2022.05.30

【事例】事業開発や事業改善にデータはどう活かせるのか?

データを活用した事業開発

AI技術の発展により、業務の効率向上や膨大なデータの分析が可能になりました。データ分析やデータ技術の活用によって、新たな事業やマネタイズポイントを創出できる可能性がありますが、「どのようなデータがどうビジネスに活用できるのか」がイメージできない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、実際にリブ・コンサルティングが担当した、データのビジネスへの活用事例をご紹介します。

  • 広告系企業A社事例|新事業の立上げ領域探索を支援
  • 情報系企業B社事例|AIを活用したデータビジネス立上げを支援

「コンサルティング会社が入るとどのような支援を受けられるのだろう」「自社の課題が解決されるのだろうか」と考えている方は、ぜひ参考にしてください。

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広告系企業 A社|時代に適合する新事業開発を支援

広告・情報系の事業を展開するA社は、収益のメイン事業の需要が徐々に減少しており、3年以内に新たな収益の柱を立ち上げる必要に迫られていました

A社はデータを起点として、新たなデジタルソリューションの創出を考えていましたが、事業開発ノウハウが不足していたことから検討が停滞。事業モデルやマネタイズ設計、アクションプランが策定されている状態を目指すべく、リブ・コンサルティングが依頼を受けました。

広告系A社の状況:新規事業立ち上げのノウハウや事業企画・検証のためのリソースが不足

クライアント課題

  • 既存事業が市場縮小傾向にあり、売上減少が避けられない状況
  • 今後、自社の他事業とのシナジーが見込める「データ活用」領域で新規事業立上げを模索していたが、進出すべき市場の発見ができずにいた
  • 新規事業の立ち上げを行うノウハウや、事業企画・検証を推進するためのリソースが不足していた

リブ・コンサルティングの取り組み

事業モデルやマネタイズ設計、アクションプランが策定されている状態を目指すため、リブ・コンサルティングは以下のステップでプロジェクトを進行。

豊富な事業開発コンサルティングで培ったフレームワークを活用し、100近い事業アイデアを最終的に3つまで絞り込んでいます。

各ステップで行った支援の内容を紹介します。

1. 市場トレンド等の外部環境分析

まずはデジタル・技術のトレンド環境分析から始めます。環境分析では次の3つの観点に着目しました。

  1. マクロトレンド軸
  2. ソリューション軸
  3. 業界軸

トレンド・環境分析

A社に限らず、ビジネスは常に外部環境である世の中の変化、つまり「マクロ環境」に大きく影響を受けます。特にデジタル領域においては、市場・サービス・技術の成熟度を把握することが重要です。目標とする期間内に一定規模の成長が見込まれる市場か見極める必要があります。         

2. 自社アセット棚卸し〜細分化

まずは事業に活用できるモノとして、資産や機能、顧客や知見といったアセットをバリューチェーン全体で棚卸しします。アセットを見る切り口や着眼点はトレンド・環境分析で有望と考えられた市場領域を参考にします。

棚卸ししたアセットは、さらに分解し、価値を抽出

リブ・コンサルティングでは抽出したアセットを「バリューカプセル」と呼んでいます。新規事業開発をする際には「その市場で、どれだけ自社のアセットが発揮されるか」が重要であるため、最小単位まで分解します。

バリューカプセル・アイディエーション

バリューカプセルが明確化された状態で、ビジネス仮説を立てることで、事業仮説の精度が高まります。

3. 事業仮説構築・仮説検証

外部環境分析とアセットの活用を起点として、絞り込んだ領域での事業アイデアを考案。A社では、100近い事業案を考案しました。

事業アイデアは①アイディエーション、②ビジネスモデル仮説構築、③仮説検証のサイクルをスピーディーに回して絞り込んでいきます。事業アイデアは、実際に市場にぶつけながら妥当性を検証し、アイデアの練り直しや深堀を何度も行う必要があるため、スピード感を持ってサイクルを回していくことが重要です。

