- 経営戦略
環境省におけるグリーントランスフォーメーション(GX)
環境省では化石燃料中心の経済や産業構造をクリーンエネルギーに移行させるためにグリーントランスメーションとよばれる経済社会システムの変革実行を目指しています。
日本政府では2050年にカーボンニュートラルを実現することを目標としており、目標を達成するためにはグリーントランスフォーメーションが不可欠であるとしています。グリーントランスメーションを達成するためには、政府や企業以外に、国民理解の醸成が必要であると名義しているのです。
カーボンニュートラルとは
環境省は、2050年までに二酸化炭素排出量をゼロにするカーボンニュートラルを目指すことを発表しています。二酸化炭素をはじめとした温室効果ガスの排出量から吸収量を差し引いたものです。そのため、実際に二酸化炭素をゼロにするわけではなく、実質的にゼロにします。そのため、カーボンニュートラルを達成するためには温室効果ガスの排出量を減らしたり吸収作用の強化をおこなう必要があります。
これらのカーボンニュートラルを達成するために、経済社会の変革であるグリーントランスフォーメーションが重要です。
パリ協定とは
パリ協定は2015年に採択された120以上の国が2050年カーボンニュートラルに向けての取り組みです。2050年以降の気象問題を解決するための国際的な枠組みであり、京都議定書の後継であるといえます。
パリ協定では55ヵ国以上が参加すること以外に、総排出量のうち55%以上をカバーする国が批准することが発効条件となっています。当初はむずかしいといわれていましたが2016年11月4日に発効され、世界各国が地球温暖化に対して強い関心を持っていることが明確になりました。パリ協定は2017年現在で159ヵ国をカバーしています。
パリ協定で掲げている目標として、世界の平均気温状況を産業革命時と比べて1.5℃に抑えること、また、温室効果ガスの排出量と森林などによる吸収量を同じにすることが挙げられます。
・世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする
・そのため、できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとる
引用:今さら聞けない「パリ協定」 ~何が決まったのか?私たちは何をすべきか?~(経済産業省資源エネルギー庁)
日本でも多くの企業や地方自治体などがパリ協定に沿って、カーボンニュートラルに取り組んでいます。
日本政府の取り組み
日本政府では2009年10月にカーボンニュートラルの実現目標を掲げています。2050年までにカーボンニュートラルを目指すことによって、脱炭素社会を実現すると発表しています。日本政府が掲げているエネルギー基本計画には、温室効果ガス排出の80%以上を締めているエネルギー分野やエネルギー基本計画の見直しなどが含まれています。
さらには、政府や企業、地方自治体などだけでなく消費者もカーボンニュートラルを意識した行動が必要であるとしています。
グリーントランスフォーメーションを実現させるために必要なこと
グリーントランスフォーメーションを実現させるために次のような取り組みを進めています。
- グリーンディール
- サステナブルファイナンス
グリーンディール
グリーンディールとは、再生可能エネルギーや環境保全などの産業分野に、大規模な投資をおこなうことで新たな雇用を増やすことで経済活性化を進める政策のことをいいます。太陽光やバイオマスなどの拡大や、電気自動車を積極的に活用するなどさまざまな施策を世界中がおこなっています。
サステナブルファイナンス
サステナブルファイナンスとは、持続可能な社会と地球を実現するための金融のことです。金融庁ではサステナブルファイナンス有権者会議を設置することで、企業開示の充実や金融機関の機能発揮などの取り組みをしています。
企業がカーボンニュートラルに取り組むメリット
企業がカーボンニュートラルに取り組むことによって、次のようなメリットが挙げられます。
- 社会からの評価が高くなる
- コスト削減をできる
社会からの評価が高くなる
世界中でカーボンニュートラルへの取り組みをしています。そのため企業がカーボンニュートラルを達成するための取り組みを進めることによって、社会からの評価が高くなります。近年では収益や業務内容だけでなく、企業に対して業務姿勢を求められるようになりました。例えば、企業理念やビジョンなどにSDGsを掲げる企業は少なくありません。SDGsに取り組む姿勢を評価されると将来性のある企業であると判断されやすくなります。
ユーザーに対しても、商品の特徴や価格のほかに環境に優しい取り組みをしている企業はアピールしやすくなります。カーボンニュートラル実現に取り組むことによって、売り上げ向上につながるのです。
コスト削減をできる
企業がカーボンニュートラル実現に関連する取り組みを取り込むことによって、エネルギーに必要なコスト削減が可能です。具体的なコスト削減の方法として世界的にカーボンプライシングの導入が増えています。カーボンプライシングとは二酸化炭素を排出量に対して価格をつけることによって、二酸化炭素を排出する人の考え方や行動の変化を促すことが目的です。
カーボンプライシングの一例として炭素税が挙げられます。炭素税とは化石燃料を購入することに税金がかかり、化石燃料を多く使う企業はその分だけ必要コストが増えることになります。そのためカーボンニュートラルに取り込むことによって、コスト削減となるのです。
企業がカーボンニュートラルに取り組む方法
企業がカーボンニュートラルに取り組むためには次の方法が挙げられます。
- 適切な目標設定をする
- 目標を達成するためのプロセスを設定する
適切な目標設定をする
企業がカーボンニュートラルに取り込むためには、現在の温室効果額排出量の把握や対策方法など現状把握することが重要です。現状把握することによって適切な目標設定をすることが可能になります。
目標を達成するためのプロセスを設定する
目標を明確にしたあとは、プロセスを設定することが重要です。カーボンニュートラルを実現するための取り組みはさまざまな種類があり、それぞれの企業に合った方法を選ぶことが大切です。環境省は中小規模事業者のための脱炭素ハンドブックを提供しており、カーボンニュートラルに関する窓口を利用したり他社の事例を参考にすることが可能です。
まとめ
環境省ではカーボンニュートラルの実現に向けてグリーントランスメーションとよばれる経済社会システムの変革実行を進めています。グリーントランスメーションはすべての業種において最重要な経営課題と位置づけており、各企業が温室効果ガスを排出する原因となる化石燃料の活用から、再生可能エネルギーの使用に転換させることにより、社会経済を変革させているのです。
企業はグリーントランスメーションに取り組むことにより、社会や周りの企業、さらにはユーザーからも評価を高めることになり結果的にメリットを生むことになります。そのため、企業理念やビジョンなどにグリーントランスメーションへの取り組みを掲げる企業は少なくありません。