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【事例】最新技術を取り入れたデジタルイノベーションを成功させるには?
テレワークの普及や、顧客行動の変化を背景に、DXを推進する機運が高まっています。企業に求められているのは、ペーパーレスのようなレガシーマイグレーションだけではありません。
デジタルの力を活用して、新たな価値を生み出す。いわゆる「デジタルイノベーション」を起こさないと、デジタル化が進む社会で遅れを取ってしまいます。すでに、現在メインとなっている事業の縮小に悩まされている企業も多いのではないでしょうか。
本記事では、デジタルイノベーションで企業の成長を図った例として、弊社リブ・コンサルティングが支援した2社の事例を紹介します。
製造系企業C社|プラットフォーム構想をベースとした新事業進出を支援
情報系企業D社|独自技術を活かして事業拡大できる新業界を探索
「自社にデジタルイノベーションを進めるノウハウ、人材がいない」と考えている方はぜひ参考にしてください。
製造系企業C社|プラットフォーム構想をベースとした新事業進出を支援
製造業界で事業を展開しているC社は、製品力だけでの事業成長に限界を感じていました。
そこで新しいプラットフォームの構築を含むテクノロジービジネスを中心とするデジタルイノベーションを検討。自社でビジネスモデルのアイデアは持っていたものの、何から手をつければいいのかがわからない状態でした。
「どこに向けて事業を展開するのか」「プラットフォームをいつどう作るのか」など自社では解決が難しい課題に直面しており、リブ・コンサルティングが支援に入らせていただくことになりました。
クライアント課題
- 市場の選定やビジネスモデル構築など事業開発ノウハウが不足していた
- データプラットフォームの構築方法がわからなかった
- C社内の関係者が多く意見がまとまらなかった
リブ・コンサルティングの取り組み
リブ・コンサルティングでは、C社のテクノロジービジネスにおける事業開発支援を次のようなステップで進めています。
- C社の事業概況・アセット整理
- 事業領域検討/調査
- ビジネスモデル仮説検討
- プラットフォーム構想の検討・策定
- 事業開発ロードマップの策定
C社の場合、プラットフォームを用いたテクノロジービジネスにおける構想はあったものの、具体化する方法や進め方がわからず、せっかくのアイデアを活かせずにいました。
そのため、まずはC社のアセットを棚卸しするところからスタートし、具体的なロードマップの策定までをリブ・コンサルティングで支援しました。
今回のプロジェクトにおけるご支援を次の3段階にわけてご紹介します。
1. 事業概況・アセット整理
まずC社の事業概況とアセット整理から始めました。特に本プロジェクトの概況整理で重要になったポイントは、C社の風土や歴史の理解、そしてステークホルダーとの連携です。今回、C社のプロジェクトには次のような関係者が関わっていました。
- 企画部門
- IT部門
- 現業部門
- 外部の提携企業・団体
- 協会
新しい事業についても大まかなビジネスモデルはあるものの、それぞれの認識が合っていない部分が多く、合意形成のために多くのプロセスを踏む必要がありました。認識の合っていない状態でプロジェクトを進めても、実際の事業立ち上げが難しくなってしまいます。
実現性の高い、地に足のついた事業構想を作るために、ミーティングで下記のように細かく認識合わせを行いました。
- クライアントの現時点の構想を理解
- 類似ビジネスモデルを調査
- 言葉の定義を統一
- 初期ビジネスモデルを作成
- 作成したアウトプットをベースに整理・すり合わせ
2. 事業領域検討/調査~プラットフォーム構想の検討・策定
次に、事業領域の検討/調査からプラットフォーム構想の検討・策定までの段階です。ここでは、C社の事業状況や実現したい世界案をもとに、評価項目を議論の上設定し、定量/定性データを収集しながら評価をしていきました。
評価した内容を元に具体的なビジネスモデルの仮説を立て、どのような企業や層に向けてビジネスを展開していくか、そして最適なプラットフォームを構築する手法までを確立していきました。
<C社のプロジェクトの評価軸>
会社が実現したい世界観を基にした評価 × ビジネスとして成立させるための評価
プロジェクトのスタート時点では「プラットフォームを用いたビジネス」と決まっていました。C社もプラットフォームビジネスの経験が乏しかったため、言葉だけが独り歩きしている状態です。
