デジタルトランスフォーメーションの海外事例

近年、デジタルトランスフォーメーションの認知度と重要性が徐々に高まっていますが、国内企業においては実際に取り組みには至っていないという現状がほとんどです。

海外ではUberやSpotify、Netflixなどさまざまな業界でデジタルトランスフォーメーション化に成功している企業があります。そのような企業がデジタル化ではなくデジタルトランスフォーメーション化に成功した共通点をご紹介します。

デジタルトランスフォーメーションの取り組みについて、国内企業の実情は海外企業に比べて重要性への理解度が低く、遅れをとっている状況にあります。

JEITAとIDC Japanが2020年におこなった調査によると、「デジタルトランスフォーメーションをおこなっていない」または「デジタルトランスフォーメーションについて知らない」と回答した国内企業が20.3％に対し、海外企業は2.4％程度でした。

出典：日米企業のDXに関する調査（DXの取組状況）（JEITA）

また、デジタルトランスフォーメーション化の現状として、実証実験を実施中であることも含めるとすでに取り組んでいると回答した海外企業は54.6％なのに対し、国内企業は28.1％程度しかありません。この結果からも、海外企業が業務のデジタルフォーメーション化の拡大段階に移行しているのに対し、国内企業はまだまだ追いついていないといえます。

国内企業の多くは、デジタルトランスフォーメーションをデジタル化やIT化と誤解している現状にあります。従来の仕組みをデジタル化したり、既存のツールやクラウドを活用しただけではデジタルトランスフォーメーションを推進できている状態とはいえません。

ビジネスにおけるデジタルトランスフォーメーションとは、「データやデジタル技術を駆使して、ビジネスに関わるすべての事象に変革をもたらす」ことを目的としています。経済産業省が2020年に発表したDXレポート2でも「素早く変革し続ける能力を身につけること、その中ではITシステムのみならず企業文化（固定概念）を変革する」ことがデジタルトランスフォーメーションの要と言及されています。（出典：「DXレポート2中間取りまとめ」（経済産業省））

配車サービス

自動車配車サービスであったものを、UberやCareemのようにシステム登録制のサービスに変化させることで、ドライバーと顧客の両者の利便性が向上しました。具体的には、ドライバーは空き時間に配車の仕事を受注可能になり、顧客はタクシーが少ない地域でも簡単に利用することができるようになりました。

また、システムを通じて会計をおこなうため、金銭的なトラブルを避けられ両者が安心して利用することができるサービスの運用を可能にしています。

音楽配信サービス

音楽配信サービスにおいても、デジタルトランスフォーメーション化が拡大しています。従来、音楽をレンタルして聴くためにはCDを借りて、返却するというのが普通でした。それをSpotifyはオンライン上でレンタル、ダウンロード、ストリーミングを楽しめる仕組みに変革させたことで一気に利便性が向上しました。

また、レンタルする料金体系も1枚あたりの価格ではなく、サブスクリプションを取り入れることで、より多くの音楽を容易に入手可能になりました。顧客はスマートフォンだけで場所や時間に縛られず好きな曲を聴くことができます。

飲食サービス

フードデリバリーにおいて、SNSの影響力を使って成功した事例があります。Domino’s Pizzaは複数メディアの活用、レシピへの顧客ニーズの反映を通して透明性を強化し、企業イメージを大きく改善しました。さらに、専用のアプリケーションを導入することで注文時の手間を省き、消費者側の利便性を向上しています。

動画配信サービス

動画配信サービスにおける成功事例としては、Netflixのように独自のプラットフォームによって構築された配信体制とデータ活用や提案によるものです。映画や音楽の記録媒体であるDVDを貸出たり郵送したりすることで提供していた従来のサービスから一変、プラットフォームを通じてオンライン上で配信することで、データの活用や顧客のニーズに合わせたおすすめの表示で利便性を高めました。

宿泊サービス

宿泊者と宿の提供者とのマッチングサービスも、デジタルトランスフォーメーション化の成功事例として知られています。ホテルや旅館の営業担当者が顧客へ宿を提供していた時代から、旅行代理店を通して予約を受ける時代を経て、インターネットが普及しOTA（Online Travel Agent）と呼ばれるインターネット上だけで旅行代理店の役割を果たす仕組みが表れました。

そして、デジタルトランスフォーメーションによって新しく誕生したのが「民泊」に対するプラットフォームです。例えば、Airbnbのように個人が自宅の一部や別荘などを宿泊所として提供できるようになり、宿泊者とマッチングすることが可能になりました。

デジタルトランスフォーメーションを成功させた海外企業に共通する点は「顧客視点で考える」ことです。デジタルトランスフォーメーション化というとデジタル技術を取り入れることが目的となってしまいがちですが、顧客視点で考えることが重要です。

いくら良いものを作ったからといって顧客に利用してもらえなければ意味がありません。そのため、現状のサービスや商品を利用している顧客がどこに課題をもっているのかを理解し、新しい顧客体験を提供するためには何が必要なのかを考えることが必要です。

デジタルトランスフォーメーションの海外企業での事例をみると、さまざまなサービスで成功していることがわかります。また、成功している企業に共通している点として、顧客体験が有益であることが大きいポイントとして挙げられます。

デジタルトランスフォーメーションを成功させた海外企業の共通する点は「顧客視点で考える」ことです。ビジネスにおけるビジネストランスフォーメーションでは顧客体験を意識するようにしてください。

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