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シェアリングエコノミーの市場規模
シェアリングエコノミーの市場規模は2021年に過去最高の2兆4,198億円と年々大きくなっており、2030年には最大14兆2,799億円まで伸びる可能性があるといわれています。シェアリングエコノミーは経済効果も大きく、経済面でも大きな影響を与えているのです。シェアリングエコノミーは、個人間で空間やモノ、スキルなどを取引することから提供者にとっても利用者にとっても負担が少なく、今後もさらに市場規模が拡大することが見込まれているのです。
シェアリングエコノミーの市場規模
出典:シェアリングエコノミー協会「シェアリングエコノミー市場調査 2021年版」を発表(PR TIMES)
2021年、日本におけるシェアリングエコノミーの市場規模は、過去最高の2兆4,198億円を記録しました。今後はさらに加速して拡大することが予想されています。シェアリングエコノミーの需要が高まった理由として、インターネットやスマートフォンの普及が挙げられます。個人同士で気軽に取引できるようになり、従来の方法よりも安く購入したりシェアしたりできる可能性が高く、依頼者にとっても不要なものを売却して報酬を得られることにより双方にメリットがあるのです。
2021年と2030年を比較
シェアリングエコノミーの市場規模は2021年には2兆4,198億円でした。年々市場規模は拡大していますが、2025年度以上はさらに急激に伸びるとして2030年度にはベースシナリオで7兆6,455億円とさらに拡大されると予想されています。
出典:シェアリングエコノミー関連調査 2021年度調査結果(株式会社情報通信総合研究所)
さらに、コロナウイルス2019における課題が解決した場合は、2030年度は14兆2,799億円まで伸びる予想をしているのです。
シェアリングエコノミーの経済効果
シェアリングエコノミーは年々さまざまな産業において、経済面で好影響を与えています。シェアワーカーによる現在の産業に対する経済波及効果は2021年度で1兆5,743億円となっています。2030年度はベースシナリオで4兆8,813億円、課題解決シナリオでは9兆4,278億円の経済波及効果があると予想されているのです。
またさまざまな産業において、シェアリングエコノミーが経済面において好影響を与えていることがわかります。
シェアリングエコノミーの市場規模が広がる領域
シェアリングエコノミーは、次のように幅広い領域において市場規模が広まっています。
- 宿泊施設
- 交通機関
- クラウドファンディングサービス
- スキルや知識
- 洋服やバッグなど
宿泊施設
Airbnb(エアビーアンドビー)をはじめとして、空き部屋や現在使っていない物件などを一定の期間宿泊先を探している人に提供します。世界中で宿泊できる場所を提供しているホストが存在し、宿泊先を探している人はAirbnbなどのプラットフォームから、期間や条件、行先などを入力することで予約が可能です。
世界には家やマンション、民家以外にも城や島といった普段では宿泊できないような場所も登録されています。そのため、ホテルや旅館が満室だったときの対策以外にほかではできないような体験をすることが可能です。
交通機関
カーシェアリングやシェアリングサイクルなど、個人が自転車を貸し出したり車を運転することで依頼者が必要なタイミングで移動できるサービスの需要が高まっています。雨や終電後のタクシーが混むタイミングや人口の少ない地域でタクシードライバー不足の場合などさまざまな分野において利用されるケースが増えています。
クラウドファンディングサービス
クラウドファンディングサービス新しい形式の資金調達方法です。依頼者は立ち上げたプロジェクトの詳細をクラウドファンディングサービスのプラットフォームに記載し、プロジェクトに賛同した人が資金を提供するといった流れです。CAMPFIREやMakuakeなど多くの企業がクラウドファンディングサービスにおけるプラットフォームを提供しています。
地域の活性化や災害からの復旧などといった内容から、個人的な取組までさまざまなプロジェクトがあります。
スキルや知識
Web制作やロゴ作成など、特別なスキルを持っている人はスキルのやり取りが可能です。個人間で取引をするため、業者に依頼するよりも安いコストでさらに柔軟な対応が可能となる場合があります。
洋服やバッグなど
不要になった洋服やバッグなどを売買するビジネスのほかに、レンタルできるサービスを提供しているケースが増えているのです。結婚式や入学式など一時的に高級なバッグや洋服が必要になる場合があります。そこでシェアリングエコノミーとしてレンタルサービスを利用することで、購入する必要がなくなるのです。
利用者にとって一時的に活用するサービスであるため、購入するには高すぎるような洋服やバッグを必要なタイミングで手にすることができるようになります。
シェアリングエコノミーの市場規模が広がる要因
シェアリングエコノミーの市場規模が広がる要因として、次の点が挙げられます。
- SDGsへの意識
- 低コスト
SDGsへの意識
SDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)とは、2030年までに17の目標と169の具体目標を達成することで、多様性と包摂性のある社会の実現を目標としています。シェアリングエコノミーにおいて、個人同士のつながりが強く社会とのつながりを感じているケースは少なくありません。さらに、必要なものを気軽に購入したり、必要なタイミングでシェアできることから幸福度の向上につながります。
このほかにも、不要なモノを必要な人に提供することからSDGs目標である「つくる責任つかう責任」にも関連しているのです。政府や企業がSDGsを推進していることからも、循環型社会に影響があるシェアリングエコノミーは今後認知度が高まる可能性が十分にあります。
低コスト
シェアリングエコノミーは不要になったモノや、使っていない空間、空いた時間に車を運転するなど仕入れをする必要がありません。さらに、シェアリングエコノミーを実現するために必要なことは基本的に提供者と利用者をつなぐプラットフォームだけです。そのため、シェアリングエコノミーを導入するためにコストをかける必要がなく、今後もさまざまな分野において企業が参入する可能性があります。
まとめ
シェアリングエコノミーの市場規模は2021年には2兆4,198億円で過去最高となりました。2030年には最大14兆2,799億円まで拡大すると予想されています。シェアリングエコノミーは、個人間のやりとりで仕入れが不要なためコストがかからず、必要なものはプラットフォームだけであるため参入しやすいことが大きなメリットです。さらに、政府や企業が推進しているSDGsにもつながっており、今後さらに需要が高まると予想されています。