▼C社が描いていたビジネスイメージ
リブ・コンサルティングでは次の3点を整理した上で、プラットフォームのビジネスモデルを描いていきました。
- 課題・ニーズを持つ顧客・ケースの洗い出しから選定できる初期顧客
- 事業を成立させるための事業パートナーやステークホルダー
- ビジネスに関係してくる法規制及び対応策
- モノやカネ、データの流れ方
過去のプロジェクトから蓄積されたナレッジや豊富なパートナー企業と連携し、最もC社のビジネス構想において勝ち筋の見えるプラットフォームを構想。
あいまいだった「プラットフォーム」に対する関係者の解像度を上げてビジネスモデルを共通理解のものとしました。
3. 事業構想・ロードマップの策定
最後は事業構想とロードマップの策定です。C社の課題が「何から始めればいいかわからない」だったため、ロードマップを提示し、C社にてアクションを起こせる状態まで持っていく必要があります。
本プロジェクトは製造業界の技術的な要件を理解した上で、事業開発に落とし込まなければいけません。製造業事業部と事業開発事業部のコンサルタントが担当することで、技術・事業開発の両面から実現性の高いロードマップを策定しました。
行動計画だけでなく、より価値のある事業を作るべく、次のように事業構想をブラッシュアップ。
- ネットワーク(コネクション)の構想:どのようにプラットフォームに人を集めるか
- ビジョンの幅出し:本ビジネスモデルで将来的に出していける価値の洗い出し
ミーティングなど意見交換の場を細かく設けることで、小回りの効いた支援を実施。各ステークホルダーの事情を鑑みて、実現できる事業の計画づくりを完遂しました。
成果|ずれていた関係者の認識を統一し、事業開発ロードマップを確立
- ずれていた関係者の認識を統一し、事業開発を進める体制を確立
- 法規制やプラットフォームの構築方法など専門性の高い領域の検討項目の明確化事業開発のロードマップ、ビジョンの策定を完了
C社への支援には、2つの重要なポイントがありました。
- 企業風土・関係者各位の事情への理解
- 「製造業界」「プラットフォーム」といった専門的知識を用いた事業の構築
C社のように、ビジネスの構想はあるものの、ビジネスとしてどう成立させ、実現するかの検討が進まないケースは歴史の長い企業や事業に法規制などが絡む業界では特に多く見られます。リブ・コンサルティングが支援に入ることで、解像度の粗かったアイデアを立ち上げに移れるまでプランニング・ブラッシュアップします。
大きなアウトプットを一度に出す支援の形式ではなく、少しずつ認識を合わせていく小回りの効いた支援で、C社がネクストアクションを取れる体制が整いました。
情報系企業 D社|独自技術を活かして事業拡大できる新業界を探索
情報系企業のD社は、自社独自の技術を活かして創業以来、成長を続けてきましたが、市場の飽和感が増す中で、新たな業界でのデジタルイノベーションの創出を模索していました。
一方、D社のリソースは限られており、既存事業の対応をしながら、新たに最適なターゲット業界を探索したり、その業界における新たなサービスモデルを検討していくことは困難な状況。
そこで、自社の技術が最大限に活かせる最適な業界を発見するため、リブ・コンサルティングに依頼をいただきました。
クライアント課題
- 自社の保有する独自技術の客観的分析ができていなかった
- 進出すべき業界を判断するための評価軸が決定できなかった
- 他業界に対する市場調査ノウハウが不足していた
リブ・コンサルティングの取り組み
D社が新事業を立ち上げるための最適な業界を発見するために、リブ・コンサルティングでは次のステップでプロジェクトを進行しています。
「D社が行うデジタルイノベーション」としての価値を創出するために、D社の強みを細分化する段階から支援を始めました。
1. 技術内容の分解・分析~評価軸整理
まずはD社のビジネスでコアとなっている技術力の分解・分析を行いました。D社の技術が「どのようなときにバリューが発揮されるものなのか」「一般化するとどういったシーンで活用できるものか」といった視点で深堀します。
「D社の技術が活かされる条件の抽出」を実施し、業界一覧から条件と合う業界を選出。それぞれの業界の事業モデルを比較して、より合致するものを探していきました。
また、バリューアップを目的としたデジタルイノベーションであるため、市場については次の視点でも足切り・選別をします。
