2022.12.22

経済産業省におけるグリーントランスフォーメーション

気候変動や地球温暖化などの問題を解決するために、グリーントランスメーションに取り組むケースが増えています。再生可能なクリーンエネルギーを導入することにより、脱炭素実現を目指しているのです。グリーントランスメーションは、風力発電や太陽光発電といった再生可能なエネルギーを温室効果ガスが発生するエネルギーに変えて活用するなど、カーボンニュートラルに向けた取り組みの1つとして世界中で多くの国が取り組んでいます。

日本の経済産業省では、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルに取り組んでいます。GXTI(Green Transformation Technologies Inventory)では多くの企業でもグリーントランスメーションに取り組んでいますが、商品やサービスが貢献できている度合いを示します。

グリーントランスフォーメーションとは

グリーントランスフォーメーション(GX)とは、環境破壊や地球温暖化の原因となっている温室効果ガスの排出を減らすことを目的として環境改善だけでなく社会経済システムを改革していくことです。世界中が温室効果ガスの排出削減を目指しており、日本でも経済産業省が2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルに取り組んでいます。

グリーントランスメーションの主な取り組みとして、温室効果ガスの排出につながる化石燃料から風力発電や太陽光などの再生可能なエネルギーに変えることによって温室効果ガスの排出をなくすことが挙げられます。

日本でも多くの企業がグリーントランスメーションに取り組んでいます。環境と経済の両方において成長できる企業として周辺から評価が高まる環境となっているのです。経済産業省では、企業のグリーントランスフォーメーションへの取り組みとして、再生可能なエネルギーを活用することなど、さまざまな方法を紹介しています。

グリーントランスフォーメーションに取り組む背景

グリーントランスフォーメーションを重要と考える背景として、異常気象をはじめとしたサステナビリティに対する配慮していることが増えている点が挙げられます。日本でも、2050年カーボンニュートラルの実現を目的とした取り組みを進めており、競争政策上においての方策として捉えられています。

このほかにも、2022年に発表された資本主義の実行計画案においてグリーントランスフォーメーションが新しく資本主義の柱の1つとなったことが挙げられます。

GXリーグとは

GXリーグとは、経済産業省が発表したグリーントランスフォーメーションにおける取り組みです。GXリーグの目的として、企業が2050年カーボンニュートラルを実現するために行政機関やそのほかの期間と協力することにより新規市場の開拓を進めます。

グリーントランスフォーメーションに取り組む方法

企業においてグリーントランスフォーメーションに取り組むためには次のような方法が挙げられます。

  1. 再生可能エネルギーへの変更
  2. カーボンクレジットを購入

再生可能エネルギーへの変更

カーボンニュートラルは、温室効果ガスの排出をなくすことを目的としています。そこで温室効果ガスの利用をやめて再生可能エネルギーを活用することによってグリーントランスフォーメーションへの取り組みとなります。再生可能エネルギーには、太陽光発電や水力発電などさまざまな種類が挙げられます。

カーボンクレジットを購入

カーボンクレジットの購入もグリーントランスフォーメーションへの取り組みとなります。カーボンクレジットは、再生エネルギーを導入したり森林を保護することによって温室効果ガスを削減することでクレジットとして取引できるものです。先にクレジットを購入することによって二酸化炭素の排出量と相殺することが可能です。

グリーントランスフォーメーションに関する特許技術

GXTI(Green Transformation Technologies Inventory)とはグリーントランスフォーメーションに関連する特許技術に紐づけられた技術区分表です。特許検索式を合わせているのが特徴です。GXTIには、GX技術をカテゴライズする方法や特許文献を検索する方法を記載しています。

GXTIを導入する背景

2021年6月に改訂されたコーポレートガバナンスコードでは、プライム市場において上場している企業は気候変動関連情報の開示の質と量の充実を求めています。企業が気候変動関連情報を開示するにあたり、グリーントランスフォーメーションに紐づけられたGXTIを公表するようになったのです。

GXTI導入の目的

企業において、自社が展開している商品やサービスがどのようにグリーントランスメーションに貢献しているかを示すためにGXTIを活用しています。コーポレートガバナンスやコードの改訂によって、気象変動に関連する収益機会やリスクを開示することが求められます。このようにさまざまな理由で、GXTIが活用されています。

GXTIの特徴

GXTIには次のような特徴が挙げられます。

  1. 5つのGX技術と4つの視点からGC技術をカテゴライズ
  2. 誰でも調査可能
  3. 世界中の文献を検索可能

5つのGX技術と4つの視点からGC技術をカテゴライズ

GXTIは5つのGX技術と4つの視点からGC技術を分類しています。6つの大区分や32の中区、さらに86の小区分と3つの階層から成り立っていますが、それぞれgxから始まる番号設定となっています。

GX技術区分表
画像出典:グリーン・トランスフォーメーション技術区分表(GXTI)(特許庁)

大区分には次の6種類あります。

区分記号 内容
gxA エネルギー供給の視点
gxB エネルギー需要の視点(省エネ、電化、需給調整)
gxC エネルギー貯蔵の視点(電池、蓄エネ)
gxD 非エネルギー分野のCO2削減の視点
gxE 温室効果ガスの回収・貯留・利用・除去の視点
gxY 上記視点に共通する横断的な視点

それぞれの大区分に対して、中区分や小区分に個別の技術が設定されています。

誰でも調査可能

それぞれの小区分に対応している特許検索式を活用すると、誰でも変わらない条件で検索できるため客観的な結果を知ることが可能です。このため、どの企業や団体であってもグリーントランスメーションに取り組みやすくなっています。

世界中の文献を検索可能

GXTIは世界中の文献を検索できます。そのため、特許出願の動向を確認しやすいのが特徴です。

GXTIの今後について

経済産業省はGXTIの今後について、次のように説明しています。

  1. 国際的な動き
  2. 特許庁による分析

国際的な動き

経済産業省では、今後アメリカやヨーロッパ、アジアなどの特許庁や世界知的所有権機関(WIPO)との間でGXTIの活用方法について議論を進めていくとしています。このため、GXTIが今後国際的な定義となる可能性があります。カーボンニュートラルは世界中で取り組んでいることであり、GXTIが世界中で認められるようになれば、日本の企業価値も上がる可能性があるのです。

特許庁による分析

特許庁において、GXTIを活用することでそれぞれの国の特許出願動向を確認する調査をすることで、日本の強みが出る分野を発信していく予定としています。グリーントランスメーションに関連する技術の推移やシェアを明確にして、企業が特許分析をする場合の参考資料としても使えるようにするとしているのです。

まとめ

経済産業省では、グリーントランスメーションへの取り組みに関してプライム市場に上場する企業は気候変動関連情報の開示を充実するべきと明記しています。企業においてグリーントランスメーションへの取り組みを客観的に示すためにGXTI(Green Transformation Technologies Inventory)を活用することが増えています。

さらに、GXTIには現在含まれていない二酸化炭素排出量取引関連の発明やデータセンターの省エネといったグリーントランスフォーメーションに必要な技術に関しても選定し、今後公表する予定としています。このように、経済産業省ではグリーントランスメーションに取り組む企業においての環境作りを続けているのです。

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