- 営業戦略
LTV分析とは
LTV分析(Life Time Value分析)とは、顧客により支払われた金額をベースにし、利益を算出したうえで自社への貢献度が高い顧客を分析する方法です。コストの削減にもつながるため、多くの企業が取り入れ、実践しています。
LTVは、自社の事業を継続的に運用するために重要な指標です。より効果的な指標として活用するうえでは、正しく分析することが何より大切といえます。
LTVを分析する際は、複数の計算式を使い分け、算出したいデータに基づいた改善策の立案を実施してください。また、CRMやCACなど、より効果的なLTV分析を実現できる関連ツールとの併用も必要です。
LTV分析とは
LTV分析を実施することで、顧客との関係性や利益に関する推移を把握できます。顧客とのやりとりに関する情報を分析できれば、企業としての将来も予測しやすくなります。
また、マーケティングにおいて重要な、費用対効果を最大化する効果があるのもLTVの特徴です。LTVとの併用で効果を発揮するCRM(Customer Relationship Management)も用いることで、顧客との長期的な関係性構築がより現実的になります。またCRMと併用すれば、より少ないコストでLTVの最大化につなげることも可能です。
LTV分析が必要な理由
LTV分析は、自社が展開するビジネスをさらに拡大するために必要です。収益性が高いほど、LTVも高くなるのが一般的です。LTVをより高めるために推奨される手法は、リピーターの獲得です。新規顧客の獲得には多くのコストがかかります。そのため、新規顧客ではなく既存顧客の維持に目を向ける企業も多いのが現状です。
既存顧客を維持し、繰り返し自社のサービスを利用してもらえれば、継続利用率や購買単価の向上につながります。ただし、既存顧客の維持には、魅力あるサービスの提供や新たな価値を提供し続けることが大切です。
競合と差をつけるためにさまざまな施策を打つのがビジネスの基本です。施策にどのような効果があるのか、明確に把握できるのが今回触れるLTV分析ということになります。LTV分析は、顧客を維持しながら自社がさらに成長するために必要不可欠な観点です。
LTV分析するメリット
LTV分析により、実際の売上と売上に対するコストを明確にできます。費用対効果のある施策を立案する効果が期待できるため、収益を最大化することが可能です。LTVの向上は、売り上げを上げながらコストを最小化しなければなりません。LTV分析を実施し、収益につながる施策を立案してください。
コストの最小化にも関連する、新たな施策を立案できるのもLTV分析のメリットです。LTV分析により、顧客の獲得と維持にかかるコストを明確にできます。LTV分析でこれらのコストを明確にし、無駄なコストがかかっていないか明確にしてください。そのうえで、既存のコスト施策からより利益をアップさせられる施策を立案できるのが、LTV分析のメリットです。
また、自社がさまざまなジャンルのサービスを提供している場合、LTV分析によりジャンル別の利益構造を明確にできます。サービスによって顧客単価や原価率、継続年数などは異なります。LTV分析によりサービス別の傾向を数値化できれば、ジャンルごとにどのような形で利益を生み出しているのか把握できます。顧客の傾向を把握するきっかけにもなるため、既存の施策を最適化することも可能です。
より効果的なLTV分析を実施するために
単にLTVだけを指標としても、効果的な分析にはつながりません。LTVとの関連性がある、CRMやCACと連携させることが大切です。
CRMとは、あらゆる顧客情報を管理し、効率的に分析できるツールです。CRMを効果的に活用できれば、顧客の傾向を分析したうえでアプローチできます。また、顧客情報を可視化できるのもCRMの特徴です。そのため、顧客にとってベストなタイミングでサポートできます。
CAC(Customer Acquisition Cost、顧客獲得コスト)は、新規顧客の獲得に必要なコストを表したものです。既存顧客と比べると重要性が低いと考えられる新規顧客ですが、トータル的な目線でLTVを算出する場合は必要な観点です。
より効果的なLTV分析を実施するためには、以下のツールや施策を活用してください。
- MA
- bot
- Unit Economics(ユニットエコノミクス)
- Churn Rate(チャーンレート)
LTV分析の計算式
LTVを分析するためには、LTVを計算する方法ごとの違いを理解したうえで、自社のサービスに適した計算方法を取り入れることが大切です。LTVの計算は、以下に挙げる計算式のいずれかを活用します。
顧客別の平均購入単価を算出する場合
取引金額(平均)× 収益率 × 継続期間(平均)
顧客別の平均購入単価を算出したい場合に活用できる計算式です。購入回数や単価など、細かく設定するKPIのベースになります。中間指標を客観視できるため、顧客に関する問題点を明確にしやすいのが上記計算式の特徴です。また、購入単価を向上させられる施策立案にも活用できます。
ただし、正確な購入回数がわかるわけではないため、あくまで予測の範囲になることを覚えておかなければなりません。
製品の売上やコストに注目する場合
取引額 × 購入回数 – 顧客獲得費用 + 顧客ごとの維持費
製品の売上やコストに注目したい場合は、上記計算式を活用してください。ここでいう顧客獲得費用には、キャンペーン費や広告費が該当します。CRMやMA(マーケティングオートメーション)など、各種ツールの利用料金も顧客獲得費用の一種です。顧客ごとの維持費は、割引やプレゼントなど、顧客に与えるサービスに必要な費用のことです。
上記計算式を活用することで、売上とコストに関する改善策の立案や費用対効果における意識向上につながります。対して、意識すべき項目が多いため、計算に手間がかかってしまう側面もあります。また、獲得費用や維持費の範囲を明確にしないと、過去のデータと比較しづらいことも覚えておかなければなりません。
顧客別の取引額に注目する場合
取引額 × 収益率 × 継続期間
顧客別の取引額に注目する場合の計算式です。購入履歴が一定期間保管されている企業向けの計算式で、製品を販売した期間別LTVを算出できます。
時期に応じた売上など、変動性のある観点での分析も可能であるため、年間を通しての継続率を向上させるのに適した計算式です。ただし、購入単価や購入頻度を分析するのには適していません。
LTV分析において重要な観点
LTV分析を実施する際は、計算式の使い分けが重要です。また計算する際も、年と月で区切って計算しなければなりません。
計算式の使い分け
計算式によって、活用するデータや導き出される数値は異なります。そのため、自社が特に注目しているデータに目を向けたうえで、適切な計算式を選択しなければなりません。なぜLTV分析をするのか、目的を客観的な視点で明確にしたうえで、どの計算式を活用するのか決定してください。
年・月で区切って計算
より細かいLTVを算出するためには、年や月でデータを区切って計算します。時期によってどのような違いがあるかを客観的に分析することで、時期に応じた施策を講じることが可能です。
また、これまで把握しきれていなかった繁忙期と閑散期を明確にする効果も期待できます。一年を通してのLTVを分析するうえでは、年と月で区切った分析を進めることが重要です。ただし、年と月で区切って計算する場合は、継続年数を計算式に組み込まないようにしなければなりません。
まとめ
事業を継続するうえで重要な指標となるのが、LTVの特徴です。LTVを指標としてより効果的に活用するには、正しい分析を進めることが必要不可欠です。
LTVの計算方法を使い分けながら、メリットを理解したうえでのLTV分析を進めてください。CRMやCACなど、関連するツールや施策と併用することも大切です。