- 経営戦略
生産性向上を実現する方法
生産性向上とは少ない資源の投資で、大きな成果を出せるよう業務を改善することです。実現すると、人手不足の改善やコスト削減などのメリットがあります。
世界と比べて日本企業は生産性が低いため、いち早く取り組むべき課題です。しかし、生産性向上に向けた方法が分からず、どのように計画を進めるのか疑問に思う方は少なくありません。
生産性が向上しない企業にはいくつか原因があります。実現するためには、生産性向上の方法を把握し、適切な取り組みをおこなう必要があります。
生産性向上とは
生産性向上とは少ない資源で大きな成果が出せるよう業務を改善することを意味します。労働人口の減少やグローバル化により競争が激化した背景から注目を集め、企業での取り組みが進められています。
少ない労働者や時間、コストで多くの生産量を生み出すことができれば、企業としての競争力は向上するはずです。生産性の高い世界市場でも競合他社に負けることなく、事業を拡大できます。生産できる製品の量が多いほど、生産性は高いです。
生産性向上のメリット
生産性向上のメリットは次のとおりです。
- 人手不足の改善
- コストの削減
- 競争力の向上
人手不足の改善
1つ目のメリットは人手不足が改善できる点です。日本では、年を追うごとに出生率が減少し、今後は労働人口が大幅に減少することが予想されます。生産性の低い企業は人材不足で業務の進行が止まり、衰退につながります。そのため、従業員が少数でも業務を稼働できる生産性の高さが必要であり、個人のスキルに依存しない業務の仕組みづくりが求められます。
コストの削減
2つ目のメリットはコストが削減できる点です。少ない資源で生産量を増加できるため、必要以上にコストをかけることはありません。できる限りコストを削減することで、利益の拡大が見込めます。
削減できるコストの例としては、人件費と生産費が挙げられます。生産性向上によって従業員の労働時間や負担が減少するにつれ、人件費を支払う必要がなくなります。また、作業や連携ミスによって発生する余分な生産を防ぐことができ、無駄な出費をおさえられます。
競争力の向上
3つ目のメリットは競争力の向上です。生産性が向上すれば、少人数の従業員でも短時間で大量の製品を作製できるはずです。企業の生産性によっては、スケールが小さい場合でも、大企業に匹敵するほどの生産量を生み出すことができます。
まだ日本企業は生産性が低いため、国際市場での事業拡大を目指すには、競争力を身に付ける必要があります。生産性向上によって、スピードや生産量において他者と差をつけることが可能です。
生産性が低い原因
生産性が低い原因は次のとおりです。
- 無駄な業務が多い
- 従業員のモチベーションが低い
- 外注していない
無駄な作業が多い
無駄な作業が多いと、生産性は低下します。時間は有限であるため、不必要な業務がプロセスに含まれていると、時間が無駄になるのは間違いありません。また、何を目的として取り組んでいるのか分からない無駄な業務は、生産性だけでなく、従業員のモチベーションを下げることにつながります。
従業員のモチベーションが低い
従業員のモチベーションが低いと、作業の質は下がるため、生産性は低下します。生産量が低ければ、労働時間は長くなり、従業員への負担は大きくなるはずです。しかし、いくら労働時間が長くても、従業員1人あたりの生産性が低いと、利益は向上しないため、悪循環が生まれます。
外注していない
生産性が低い原因の1つが、仕事を外注していない点です。すべての業務を自社だけで取り組もうとすると、従業員への負担は大きくなり、最悪の場合納期に間に合わないケースも考えられます。特に自社の取り組みが不必要な業務に時間をかけるのはもったいないです。
生産性を向上させる方法
生産性を向上させる方法は次のとおりです。
- 業務を可視化する
- 従業員のモチベーションを高める
- 適切な人材配置をおこなう
- 仕事を外注する
- コミュニケーションを大切にする
業務を可視化する
生産性向上に向けて、最初にやるべきことは業務の可視化です。従業員の作業スケジュールや生産量を明確にし、無駄な作業がプロセスに含まれていないか、作業スケジュールにムラがないかなどの課題点を発見します。
課題を発見する際は、明確にしたスケジュール表から分析するだけでなく、従業員の声を聞くことも重要です。実際に現場で働く人の意見を聞き入れることにより、効果的な改善策を立案できます。課題を見つけたあとは改善に取り組み、業務の効率化を目指します。
従業員のモチベーションを高める
従業員のモチベーションは作業の生産性を左右するため、最適な施策が必要です。1人あたりの生産性が向上すれば、全体における生産性も高まるうえ、競争力も身に付きます。特に競争が激化する現代では、従業員の生産性の高さは重要です。
従業員のモチベーションを高めるための施策として、労働体制の見直しが挙げられます。仕事と私生活が両立できるように、快適に働ける環境づくりを心掛けることで、従業員のエンゲージメントは向上します。結果的に、モチベーションは高まり、生産性は向上するはずです。
適切な人材配置をおこなう
適切な人材配置は、生産性向上に大きく関係します。従業員1人ひとりのスキルは異なり、得意な業務にもそれぞれ違いがあります。不向きな業務を任されている従業員は、日々の緊張感やストレスから負担を感じるようになり、最悪の場合、退職するケースも考えられます。
優秀な人材の退職は企業にとって大きな損害であるため、属人に合わせた適切な人材配置をおこなうべきです。また、適切な配置場所のない従業員には育成が必要であり、個々のスキルアップが求められます。
仕事を外注する
従業員が働くことのできる時間には限界があるため、自社で取り組む必要のない業務は外注する必要があります。外注により余裕ができた時間をほかの作業に当てることで、より生産性は高まるはずです。
また、作業の負担が減少すれば、従業員の労働時間短縮やモチベーションの向上が期待できます。自社で必ず取り組むべき業務と自社では取り組む必要のない業務に振り分け、取り組みが不要なものは外注するべきです。
コミュニケーションを大切にする
従業員どうしのコミュニケーションは、業務を円滑に進めるうえで重要な要素です。社内でのコミュニケーションがうまく取れず、業務内容の伝達ミスで費用を無駄にしてしまうケースも少なくありません。
また、従業員の勉強の場を設け、情報共有することによりスキルアップを目指せます。業務を個人のスキルに頼ってしまうと、退職の場合に生産性が低下するリスクが考えられます。従業員全員のスキルを均一にするため、コミュニケーションを取りつつ、育成の場の提供も必要です。
まとめ
生産性向上とは少ない資源を有効活用し、大きな成果を出せるよう業務を改善することを意味します。世界と比べて日本の生産性は低く、その原因は無駄な業務が多いこと、従業員のモチベーションが低いことなどが挙げられます。
生産性向上の施策が成功すれば、コスト削減や競争力の向上といったメリットがあるため、企業の利益が拡大することは間違いありません。実現に向けて業務の可視化や仕事の外注など、生産性を向上させる方法を把握し、取り組みを進める必要があります。