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物流DXとは
DXとはデジタル化を導入することによって企業改革し、競争上の優位性を確立することと経済産業省によってDX推進ガイドラインのなかで定義されています。物流業務においてもDXが導入されており、国土交通省は、デジタル化を導入することによって物流のあり方を変革すること、と発表しています。
EC化が進み業務内容が複雑になり負担が大きくなっている物流業界において物流DXを導入することによって業務効率化が進められています。
物流DXとは
DX(Digital Transformation、デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を取り入れ企業の改革をすることをいいますが、物流業界にもDXの需要が高まっています。国土交通省でも物流DXを定義しており、物流DXの導入が進んでいます。
物流DXの定義
国土交通省では物流DXについて、デジタル化することで物流を変革すると記しています。
機械化・デジタル化を通じて物流のこれまでのあり方を変革すること
(物流DXにより、他産業に対する物流の優位性を高めるとともに、我が国産業の国際競争力の強化につなげる)
◆既存のオペレーション改善・働き方改革を実現
◆物流システムの規格化などを通じ物流産業のビジネスモデルそのものを革新
引用:物流DXについて(国土交通省)
物販系分野のBtoCにおけるEC化が進んでいる近年において、物流は物流業だけでなくあらゆる業種において重要な経営戦略の一部となっています。そのため、物流の優位性を高めることによって企業の強みにすることができます。
物流DXの目的
物流DXには次のような目的が挙げられます。
- 労働力不足の解消
- EC市場拡大に対応
- 従業員の負担軽減
労働力不足の解消
これまで人が進めていた物流業務においてロボットを使って自動化することによって、人手不足の解消になります。梱包作業や倉庫内での荷物運搬などさまざまな物流業務においてロボットの導入が進み、倉庫内の作業は危険が伴うこともあるため作業員の安全面の強化にもつながります。さらに、安全面が強化されることによって物流業務を希望する求職者が増えることにも期待することも可能です。
EC市場拡大に対応
EC市場が拡大している分だけ物流業務も増えることになります。そこで、物流DXを導入して人の負担を減らし管理をよりスムーズにすることが可能です。これまで、ユーザーからの依頼が増えていながら物流の負担が大きすぎて対応できていない場合でも、物流DX導入によって解決できる場合があります。
従業員の負担軽減
EC化が進むことにより配送量の数が増え、結果的に倉庫内での作業や配送業務など従業員の負担が増加しています。そこで、物流DXを導入することにより在庫管理システムをはじめとした管理の効率化が重要になります。
さらに、システムを活用して効率的な配送ルートの提案やドライバーの重複を減らすなど従業員の負担を減らすことができます。
物流業務をデジタル化する目的
物流業務をデジタル化する目的として次の点が挙げられます。
- 業務効率化
- コスト削減
- ヒューマンエラーの防止
業務効率化
物流DXを導入することによってさまざまな業務において効率化を進めることができます。
例えば、ラストワンマイルといわれるユーザーが指定した送り先から最寄りの基地局からエンドユーザーまでの区間があります。この区間においてBtoCにおける宅急便の増加や、再配達になってしまう可能性があるなどトラブルが起きやすく、物流業界において長年の課題です。
この課題を解決するためにGIS(Geographic Information System、地理情報システム)を使って発送エリアを可視化し、配送における効率化を進めています。
荷物を管理する倉庫では倉庫管理システムが導入されることが一般的で、入出荷や在庫の管理や他の業務に関連するシステムと連携をするなどさまざまな面においてデジタル化が業務効率化につながっています。
コスト削減
物流業務のさまざまな工程において人件費をはじめとしたコスト削減につながることがあります。システムの導入に費用がかかるので、システムを導入した場合と現状とでコストの差をシミュレーションすることが重要です。
ヒューマンエラーの防止
物流業務には多くの工程がありますが、人がおこなうことによってミスをゼロにすることはできません。1つのミスが次の工程にも影響することがあるので、ミスの修正をするのに大きな労力になってしまうことがあります。しかし、自動化することによって決められた作業は確実にこなしていくことからミスを減らし現場への負担を小さくすることができます。
さらに、ミスを減らすことによってユーザーの満足度を上げることができ、好循環となります。EC業者にとっても物流の質が高まることは、競合他社他社に対して優位性を保つことにもつながります。
物流DXの事例
物流DXには次のような事例があります。
- SGホールディングス
- ヤマトホールディングス
SGホールディングス
SGホールディングスでは成長戦略=DX戦略ととらえ、トータルロジスティクスの機能強化をすることで競争優位性を高めています。
SGホールディングスグループのDX戦略は、社会・顧客の課題解決を通じて持続可能な社会の実現に貢献することを、目的として掲げています。目的達成のため、「デジタル基盤の進化」「業務の効率化」「サービスの強化」の3つの施策に取り組んでいきます。
引用:SGホールディングスグループ DX戦略(SGホールディングスグループ)
レガシーを脱却し、さらにDX投資を拡大することでアジャイル開発の加速、先端技術の活用を進めることで、3つの施策に取り組んでいます。
ヤマトホールディングス
ヤマト運輸は2021年度通期の営業収益が前年度と比較して108.9%増の921億円に達しました。この理由として、物販系eコマース市場の拡大以外に、DXやデータドリブン経営に取り組んだことにより、業務量予測に対してコストの適正化に成功しているといいます。
通常はDXを導入して1年ではっきりとした成果がでることは少なく、さらに成果が出ていることを決算報告で発表することはありません。ヤマト運輸が決算報告ではっきりと伝えることができたのは、DXを導入することを目的にせずテクノロジーをどう活用するかを事業方針に落とし込んだことが大きな要因です。この結果次の5つのデータ戦略を選択しDX推進をしています。
- 需要予測の精緻化と、意思決定の迅速化
- アカウントマネジメント強化に向けた顧客データの完全な統合
- 流動のリアルタイム把握によるサービスレベルの向上
- 稼働の見える化、原価の見える化によるリソース配置の最適化・高度化
- 最先端テクノロジーを取り入れたデジタル・プラットフォーム(データ基盤)
- 「Yamato Digital Platform(YDP)」の構築と基幹システムの刷新
まとめ
経済産業省がDXを導入することによって企業や経営を改革することによって、競合他社に対して優位性を持つことを推奨しています。物流においてもDXを導入して、改革することを国土交通省が進めています。
物流業務は業務内容が複雑であり、EC化が進むことによってさらに担当者の負担が大きくなっています。そこで物流DXを導入することによって、業務の負担を減らし業務効率化につなげることができます。