2022.03.11

マネジメントと人材育成

企業が成長していく上でマネジメントと人材育成はいずれも必要不可欠です。しかしマネジメントと人材育成の意味や目的は異なり、それぞれ企業を成長させるうえで理解をする必要があり、マネジメントには人材育成が、人材育成にはマネジメントが必要であり企業を成長させるためには企業全体で両方同時に取り組む必要があります。

マネジメントと人材育成の意味

企業においてマネジメントと人材育成を同じように解釈していることが見受けられます。しかし実際にはマネジメントと人材育成は大きく意味が違います。マネジメントは経営もしくは経営に直結する機関や機能のことをいい、人材育成は企業において人材を育成することをいいます。

マネジメントの意味

マネジメントとは日本語に直訳すると経営です。そのため企業においてマネジメントとは、経営つまり売上に関わる機関や機能のことをいいます。またその機関を任される責任者をマネージャーと呼ぶことが多いです。 マネージャーは現場のトップであるリーダーのように解釈されることがありますが、 実際にはマネージャーは組織を運営する立場の人のことをいいます。

またコスト面の管理やスケジュール管理などを行うこともマネジメントに含まれます。企業が設定した目標に対して、進捗状況を管理することも経営に直結します。

人材育成の意味

企業において人材育成とは、上司もしくは上の立場の者が部下を指導することにより育成をしていくことを指します。しかし人材育成が必要なのは、下の立場の者だけではなく教える側も教育者としての人材育成が求められます。

ただ仕事のやり方を伝えるだけではなく、企業としての理念や企業の風土を伝える必要があります。長年経験のある社員に対しても部署を異動した場合、新しい配属先での必要な知識を培っていくことが人材育成です。

近年よく「自分で考えて行動する人材を求めている」といわれますが、自分で考えられる人材になるためには周りのサポートが大きな影響を及ぼします。人材育成には人間としての成長も求められるため、 新入社員だけが対象となるわけではなく退社するまですべての従業員に必要です。

人材育成に求められること

人材育成に求められるのは、現状把握することやアドバイスをすることなどさまざまなことが挙げられます。しかし人材育成に求められるのは、部下に必要なこと、足りないことを教育すればいいだけではありません。

現状の課題を把握し、従業員一人ひとりとコミュニケーションをとり最善策を見つけていく必要があります。

現状の把握

部署全体または従業員一人ひとりに対し、現状の把握をすることにより課題を見つけることがまず必要です。そのためには現場に必要な人材やスキル、企業全体が求めている社員像を理解していることが求められます。

それぞれの現場に対して求められる現在に対して課題を見つけ、人材育成の方向性を把握しなければいけません。

コミュニケーション能力

人材の育成は一方的に部下に指示をしても成功するわけではありません。部下が考えていることや意見などを受け入れつつも、必要なことをアドバイスするべきなのです。例えば仕事に失敗した理由が能力不足なのか、また何か他に問題を持っているのかなどをヒアリングするコミュニケーション能力が求められます。

上司のコミュニケーション能力は、部下の職場への満足度を高めるきっかけになることもあり、結果的に企業にとって生産性を高められるマネジメントにつながるのです。

人選の手法

人それぞれ向いていることは違います。そのため企業が求めている目標達成に少しでも近づける人材を選ぶ能力も人材育成につながります。違う部署のほうが向いている場合も十分にあります。本人のモチベーションの問題もあるので、一人ひとりの希望も参考にしながら、人選することが求められます。

さらに人選の手法を明確にすることにより、採用活動にも良い影響を及ぼします。 少子化社会で人材不足の状況において、企業にとって必要な人材を採用し、少しでもミスマッチを減らすことは離職率の低下にもつながり生産性を高めることになります。

マネジメント能力

人材育成をするためには、従業員の能力を把握して一人ひとり適材適所で業務をすることができるような配置をすることが求められます。さらに研修の設定や、受講者の決定など従業員一人ひとりに対する管理能力が求められます。

マネジメントに求められること

マネージャーは企業の運営に直結する機関の責任者であることから、 マネージャーの能力によって企業の経営に大きな影響を及ぼします。しかしマネジメントには以下のようにさまざまな要件が求められます。そのためマネージャーの多重債務化となっていることも決して少なくありません。

業績達成

会社の運営に最も直結するのが業績です。また業績を達成するための企業がたてた計画の遂行も同時に求められます。新型コロナウイルスの影響やその他の原因にて業績悪化が続いている状況下において、「マネジメント=業績達成」と考えられている場合もあります。

マネージャーは企業においては防波堤のような意味を持ちます。すなわち、越えてはならないラインを作ることがマネージャーの業務です。業績被達成は企業の運営そのものに重大な悪影響を及ぼしますので下限ラインを死守することもマネージャーの重要な役割です。

人材育成

企業の成長に必要な人材を育てるのもマネージャーの大きな仕事です。業務内容を理解し正しく遂行することはいうまでもないのですが、会社全体のことを考え、社会から評価される人間力も育む必要があります。

人材育成は業績達成と比べて、より時間のかかる中期成果といえます。しかし実際にはプレイングマネージャーとなり、業績達成をするために精一杯であり、人材育成に注力できない企業が多いのが現状です。 人材育成が疎かになることから、チームワークが悪くなり企業への不満の上昇につながることもあります。

人材育成こそが現在のマネジメントにおいての最大の課題であるといっても過言ではありません。

マネジメントには人材育成が必要不可欠

マネジメントは売上に直結する機関のことをいいますが、 本質的には一人ひとりが成長することにより仕事の成果を上げることをいいます。プレイングマネージャーを除き本来マネージャーは、一人ひとりの成長を促すことにより企業の目標実現に向けて必要な判断をすることが求められます。

ただマネージャー自体も、マネジメント能力を身につける必要があり企業に属している以上全員に人材育成が必要です。

マネジメントには業績達成や人材育成などの目的があります。しかし目先の業績達成に追われすぎて、人材育成が疎かになっているケースが少なくありません。マネジメントにおいて人材育成こそが最も求められているといっても過言ではないのです。

最後にマネジメントも人材育成も、担当部署だけが行うものではありません。企業全体で取り組むことにより、成果が現れてきます。マネジメントにつながるような人材育成をするためには、コストがかかることもあり最終的には会社全体で人材を育てていくといった意識が必要です。

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