2022.10.17

マーケットインの事例

マーケットインとは、ユーザーのニーズや課題解決を前提に商品を開発する方法です。日本では、企業が良い商品を作ることが長らく開発の前提となっていました。

しかし、インターネットやスマートフォンが普及したことによりユーザーが必要な情報を調べられるようになりました。そのため、企業が良いものを作っても売れるとは限りません。そこで、マーケットインの需要が高まっています。

マーケットインとは

マーケットインとはユーザーのニーズや課題に寄り添うことによって、ユーザーが必要としているものを開発していく姿勢です。ユーザーのニーズを十分に調査することによって、開発を進めていくため、ユーザーが必要としている商品の提供ができ、売り上げを予測しやすいのが大きなメリットです。 

ユーザーニーズを掴むことが前提であるため、ターゲットを絞ることが重要です。市場調査をしていくうえで、ユーザーニーズの理解が進み、ターゲットの選定がしやすくなります。そのため、理解が進むほど安定してニーズをつかみ続けることが可能です。

マーケットインの事例

マクドナルド

マクドナルドはそれぞれの国や地域によってメニューや建物の雰囲気が異なります。それぞれの地域の人々のニーズに合わせることによって、世界中で多くの人に受け入れられています。このほかにも注文してから提供するまでの速さや値段の安さにおいてもユーザーの「安く手軽に食事をとりたい」というニーズを満たしているのが特徴です。

参考:3C分析で紐解く、マクドナルドのビジネス戦略とは(BizMake)

アサヒ飲料

アサヒ飲料では、ビジネスマンが朝仕事をする前に缶コーヒーを求めていることを市場調査においてつかみました。そこで、朝専用の缶コーヒーとしてワンダ・モーニングショットを販売したところ、発売して10年以上たった現在においても親しまれています。

アサヒ飲料は朝缶コーヒーを飲む男性が多いことを把握して、朝とサラリーマンに特化した缶コーヒーを開発したのです。当時、朝やサラリーマンに特化した競合他社はなく完全に無競合状態、つまりブルーシャンでした。さらに、CMに所ジョージさんや仲間由紀恵さんを起用し、朝にはモーニングショットを飲むといったブランドイメージを定着させることに成功しました。

参考:“朝専用”で缶コーヒー戦争に革命――アサヒ飲料「WONDA モーニングショット」(IT Mediaビジネス)

ユニバーサル・スタジオ・ジャパン

ユニバーサル・スタジオ・ジャパンは2001年に開業した初年度は1,100万人といったスター度だったのですが、2004年には経営破綻状態になりました。そこで、来場者が本当に喜ぶものを追求し、ハリーポッターをはじめとした人気のある映画やアニメとのコラボを導入しました。このことにより、過去最高の集客をすることに成功し収益を回復しました。

参考:マーケティングの見本!USJマーケティング戦略をひもとく(マナミナ)

ライザップ

ダイエットや肉体改造に取り組んでいる人にとって、3日坊主で終わってしまうことが大きな課題でした。そこでライザップでは、結果にコミットすることを約束し、ユーザーの課題を解決し3日坊主にならないような気持ちにさせることに成功したのです。

さらに、ライザップではジムだけでなく英会話やゴルフ教室などさまざまな事業を拡大しています。いずれもコンセプトは同じであり、ユーザーの3日坊主で終わってしまうかもといった気持ちをやりとげられるといった気持ちに変えたのが特徴です。

参考:なぜライザップが成功したのか、瀬戸社長自身はわかっているのか?その素晴らしい事業(Business Journal)

Wii Fit

ゲームに合わせて家で運動ができるアプローチはユーザーのニーズを満たしており、世界で注目されるようになりました。さらに、ただ運動するのは苦手でもゲームで楽しく運動しながら続けられるというように、ユーザーの課題を解決しています。

参考:社長が訊くWii Fit(任天堂)

ロボット掃除機

ロボット掃除機は発売当初それほど売れることはありませんでした。しかし、共働きが増えたことにより家事にかける時間を少しでも短くしたいといったニーズが高まったことから、自動で掃除をしてくれるロボット掃除機が再登場しました。ロボット掃除機はユーザーのニーズに応えて再度市場に出た商品の1つです。

パソコン

パソコンはもともとプロダクトアウトであり、メーカーがそれぞれの技術を活かした仕様やスペックのものを開発し販売していました。しかし、近年では高いスペックは必要ないからもっと安いのが欲しいといったニーズや、逆にコストをかけてでもスペックの高いパソコンが欲しいといったさまざまなニーズが見られます。そこで、それぞれのメーカーにおいてさまざまなスペックのパソコンを準備したり、ニーズに合わせてカスタマイズできるようなパソコンを販売するようになりました。

ニーズの本質をつかんだマーケットインが重要

マーケットインは二ーザーのニーズに合わせた商品を開発、販売することが特徴です。しかし、表面的なニーズではなくユーザーの本質をつかんだマーケットインを進めることが重要です。例えば、ビデオカメラのニーズが高いとします。しかし、実際にはビデオカメラそのもののニーズが高いわけではなく、結婚式やお子さんの運動会や入学式など映像として思い出に残すことがニーズの本質である可能性が高いといえるのです。

つまり、ビデオカメラでなくても映像を残せればニーズを満たすことになります。ユーザーのニーズをつかむためには、欲しい商品だけでなく、その商品を欲しいと思う理由やきっかけ、状況などを把握することが重要です。年齢や性別、職業などユーザーによっても本質的なニーズが異なるため、ユーザーごとにあった本質的なニーズをつかむことが求められます。

まとめ

マーケットインとは、ユーザーのニーズを満たすことを前提として商品を開発する方法です。ユーザーはインターネットを使って必要な情報を調べられることから、ニーズを満たしていないとなかなか売れない時代です。そこで、多くの企業がマーケットインを導入して商品開発をしています。

マーケットインは入念な市場調査をおこなうことからユーザーのニーズをつかみやすく、ビジネスとして失敗するリスクが少なかったり、売り上げの予測を立てやすかったりするのが特徴です。ユーザーのニーズをつかみ信頼を得ることで、他社との差別化を図れることもあります。

ユーザーのニーズはトレンドや社会環境などの変化によっても変わります。そのため継続的にユーザーのニーズを調査することが重要です。例えば、ロボット掃除機のようにあまりニーズのなかったものでも時代の変化によりニーズが高くなる可能性があります。

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