アイデアの練り直しや深堀を何度も行うため、スピード感を持ってサイクルを回す

また、あえて激しく検討サイクルを回すことで、検討に対するA社の集中力を高める効果もあります。本プロジェクトでは、A社内外で関係者が10名程度いらっしゃいましたが、1ヶ月間でアイディエーションとビジネスモデル仮説構築・検証のサイクルを3回実施しています。

関係者それぞれの利害関係がありアイデアを具体化する難しさもありますが、社内関係者へのヒアリングをし、組織文化を理解することで地に足のついた提案が可能になります。

考案したアイデアは実現性の検証が必要です。専門家の協力を仰いでビジネスモデルの可能性や法規制を精査してアイデアを突き詰めます。最終的に事業のアイデアは3案にまとまり、クライアントで検証活動をすすめるフェーズへの移行が完遂。

成果|新事業創出における指針を短期間で獲得

A社は、今回のリブ・コンサルティングによる事業開発支援を通して次のような効果を得ています。

  • 市場や技術領域の成熟度を加味したエントリー市場が発見された
  • 顧客ニーズと市場規模が分かり、新規事業創出における方向性が明確になった

今回のような事業開発に関する支援を提供する場合、ただ論理的な支援のみを長い期間通して行っても成果は見込みにくいものです。組織の雰囲気に合わせた事業の提案が必要になってきます。

同じような事業や技術を持っている企業でも、各企業の歴史は異なり、得意とする事業の性質は異なるためです。事業開発を進める上で、ただロジックやベストプラクティスを重視した提案は、企業にとって実現しにくい事業を提案してしまう場合があります

企業の成果に確実につなげていくためには、実現可能かつ関係者が腹落ちする事業計画に落とし込まなければ意味がありません。こうした意識を持って進めることで、A社自身が「できそうだ」と感じる地に足のついたビジネスモデルを提案することで、成果創出につながる支援となっています。

広告系A社のゴール

情報系企業 B社|AI活用したデータビジネスの事業開発支援

情報系業界のB社は、Webサービスを提供しており、顧客のデータを大量に保有していました。ユーザー数を増やしてきたものの、競合の登場により成長戦略が見えなくなってきており、「自社に蓄積しているデータの分析で活路を見出せるのではないか」と考え、リブ・コンサルティングに依頼をいただきました。

情報系B社の状況:蓄積してきたデータの分析でヒントを得られるのではないか?

クライアント課題

  • アプリユーザー数・収益の成長が鈍化していた
  • 新たなマネタイズポイントの創造が求められていた
  • 膨大なデータを保有していたが、処理・分析するAI活用のノウハウがなかった

リブ・コンサルティングの取り組み

B社の課題解決を行いデータビジネスにおける事業開発支援を進めるために、リブ・コンサルティングでは次のような流れで支援を進めています。

リブ・コンサルティングの支援の流れ

経営陣の思いや企業のミッションに沿った形での提案をするために、まずは徹底的に事業や組織に対する理解を深めた上で、データ分析のフェーズに移りました。
フェーズを3段階に分けて取り組み内容を紹介します。

  1. 事業概況調査
  2. AIを活用したデータ分析
  3. 分析結果をもとにしたディスカッション・事業方針策定

1. 事業概況調査

直近購入者のデータから商品別の収益性や改善した際のインパクトを整理し、経営陣の所感と照らし合わせて、レバレッジが効く可能性の高いポイントを絞り込んでいきました。

▼整理表イメージ
整理表

既存事業課題を深堀りし、どのようにすれば改善していくのかブレインストーミングでブラッシュアップします。また、概況調査の一環として、直近購入者のデータ分析から、アプリ人口が老齢化している傾向も特定。

収益性とは別の観点ですが、分析の調査対象課題に組み込みました。

B社は使えそうなデータソースはあるものの、想定目的にどの程度活用できるのかが見えていない状況でした。分析の前に課題に対する解像度を上げることで、アウトプットの質を高める狙いがあります。

