2022.02.05

経済産業省が取り組むデジタルトランスフォーメーション

デジタルトランスフォーメーション(DX)は、経済産業省が日本国内の企業にアナウンスを行い、推進を促している施策です。そして経済産業省内においても、デジタルトランスフォーメーションに取り組んでいます。

DXを経済産業省が推進する背景や、普及することによって日本国内でどのような恩恵を受けるのか、また経済産業省が指揮をとるGビズID(gBizID)についても解説していきます。

経済産業省がDXを推進している背景

経済産業省は、企業のデジタルトランスフォーメーションを推し進めていますが、経済産業省内においてもデジタルトランスフォーメーションに積極的に取り組んでいます。

2020年6月に経済産業省は「経済産業省のデジタルトランスフォーメーションについて」という資料を公開しています。こちらの資料では以下のような背景を読み取ることができます。

  • 国が実施している政策の提供方法は、事業者や国民にとって本当に便利といえるのか?
  • スマートフォンが普及した現代において、私生活では便利で快適に過ごせているのに仕事において不便な思いをしていないのか?
  • 民間企業に対して、デジタル化の推進をアナウンスしているのにもかかわらず、経済産業省内で取り組めていないのはいかがなものか?

経済産業省では上記のような疑問を自ら投げかけ、行政提供において国民や事業者にとって今よりも便利になるようにしていくこと、職員の業務効率化の実現などを目指し、デジタルトランスフォーメーションの推進をしていく計画を進めています。

経済産業省内におけるDXの取り組み

企業におけるDX化の動きが進む中、民間企業をサポートする経済産業省自身がDXに率先して取り組む姿勢を見せています。

文書や手続きの電子化

経済産業省内では資源の削減や業務の効率化などを目指し、文書のペーパーレス化や手続きの電子化に取り組んでいます。例えば手続きの電子化においては、オンラインで解決するシステムの採用に取り組んでいます。

DXオフィスの環境づくり

民間企業に所属するIT人材を積極的に登用し、省内のデジタル化推進に向けての環境づくりをサポートしてもらいます。省内に専門家がいなくても、外部のIT人材が介入することにより、デジタル化の風を吹き込んでもらうことを目指しています。

勤怠管理のデジタル化

経済産業省内の職員の勤怠をデジタル化する取り組みを計画しています。休暇の申請や遅刻、早退などは紙ベースで管理しているところもまだまだ多いですが、これもシステム化することで、効率的に勤怠管理が可能となります。

民間事業者と経済産業省のDX広報での協同

経済産業省が打ち出すDXに関する情報発信について、民間事業者と協同し発信力の強化を図っていきます。経産省の手続き利用者には事業者が多いことから、特に事業者への訴求力が高いコンテンツの活用に取り組む形です。

GビズID

経済産業省が推し進めるデジタルトランスフォーメーションの一つで、法人または個人事業主のための共通認証システムのことを指します。GビズIDを1つ持っていることで、複数の行政サービスの利用が可能となります。2020年11月より、e-Gov(電子政府の総合窓口)という電子申請サービスについても、GビズIDの利用が可能となりました。電子申請は補助金の申請を行う際に欠かせないものとなっており、積極的に活用してもらうよう呼びかけを行っています。

GビズIDで利用可能な行政サービスには次のようなものがあります。

jGrants(補助金申請システム)

経済産業省が提供する補助金申請システムです。補助金の申請から申請後の手続きまでのプロセスをデジタル化しています。

IT導入補助金

IT化が進む現代において、ITツールを導入したい中小企業や小規模事業者を補助金でサポートします。

DX推進ポータル

民間企業のDX推進指標による自己診断や、DX認定制度に関する手続きを行うことができます。

行政機関のDXで日本はどう変わる?

経済産業省はじめ政府全体としてはこれまでも電子化の動きは進めてきていますが、その多くが紙媒体のものを電子化するという取り組みにとどまっていました。

情報の入力や整理、確認といった作業は紙媒体のときと何も変わらず、本質的な改革に至っていないケースが少なくないのが現状です。行政サービスの利用者である企業や国民、そして行政機関で働く職員に大きな負担が強いられ、抜本的な改善には至っていません。

こうした背景があるなか、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推し進めることにより、どのような効果が期待できるのでしょうか。

行政の手続きの利便性がよくなる

行政サービスにはさまざまな手続きがつきものです。これまでは異なる手続きをおこなう際に何度も同じ情報を入力しなければならなかったり、手続きごとに個別に手続きを行わなければならなかったりという形が通常でした。

DXが進めば、同じ情報であれば手続きが異なっても一度の入力のみで完結できたり(ワンスオンリー)、関連する手続きを一括で完結できたり(ワンストップ)などが実現できる可能性があります。これにより時間や手間を大きく削減できるはずです。

また民間企業の力も借りて、行政手続きのための書類作成の負担も軽減することもできます。さらに、行政サービスを利用する際の申請時の記載漏れやミスなどもシステムで感知し自動化することで、これまでの窓口でのやりとりも不要になるかもしれません。

業務へのデジタルマーケティング活用

行政サービス利用者である企業や個人が行う申請の内容には、改善案のヒントとなるものが多くあります。しかし、現在は紙ベースで管理を行っているため、情報を抽出しすぐに確認・閲覧するということがむずかしく、折角の政策のヒントを生かしきれていないという現状があります。

またこういったデータを部署間において共有することが可能になれば、組織内の取り組みとして付加価値の高いサービスへ繋げることも期待できます。

マーケティングの観点からいえば、国民や企業を経済産業省の顧客と捉えて、行政サービスを利用するユーザーのニーズを分析し、分析に基づいた政策を行うことも可能になります。

このような活用を実現するためにはまず行政手続きのデジタル化をおこない、申請情報をデータで管理し集約する必要があります。そのためにはデータ基盤の構築が必要です。これまで経済産業省が取り組めなかったことをデジタル化によって可能にし、潜在的な顧客も発掘することで、プッシュ型の政策を行うことを目指しています。

まとめ

経済産業省は民間企業に対してDX化の推進をアナウンスするだけでなく、省内においても、現状の課題を打破しようと積極的に取り組んでいます。経済産業省が提供する行政サービスのDX化は、省内の職員の生産性向上が見込まれるだけではなく、これまでよりももっと国民や企業に寄り添った政策を行ううえで重要な取り組みです。DX化を検討している方は、経済産業省が実施するトランスフォーメーションの背景について今一度理解を深める必要があります。

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