- 経営戦略
コモディティ化の事例
日本経済において、商品の質や特徴において差をつけにくくなるコモディティ化が進んでいます。例えば、スマートフォンや牛丼、コンビニのコーヒーなど一般化することにより商品の特徴や質ではなく、値段で勝負するのが一般的となっています。
このような状況のなか、商品やサービスにほかの価値を見出すことで他社と差別化をしている企業は少なくありません。コモディティ化を脱却するためには、商品の特徴や価格以外に他社と差別化できるような付加価値を見つけることが重要です。
コモディティ化とは
マーケティングにおいてコモディティとは、高額だった商品が一般化したことにより品質や商品の特徴において差別化をすることがむずかしくなった商品やサービスのことです。コモディティ化が進んでいる商品の特徴として、ユーザーにとって必要不可欠になっていることがあげられます。
ユーザーにとって必要不可欠な商品であり、さらに判別がむずかしい状況になっている場合においてコモディティである状況だといえます。コモディティ化した商品やサービスは価格が変わることで需要が変化する割合が高い点も特徴です。つまり、同じ品質を持つほかの商品と比べて特別安ければ、その商品の需要が高まりやすくなります。
コモディティ化の事例
コンビニのコーヒー
ファミリーマートやセブンイレブン、ローソンなどで自社のコーヒーを提供しています。利用しているコーヒーマシンや商品展開はそれぞれの店舗によって異なります。こぞってコンビニコーヒーを提供していることから、価格が低いのが特徴です。
牛丼
すき家や松屋、吉野家など牛丼チェーンにて値下げがされています。価格以外に他社との差別化をするのがむずかしい状況のなか、ファミリー向けや女性客が来店しやすい店舗作りをすることで競合他社との差別化をしています。
スマートフォン
スマートフォンは2011年における普及率は30%未満だったのが、令和2年には86.8%と大幅に伸びています。近年ではほとんどの人が持っており、1人で複数台持っているケースも少なくありません。
画像出典:令和2年通信利用動向調査の結果(総務省)
この結果、機能やデザインで差別化をするのがむずかしくなり、料金プランで競争するケースが増えています。
コモディティ化を脱却するための方法
コモディティ化を脱却するために次の方法が挙げられます。
- 独自のブランドを確立する
- 営業の仕方を変える
独自のブランドを確立する
コモディティ化を脱却するためには、自社ブランドを確立することが重要です。ユーザーが商品の特徴や価格以外に価値を感じることができればファンが増え、価格以外で他社に差別化ができるようになります。市場が成熟することでユーザーは商品の特徴や価格以外に求めていることがあり、ユーザーの本来のニーズをつかむことでコモディティ化からの脱却が可能です。
営業の仕方を変える
インターネットやスマートフォンの普及率が高まり、ユーザーは常に必要な情報を得られる時代です。単に商品の特徴や良さを伝えるだけではユーザーは購入しません。そこで、ユーザー自身が気が付かないような潜在的な課題を見つけて、解決できるような商品やサービスを展開することが重要です。
コモディティ化を防ぐ事例
iPhone
iPhoneはアップル製品以外で利用することはできず、ダウンロードできるアプリはすべてアップル社の審査を受けているというように自社製品に対して管理に力をいれています。そのため、製品やサービスの品質を維持することからアップルファンが生まれています。
iPhoneはこれまでの携帯電話の定義を従来の携帯電話から音楽を聴く携帯電話にコンセプトを変えました。このように、アップルはユーザーや製品の再定義をおこなうことによりコモディティ化を防いでいます。
無印良品
無印良品では、「感じ良いくらし」をコンセプトにしており、生活に必要なものをユーザーに提供できるような商品展開をしています。使い勝手が良くシンプルなデザインの商品を展開するコンセプトを創業以来守っています。
さらに、MUJI SUPPORTとよばれるアドバイザーが常駐しています。ユーザーニーズである空いたスペースをうまく活用できるような棚を探したいときや蓋だけを変えたいときなど、叶えられるようにサポートをするアドバイザーがいます。
お引っ越しや模様替え、家具やカーテンの買い替えの相談を承ります。くらし方や間取りに合わせ、商品選びから家具の配置まで、お客様一人ひとりにあわせた部屋づくりをお手伝いします。お部屋の寸法や図面をお預かりして、コーディネートプランを3Dシミュレーターでご覧いただくこともできます。
引用:MUJI SUPPORT(無印良品)
ほかにもインテリアの相談や収納の相談、家具の組み立て、キッチンの収納などそれぞれ担当のアドバイザーがおり、ユーザーが常に相談できる環境にあります。
SUBARU
SUBARUでは、Your story withとよばれる「あなたとクルマの物語」をテーマにしたコマーシャルを作成しました。SUBARUは、車は移動手段ではなく人生の一部であることを伝えています。通常は車の性能や特徴などを伝えたいコマーシャルにおいて、あくまでメインは人であることを伝えることで、車の新しい存在価値を伝えることで視聴者を惹きつけています。
参考:Your story with(SUBARU)
キットカット
キットカットは、商品名を活用し「きっと勝つ」といったメッセージをユーザーに伝えて、合格祈願や受験生のお守りとして多くのユーザーに使われるようになりました。チョコレートとしての味や機能的価値ではなく、学生を応援といった情緒的価値でアピールをしています。この結果、ほかのチョコレート菓子との差別化をすることに成功しているのです。
キットカットを販売するネスレで公式に受験生応援キャンペーンをスタートしたのは2003年以降のこと。毎年この時期になると特別パッケージの製品が登場します。今シーズンは個包装の袋に励ましのメッセージフレーズが入ったキットカットが発売中です。「自分を信じて」などワンフレーズががんばる人を勇気づけてくれる、気がきいた趣向です。
引用:キットカットの願掛けがスゴイ! リアルタイムの流星をキャッチ(週刊アスキー)
まとめ
コモディティとは、商品やサービスを多くのユーザーが利用することで大衆化することをいいます。多くの企業が提供することで商品の特徴で差別化することがむずかしくなり、価格競争となるケースが少なくありません。コモディティ化への対策として、プロモーションの仕方を変えたり自社ブランドを確立するなどの戦略を立てることが重要です。
ユーザーが商品やサービスの特徴や価格以外に価値を感じることによりファンが増えるケースがあり、価格競争が起きにくい状況を作り上げることが可能です。