2022.09.15

デジタルトランスフォーメーションを推進した大学

2022年時点では、デジタルトランスフォーメーションを推進している大学が数多くあります。学生中心のチームを結成してシステム開発をおこない大学職員の業務負担を軽くしたり、オンデマンド授業を取り入れて学生が自分自身のペースで学習できるように環境を整備したり、学習データや習熟度をWEB上で管理して、いつでも学習行動を見返すことができるようにしたりしています。

大学でデジタルトランスフォーメーションを推進していくことで、学習データや習熟度が可視化されることで内省できたり、ハイテクなデジタル技術を活用することによって学びの質が向上したり、職員の事務作業による負担を軽減したりすることができます。

デジタルトランスフォーメーションとは

デジタルトランスフォーメーションとは、進化し発展しているデジタル技術やデータを活用して企業組織の風土や仕組みを改善していくことを指します。デジタルトランスフォーメーションはDXとも表現され、近年注目を集めている言葉です。

デジタルトランスフォーメーションは単に既存組織やシステムをデジタル化することではありません。進化したデジタル技術を活用して、業務を改善していくだけでなく、社会ごとより良いものに変えていくことを目指しています。

大学がDX化するメリット

大学がデジタルトランスフォーメーション化するメリットは、大きく以下の3つです。

  1. 学習の習熟度が可視化できる
  2. 学びの質が向上する
  3. 事務作業を効率化できる

学習の習熟度が可視化できる

大学がDX化することで学習の習熟度が可視化でき、学生が自分の学びの足跡を簡単に確認できるようになります。デジタル化が進むことで過去の学習データを蓄積していくことが容易になり、学生の学習状況を解析して把握できるようになるためです。

学習の習熟度を確認しやすくすることで、自分の得意分野や学習の傾向などを理解して、さらなるステップアップや苦手の克服に繋がります。

学びの質が向上する

学びの場でDXを推進していくことで、学びの質が向上していきます。進化した質の高いデジタル技術を取り入れていくことによって、自分のペースで学習に取り組むことができ、学習の進捗度合いをすぐ確認することが可能となるからです。

デジタルトランスフォーメーション化を進めている大学はIT環境が整えられ、AIやVR、機械学習などを取り入れています。さまざまなデバイスを活用し、それぞれのデバイスの特徴を活かすことで、個人に最適な学習方法で学んでいくことができます。

またデジタルデバイスを活用することで学習履歴を残すことができ、学びの振り返りや復習、進捗度合いを簡単に確認することが可能です。自分に合っていない学習方法だと感じたときには、違う方法で学んでいくこともできるため、デジタルトランスフォーメーションを促進していくと学習の幅を広めていくこともできます。

事務作業を効率化できる

大学でデジタルトランスフォーメーションを積極的に取り入れていくことで、事務作業を効率化していくことが可能です。ほかのカテゴリーに比べて、大学は在籍する学生数が多くなります。日本で最多の学生数を記録している日本大学は約7万人ほどの学生を擁し、毎年1万7千人ほどが入学してきます。

その数の学生をアナログな手法で管理すると、膨大な時間と手間が必要です。在籍する学生のデータをデジタル化することで管理が簡略化され、人員削減にもなり、時間も有効活用できるようになります。

デジタルトランスフォーメーションを推進している大学の例

今回ご紹介するデジタルトランスフォーメーションを推進している大学は以下の3校です。

  1. 近畿大学
  2. 東洋大学
  3. 香川大学

近畿大学

近畿大学は大阪府東大阪市にあり、15学部49学科を擁する私立大学です。近畿大学では2014年からオンデマンド授業を導入して、DX化に早くから取り組んでいました。

オンデマンド授業を活用することで学生が自分自身のペースで学習に取り組むことが可能になります。WEB上に動画をアップロードしておくことで、繰り返し、何度も動画を視聴することができるのです。気になった箇所を確認するために動画を停止することもできます。

2020年からより良いオンデマンド授業をおこなうために教育事業をおこなう株式会社schooと提携して、オンデマンド授業の撮影方法の改善やスタジオ機材の選定などをおこなってきました。

また学費納付書をペーパーレス化したり、LINE公式アカウントを作成して質問を24時間体制で対応したり、NTTドコモと連携してビジネスコンテストをおこなったり、さまざまなことに挑戦してきたのです。

東洋大学

東洋大学は東京都文京区に本部を置き、15学部を擁する私立の総合大学です。東洋大学におけるDX化の基本方針は、単なるデジタル化をおこなうだけでなく、知が交流して創造される学びをもたらす改革と定めています。

そして、DX化の計画を5つ練っています。在学期間中の学習データや習熟度などを蓄積して学習行動の振り返りをおこなったり、海外大学の授業にオンラインで参加したり、学内業務を整理して職員の負担を減らしたりしようと改善しています。

香川大学

香川大学は香川県高松市に本部を置く国立大学で、独自の三位一体型教育をおこなっています。デジタルトランスフォーメーションを推進するにあたって、香川大学では学生中心のDX推進チームを組み、学内業務を改善するために業務システムの内製開発などをおこなっているのです。

当チームに所属する工学研究科信頼性情報システム工学専攻2年の学生は、通勤届申請システムを開発して業務簡略化に貢献しました。従来の通勤届申請方法は煩雑で、申請完了までに3ステップが必要でした。用紙に必要事項を記入し、学内通で担当者に申請し、担当者が用紙をもとに手動で交通費を精算していたのです。

しかし、開発した通勤届申請システムはWEBを用いることで、自宅から大学までの通勤経路を判断して自動で交通費を割り出してくれます。運用に向けて最終段階に入っているため、実装される日が近づいています。

まとめ

デジタルトランスフォーメーションとは、ビッグデータやA Iなどのデジタル技術を用いることで業務改善をおこなうだけでなく、企業組織の風土や価値観なども改革していくことです。

大学がDX化を目指すことで学生自身が学習の習熟度が可視化されることで確認しやすくなり、習熟度の把握に伴い学びの質が向上します。それらに加えて、大学で勤務する職員の事務作業を効率化できることもメリットとして挙げられます。

2022年時点において、デジタルトランスフォーメーションを積極的に取り組んでいる大学は数多く存在します。大阪府にある近畿大学では、2014年からオンデマンド授業を採用して学生が自分自身のペースで授業が受けられる環境を整備しました。

東京都に本部を置く東洋大学ではDX化を推進するために大きく5つの計画を立て、在学期間中の学習行動や習熟度をWEB上に記録していつでも振り返れるようにしたり、海外大学のオンライン授業に参加したりできるようにしています。

香川大学では学生を中心としたDX推進チームを組織し、学内業務改善に大きく貢献しています。ある大学院生2年の学生は通勤届申請システムの開発に成功し、担当者の業務負担を大きく軽減しました。

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