしくなり、顧客セグメントが小さすぎると対象となる顧客が少なく売り上げが下がります。
そのため、顧客セグメントを作成するときに、売り上げの見込み、顧客が満足するサービスを提供し、競合他社に勝てるのかを考える必要があります。
顧客セグメントは既存客から作成する方法と市場に関連する消費者全員を対象にする方法があります。もし新規事業が既存事業とまったく違うターゲットであったり、違う分野であったりする場合は市場の消費者全員が対象となります。
商品やサービスの企画
商品企画をするためにはさまざまなアイデアを出すことが大切です。しかし、アイデアだけでなく、以下の点に気を付けながら商品を設定していく必要があります。
- 商品名、販売方法、パッケージなど綿密な計画
- 市場の動向を把握
- SNSなどで消費者のニーズを確認
- 利益規模感の想定
- 競合他社の動向
テスト販売
商品が決まったら、個数を限定してテスト販売をして消費者の反応を聞いてみることが大切です。テスト販売には以下のように、3つの目的があります。
- 失敗を最小限にする
- ターゲット設定
- プロモーションの効果測定
失敗を最小限にする
商品の開発者はこの商品なら絶対売れると自信をもって開発を仕上げています。しかし、実際には思い込みであることもありますが、テスト販売をして実際に消費者の声を聴くことで失敗を最小限にすることができます。
消費者からのフィードバックを聞くことにより、よりよい商品にしてから本格的に販売をすることができます。
ターゲット設定
いくら商品がよくても、ターゲットを間違えていれば売り上げにはつながりません。販売をする前に、十分なターゲット詮索をするのですがそれでも間違っていることがあります。
例えば、甘いお菓子を作って若い女性をターゲットにしていても、実際は男性の方が需要が高い場合もあります。そこでテスト販売をすることで、ターゲット設定の修正が可能です。
プロモーションの効果測定
消費者の反応をみながら広告媒体は何を使うかどのようなキャッチフレーズにするのかなど、最終判断をすることができます。例えば、ターゲット設定を修正した場合だと、キャッチフレーズや広告媒体をもともとの案から変更する必要があることがあります。
新規事業立ち上げ時の具体的な準備
新規事業を立ち上げる時に必要な準備として、以下の2つの設定が挙げられます。
- 事業計画の作成
- 初期メンバーの設定
事業計画の作成
新規事業立ち上げには事業計画書の作成が必要です。事業計画書には事業内容の他に企業のビジョン、強み、市場環境、マーケティング戦略などを記載します。経営者、取引先、さらには投資家や融資担当者が新規事業を立ち上げる必要性を理解できるような内容にすることが大切です。
そのためそれぞれの項目には、根拠があるデータが必要になります。官公庁やシンクタンクのデータや消費者の声などを載せることにより、事業計画書を読む人に共感してもらいやすくなります。
初期メンバーの設定
初期メンバーの選び方ですが、新規事業のビジョンを理解していることが大切です。メンバーごとにビジョンが異なると、スムーズに新規事業を展開していくことができません。目先の売り上げだけを追いかけるような視野の狭い人も新規事業には向いていません。
また、既存事業のようにノウハウがあるわけではないので、さまざまな課題に直面するため、問題解決力があり、倫理的な思考を持っている人が新規事業に向いています。
まとめ
新規事業を立ち上げるときに、必ずリスクが生じます。しかし、十分な準備をすることにより、リスクを最小限にすることができます。あらゆる角度で分析をするほか、さまざまな状況を予測することが大切です。
しかし、市場は常に動いており消費者のニーズも変化していきます。十分に準備をすることは大切ですが、あまり時間をかけすぎると市場の状況が大きく変わってしまうことがあります。そのため新規事業の準備は、十分に準備することの他にスピードが求められます。