- 組織人事
人材育成を成功させるポイント
企業を取り巻く環境は目まぐるしく変わっています。IT化や働き方改革をはじめさまざまな変革が訪れていることから、社内制度の見直しを進める企業も少なくありません。
なかでも課題としてよく挙がるのが人材の採用や育成です。企業が成長していくためには優秀な人材が欠かせません。成長に貢献できる人材を新たに採用するだけでなく、採用した社員の育成を進めることも重要です。
人材育成とは
人材育成は、文字通り人材を育て成長させることです。企業においては、企業の業績向上につながるよう、働く社員の仕事の能力を高めることを指しています。
例えば、企業に入社したばかりの社会人経験が乏しい新入社員の場合に多く見られるのは、仕事を進めていく力やコミュニケーションスキルなどが不十分であるケース。そこで教育を行ったり、経験を積ませたりして成長させていく必要があります。育成により仕事に対する姿勢やスキルが高まれば、その人材本来の能力も発揮しやすくなるはずです。
またグローバル化によって、海外を視野に入れる機会が増えてきました。企業によっては国内だけにとどまらず、海外でも活躍できる人材が求められています。このような人材を新たに採用するだけではなく、自社で経験を積んだ社員を育成するという選択肢もあります。
人材育成はなぜ重要なのか
人は企業にとって非常に大切な資源です。企業で働く人材の成長は企業全体の業績向上や成長に欠かせません。
労働人口の減少が進む中、多くの業界において慢性的な人手不足が叫ばれています。企業の業績を向上させるには、個々の社員の能力を高め、業務効率を改善していく必要があります。
人材育成を進めることで、離職率の低下も期待できます。育成を通して、個々の社員がこの会社ならもっと成長できる、将来が期待できそうだなどと前向きな気持ちを実感できれば、長きにわたり働く人材も増えやすくなります。
人材育成における課題と解決策
人材育成における課題は各企業の状況により異なります。ここでは人材育成時に発生しやすい課題を3つ紹介します。
人材育成の時間がとれない
例え企業として人材育成の重要性を十分に理解していたとしても、実際の現場では育成にかける時間が十分に取れないというケースが多くあります。こういった場合、日々の仕事が忙しすぎるからという理由が主です。
解決策としては企業側が業務分担や人事、育成制度を見直し、環境を整える必要があります。
例えば、研修をおこないたいが対象メンバー全員を1度に集めるのが難しい場合。対策としては、個別に日時を選んで研修へ参加する仕組みにすれば解決できることがあります。研修は必ずしも一斉にやる必要はありません。教材を用意しておき、ひとりひとりの都合の良い時間に研修へ取り組めるような仕組みにすれば、柔軟に対応できる可能性があります。
管理職の意識の低さ
人材育成に関する権限を持つ人物が育成の重要性を認識していない場合、もしくは育成に関するスキルが不足している場合、人材育成は難しくなります。
このような場合の解決策としては、管理職に対して人材育成をテーマにした研修を行うことが有効です。この研修では、管理職が人材育成を行ううえで必要な考え方や知識を会社側から提示する必要があります。
社員研修に対してモチベーションが低い
いくら企業側が人を育てたいと考えていても、個々の社員の意識が低ければ目的は達成されません。こうした意識の低さの根底には、研修自体が評価につながっていない可能性が挙げられます。
このような事象に対しては、しっかりと成長・評価される環境を整えることで解決できる可能性があります。研修により自身の成長を感じることができれば達成感が生まれます。その成長により生まれた成果が評価されれば、自ずと研修への取り組み方や意識も変わっていくはずです。
個別の成果を評価するためには、人事評価制度を適切に構築する必要があります。
人材育成を成功させるためのポイント
自社にあった育成ノウハウの確立
他社が行っている人材育成方法を模倣するのも決して悪くはありません。ですが企業内の状況は各社異なります。そのため自社にあった人材育成方法の確立が非常に大切です。これにより自社の特性に合致した人材を生み出すことができます。
自社にとって必要な部分を理解せずに人材育成制度を作ってしまった場合、効果を期待できない可能性がある点には注意が必要です。
社員に求めるスキルの把握と共有
社員それぞれに対し、どの程度までのスキルを求めているのかを明確にし、そのうえで人材育成の計画を立てる必要があります。求めるスキルが明確になっていない場合、計画が立てづらく、方向性も定まりません。
各個人に対して、どの程度のスキルを備えていればよいのかを明らかにしたうえで、適切な計画を立てます。
OJTの上手な活用
OJT (ON the Job Training)は人材育成の手法として知られています。名前のとおり、実際の業務を通して教育指導を行うというやり方です。OJTの活用もまた、人材育成を行う上で重要です。
今では多くの企業で取り入れられており、仕事をしながら教育をしていくという方法です。特に即戦力となりづらい新入社員であっても、実務を行いながら人材育成がはかれるため有効な手段といえます。
全社で人材育成についての意識をもっておく
全社的に人材育成の意識を浸透させることが大切です。人事評価を行う部署だけが、人材育成の意識が高くても制度として成り立ちません。人材育成に対してのメリットについて、人事担当者や管理職が現場で働く社員に対してアナウンスを行い、人材育成の方針を広く浸透させていく必要があります。
そうすることで、全社的に人材育成に積極的になり、会社内の雰囲気や仕事への取り組み方、モチベーションなども向上していきます。
まとめ
人材育成は企業としての業績向上を目指し、個々の社員がスキルアップできるよう育成することを指します。そのためには人材育成への理解を深め、自社にマッチした形での人材育成を実践する必要があります。