- 業界の市場規模
- 業界の成長率
- 業界内のプレーヤーの数/規模
- 参入障壁の高さ
最終的には、技術が活かされる領域の中で、D社にとって進出したい業界の条件に合致するターゲット業界のリスト化をしています。
2. ターゲット業界の調査
前章で紹介したD社の技術の展開先として相性が良い業界のリストアップは、3〜4回転程度行い、精度を高めていきます。3〜4回転行った後、10数件程度に絞られてからは、より詳しい調査に進んでいきます。
【調査例】
- 専門家へのインタビュー
- ターゲット業界の顧客インタビューによるペイン(課題)の探索
- ターゲット業界のサービスの体験
- 法規制の調査
- 各業界で使われている技術の調査
今回の調査では、D社の技術がどれだけ差別化につながるものかを判断するため、各業界のプレーヤーがもつ技術の分析・比較まで行っています。また、ターゲット業界の顧客が抱えるペインの深掘りまでをおこなうことで、サービスモデルの初期仮説まで構築・評価。
このように専門的な領域まで妥協なく調査できるのは、リブ・コンサルティングの組織体制が柔軟であり、適材適所でコンサルタントをアサインできる点が背景にあります。
3. より精度の高い評価軸を用いた業界選定
業界調査の結果から複数の業界を候補として選定し、さらに評価基準を精査して最終的な業界を選定しています。今回は候補となる業界が最適かどうかを確認した上で、D社の意向に合致するまで複数回、業界選定・調査に戻してリスト化するプロセスを実行しています。
本プロジェクトのゴールは「D社が自社の技術が活きる業界を見つけ、参入の準備を始められる状態になること」です。
「技術のバリューが発揮される条件が満たされているか」「ビジョンに合うか」という2点を満たす業界を、妥協なく見つけ、業界探索の中で見つけた顧客が抱えるペインを解消するサービスモデルの初期仮説までを構築したことで、プロジェクトを完遂しました。
成果|D社は進出すべきターゲット業界を短期間に発見
- 独自技術における汎用性や強みを整理して進出できる業界の絞り込みに成功
- D社のビジネス成長に最も貢献できる業界の特定を成功
- ターゲット業界に進出するためのサービスモデル初期化説までを含めた具体的なロードマップの整備を完了
D社は「自社の強みとなる独自技術はあるが、市場が成長トレンドにない」という理由から支援をご依頼いただきました。既存のビジネスでは明確な強みを発揮できているものの、社会環境の変化から市場の縮小に苦しむ企業は多いものです。
本プロジェクトでは、保有技術の棚卸しと徹底した市場調査により、成長している業界への参入が具体化しました。進出すべき業界の選定には、論理的な洗い出しだけでなく、D社の納得感も重視して複数回、選定プロセスを妥協なく実施しています。
企業が新たな業界に進出するのは、まさにゼロからのスタートとなるため、大変なエネルギーを必要とします。市場の変化に取り残されないために、アイディエーション〜業界選定はスピード感を持って行うべきですが、ノウハウやリソース不足からなかなか検討が進まないケースは多いです。
リブ・コンサルティングでは、リソースのかかる業界選定のフェーズも、お客様が納得するまで「何度も広げて、何度も狭める」支援を徹底します。
まとめ
今回は、リブ・コンサルティングにおけるデジタルイノベーション領域での事業開発支援の取り組み事例を紹介しました。
各事例で共通する、リブ・コンサルティングが大事にしているポイントをまとめました。
- 市場の変化に取り残されないスピーディーなプロジェクト推進
- 企業の想いに寄り添い成果にこだわった支援方針
- 専門性の高い依頼に対しても柔軟なチーム編成で十分なアウトプットを実現
デジタルイノベーション領域での事業開発は、他の領域以上に市場の変化が早いだけに、よりスピードが求められます。
リブ・コンサルティングでは、進出したい市場の状況が変化する前に入ることで、狙った成果の創出が実現できると考え、スピードを意識したプロジェクト推進を行っています。
さらに、より専門性の高い業界であるため、支援体制も柔軟に各技術において知見をもったメンバーを柔軟にアサインすることで、最適なアウトプットが実現しています。
リブ・コンサルティングでは「”100年後の世界を良くする会社”を増やす」というミッションのもと、事業成立までを徹底して伴走支援します。デジタルイノベーションに関する事業開発に興味があれば、お気軽にご相談ください。