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新規事業にM&Aを活用するメリットとは?
新規事業のスタートは、企業の新たな収入源を得るために効果的な方法です。しかし、新規事業は人材確保や市場参入などのハードルがあり、不安を感じる経営者は少なくありません。その不安を解消できるのがM&Aです。
M&Aは、企業同士が合併や買収、売却を行い、1つの企業となることです。M&Aには人材を確保できる、会社の規模を拡大できるなどのメリットがあります。
この記事では、新規事業にM&Aを活用するメリットについて解説します。
新規事業にM&Aを活用するメリット
新規事業を始める際に課題となるのが、必要な知識や技術を持った人材の確保、新しい市場に参入することの不安です。M&Aの活用でこれらの問題は解決できます。
新規事業にM&Aを活用するメリットとして、次の4つが考えられます。
- 人材や技術を確保できる
- 新しい市場に参入できる
- 会社の規模を拡大できる
- 相乗効果が生まれる
人材や技術を確保できる
M&Aでは、新規事業の技術や知識、それらを持ち合わせている人材を、統合先の企業が保有している場合があります。コストをかけずに人材や技術を獲得でき、素早い事業展開が可能です。
中小企業庁が発表する中小企業白書(2017年)によると、新事業展開の成否別に見た研究開発における課題は「必要な技術・ノウハウを持つ人材が不足している」が、新規事業に成功した企業、成功していない企業ともに60%を超えています。また新規事業では知識や技術を有する人材を採用するだけでなく、他の人材と知識や技術を共有するための教育も要します。M&Aで人材や技術を確保すれば、人材不足の解消や採用や教育にかかるコストの削減が可能です。
また、素早い事業展開ができることもM&Aのメリットです。新規事業は、同じ事業アイデアを先に展開されないよう、スピードが求められます。人材や技術の確保に時間を要さないM&Aなら、スピーディに事業を始められます。
新しい市場に参入できる
参入障壁が高い市場でも、M&Aを活用すればスムーズに参入ができます。各業界には、すでに一定のブランド力を有し、多くのシェアを獲得している企業がいる場合があります。こうした業界でシェアを広げるにはM&Aが最適です。参入のためのコストも少ないため、新しい市場でも開業しやすく廃業しにくいことがメリットです。
特にM&Aを巧みに行い、参入障壁の高い市場に難なく参入している企業が、大手ECサイトの楽天です。楽天はこれまで多くのM&Aによって新規事業に参入してきました。2004年にはあおぞらカード、2009年にはイーバンク銀行とM&Aを行うことで、参入の難しい金融業界にも進出しています。
会社の規模を拡大できる
M&Aは会社の規模を拡大しやすく、業界内でのシェアを伸ばしやすいこともメリットです。M&Aであれば、会社同士が統合や買収を行うことで規模を即座に拡大できます。同時に規模が大きくなれば大量生産が可能になり、商品のコストを抑えられることも利点です。方法によっては業務エリアを拡大し、業界ナンバー1を目指せます。
規模の拡大を狙ったM&Aとして注目されたのが、セブン&アイ・ホールディングスによるアメリカ企業スピードウェイとのM&Aです。スピードウェイはコンビニを併設したガソリンスタンドで、アメリカ国内では広く知られています。セブン&アイはアメリカ国内に多くの店舗を持っていますが、日本国内でのコンビニの需要が頭打ちとなりつつあることを懸念して、海外に規模を拡大する考えです。
相乗効果が生まれる
新規事業でM&Aを行うと、M&Aによって足りない部分を補ったり、重なっている部分をカットしたりして、互いによい結果を生み出せます。これを相乗効果(シナジー効果)といいます。
M&Aの相乗効果による例として、ソフトバンクと日本テレコムのM&Aがあります。2004年にM&Aを行った両社ですが、当時ソフトバンクはまだ若い企業でサービスも個人向けのものが主でした。一方、日本テレコムは法人に強く、歴史があって信頼性も高い企業です。
ソフトバンクは日本テレコムの法人を顧客として取り込むことで、販路の幅を広げました。さらにインフラを統合し、ネットワークの拡大にも成功しています。
ちなみに、相乗効果には「主要活動の相乗効果」と「支援活動の相乗効果」の2種類があります。主要活動の相乗効果は、コスト削減や原材料供給の安定化、物流や販路の確保といった企業の主要な業務に直接関係する効果です。支援活動の相乗効果は、共同研究による成果や資金調達力のアップなど、企業の主要業務を支援する部分での効果です。
新規事業でのM&Aには互いの納得が重要
新規事業のM&Aでは、目標や事業規模、希望金額などを摺り合わせて、お互いに納得する内容になっていることが重要です。なぜなら、お互いが納得してM&Aを行うことにより、企業同士が一枚岩となって、相乗効果を最大限に発揮できるためです。技術の相性や競合の存在、販路などをお互いに確認して、M&A後の未来図を共有してください。
同時に、ここで考えるべきは社員の待遇です。新規事業でM&Aを行う場合には、相手方の社員の不満点を探し出し、改善できないか検討するべきです。M&Aによって社員の待遇が悪くなれば、待遇に不満を持った社員が会社を辞めてしまい、必要だった人材が手に入らない可能性があります。
M&Aは、あくまで新規事業を始める際の手段のひとつに過ぎません。場合によっては、M&Aを行わない方がよいこともあります。新規事業開始時の選択肢としてお考えください。
まとめ
新規事業を始めることは簡単ではありません。しかし、M&Aの活用によって、新規事業への参入障壁は低くなります。効果的に利用すれば規模の拡大や相乗効果も期待できるため、新規事業を考える際にはM&Aを方法のひとつとして検討してみてください。
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