2. AIを活用したデータ分析

分析対象は「数百万のユーザー数を誇るB社のWebサービスに登録された、画像や行動のログ」です。ビッグデータに潜む「パターン」をAIを活用して抽出。

AIを活用する以前は、収益に貢献している利用用途や購買パターンを肌感覚で把握している状態でした。本プロジェクトでは画像解析、クラスタリング、分類など複数のAI技法を組み合わせることで、登録情報やテキストだけでなく、画像のシーン、色見や被写体も分析しセグメント分けを実施。

目視や肌感覚では読み取れない購買パターンの傾向を見出すことができています。

情報系B社のプロジェクトでのAI活用

3. 分析結果をもとにしたディスカッション・事業方針策定

リブ・コンサルティングでは、AIを活用する際「AIの解釈可能性」(結果に至るプロセスの理解の容易さ)にこだわり、アウトプットをそのままワークショップで使える形で作成。

週2回のMTGを実施し、週の前半に分析結果の共有とディスカッション、後半にブレストという進め方をとりました。スピーディーな推進により、関係者の関与度・関心が高い状態を維持。

「分析」「アイディエーション」「事業アイデアの検証・評価」のサイクルをスピーディーに回すことができたため、通常3ヶ月かかる支援を1.5ヶ月で完遂しています。

なお、MTGには経営陣だけでなく現場を巻き込んで「現場主義」を徹底。現場を理解した上で組織が目指す方向性を策定できるよう努めています。

分析、アイディエーション、事業アイデアの検証・評価のサイクル

成果|データ資産を活用し、ミッションに沿うアイデアを確立

  • データ資産の活用方針の確立
  • AI活用による既存サービスの次の成長の柱を発見
  • B社のミッションに沿っているかつ、実現しやすい新規サービスアイデアの確立

B社のお問い合わせ背景として「データがあるが、活用できていない」という点がありました。サービスのグロースとともにデータが蓄積していき、事業拡大のヒントが隠されているものの、可能性に気づいていない企業は多くあります。

本プロジェクトではAIの活用により「肌感覚」を脱却、新しいインサイトを得たことにより、新たな事業開発のディスカッションができる土壌が整いました。

また、新規事業や事業成長のアイデアでは実現性について専門家ヒアリングなどの検証をするだけでなく、「経営陣の思い・組織のミッションに合っているか」も重視しています

企業が生む価値はただ「収益を上げる」だけではありません。リブ・コンサルティングでは「社会にどのような価値を生み出していきたいか」を理解した上でのご支援を徹底します。

B社のゴール:データの活用で既存・新規事業ともに新しいアイディアを確立

まとめ

今回は、リブ・コンサルティングにおけるデータビジネス領域での事業開発支援の取り組み事例を紹介しました。
各事例で共通する、リブ・コンサルティングが大事にしているポイントをまとめました。

  • 実際の市場にぶつけながら行うスピーディーな仮説構築・検証サイクル
  • 企業の想いや文化を理解した上でミッションに沿うアイデアの提案
  • 現場担当者を巻き込むことで組織全体の関心を集中

特に、事業開発はスピードを持って取り組むことが非常に重要です。時間をかけることは良いことのようにも思えますが、市場は絶え間なく変化するのに加え、新たな顧客価値の創造は実際に市場にぶつけてみるまでわからないことが多く、アイディエーションやディスカッションに時間をかけすぎると、検証時にはプロジェクト発足時と市場環境が変わってしまったり、市場が求めていないものに時間をかけすぎてしまうこともあります

前提となる市場環境が変わっていると、アイディエーションの有効性が低下します。新規事業の開発において、絶対の正解を見つけることはできません。

「何度もサイクルを回すことで、アイデアを正解に近づけていく」

リブ・コンサルティングでは「”100年後の世界を良くする会社”を増やす」というミッションのもと、事業成立までを徹底して伴走支援します。データを活用したビジネスや事業開発、イノベーションに興味があれば、お気軽にご相談ください。

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