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国土交通省が発表したデジタルトランスフォーメーション(DX)施策
デジタルトランスフォーメーション施策(DX)とは、デジタル技術を用いた変革によってビジネスや人々の生活を発展させることです。DXを導入することで業務の生産性の向上やコスト削減が実現できます。
デジタルトランスフォーメーション(DX)施策
デジタルトランスフォーメーション(DX)施策とは、進化したデジタル技術を浸透させることで、人々の生活をより良いものへ変革することです。(参考:インフラ分野のデジタル・トランスフォーメーション(国土交通省))
多くの自治体や企業がデジタル技術を活用した利便性の向上や業務効率化が求められており、DXを導入することで少子高齢化による労働力の減少やデジタル人材不足の解消につながります。
DXは身近なところにも普及しており、自宅にいながら音楽や漫画などを購入できるオンライン決済システムやスマートフォンで映画を視聴できる動画配信サービスなどもDXの1つです。
多くの企業や自治体がDXを実現したことでより社会は発展してきているため、より便利な社会を築いていくためにはDXの実現が欠かせません。
自治体トランスフォーメーション(自治体DX)施策とは
自治体デジタルトランスフォーメーション(自治体DX)施策とは、デジタル技術を活用することで業務効率化を進めて行政サービスを改善しつつ、住民の利便性向上を高めていくことです。
総務省では行政や自治体のDX推進の意義として、以下の3つを紹介しています。(出典:自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画(総務省))
- デジタル技術やデジタルを活用して、住民の利便性を向上させること
- デジタル技術やAI等の活用によって業務効率化を図り、人的資源を行政サービスの更なる向上に繋げていく
- データ様式の統一化や多様な情報を円滑に流通させることによって行政の効率化、高度化が可能となる
行政や自治体は、上記の3つの目的を実現するためにDX化を推進していく必要があります。
自治体にデジタルトランスフォーメーション(DX)が推進されている理由
自治体にデジタルトランスフォーメーション(DX)が推進されている理由としては、公共サービスの質の低下が懸念されているからです。総務省が発表した地方公共団体の総職員数の推移を確認してみると、年々自治体の職員数が減少していることがわかります。
自治体の職員数が年々減少すると、少ない職員が多くの仕事をおこなわなければいけないため、必然的にサービスの質が下がる可能性が高まります。
地方自治体の中には手書きでの書類作成やFAXでのやり取りなど非効率なアナログ文化を未だに実施している地域も存在しており、公共サービスの質を保つために業務効率化を図って、1人の職員に対する仕事の数を減らす必要があります。
多くの自治体が抱える課題
多くの自治体が抱える課題として、以下の3つが挙げられます。
- 労働人口の減少
- デジタル人材の減少
- アナログ文化の課題
労働人口の減少
デジタルトランスフォーメーション(DX)化が進まない要因の1つとして、労働人口の減少が挙げられます。
都市部を除いた地方自治体では特に少子高齢化の流れが顕著であり、現在では1,700ある地方自治体が2040年には896の市区町村が消滅の危機を迎えると予測されています。(参考:「地域消滅時代」を見据えた今後の国土交通戦略のあり方について(国土交通政策研究所))
地方自治体の労働人口が減少していることから、DX化推進に割く人材があまりおらず依然としてDX化できずにいることが多くの自治体の現状です。
デジタル人材の減少
地方自治体をDX化するうえで欠かせないデジタル人材が、日本全体で不足していることも課題といえます。デジタル人材とは、最先端のデジタル技術を活用して行政や企業に価値提供をおこなえる人材のことです。
画像引用:DX白書2021 第3部 デジタル時代の人材(独立行政法人情報処理推進機構)
企業のデジタル事業における人材の量の確保状況を調査した結果では「量が不足している」と回答した日本の企業が76%もいることに対し、アメリカは43.1%の企業しかデジタル人材の不足を感じていません。
また、デジタル人材の質の確保状況を調査した結果では「質が不足している」と回答した企業が77.9%も実在するのに、アメリカは49.3%しかデジタル人材の質が足りないと感じている企業はいないのです。
日本はデジタル人材の質や量がまったく確保できていないため、行政や企業のDX化が進んでいないのです。
アナログ文化の課題
DX化を推進するためには業務効率化するうえで欠かせないアナログ文化を見直す必要があります。新型コロナウイルスが流行した影響で多くの企業が在宅勤務を導入していますが、アナログ文化が根強い地方自治体ではテレワークすら導入していないかもしれません。
たとえば、地方自治体では紙媒体による情報共有や印鑑承認が当たり前のようにおこなわれており、非効率な業務を実施し続けることで多くの時間を費やして仕事をする必要があるため、公共サービスの質が低下する恐れがあります。
アナログ文化を撤廃して業務効率化に専念すれば、1人の自治体職員にかかる負担は少なくなり公共サービスが向上しやすくなります。
デジタルトランスフォメーション(DX)で変わること
デジタルトランスフォーメーション(DX)で変わることとして、以下の2つを紹介します。
- 行政手続きの迅速化やサービスの質の向上
- 二次災害の拡大防止
行政手続きの迅速化やサービスの質の向上
地方自治体がDXを実現することで、行政手続きの迅速化やサービスの質の向上に努められます。DX化すれば、今まで複数の手続きが必要だった処理を1つの窓口で実行しやすくなるので行政手続きが迅速化できます。
実際に行政手続きが迅速化した例として「おくやみコーナー」が挙げられます。
以前まで家族が亡くなったときの死亡や相続に関する手続きが膨大に存在していましたが、一部の地方自治体が「おくやみコーナー」を設置したことで1つの窓口ですべての手続きが完結できるようになりました。
また、DX化が実現すればオンラインで行政手続きができるようになるため、自治体職員の負担が大幅に低下するため間違えた手続きを防ぐことにつながります。
オンラインで行政手続きができるようになれば、わざわざ市役所へ出向く必要がないため住民の満足度も高まります。
二次災害の拡大防止
DX化を実現すれば住民へ正確な情報提供が可能になるため、二次災害の拡大防止につながります。地震や津波などの地震災害が起こってしまった場合、二次災害が起こる可能性があります。地方自治体がチャットアプリを用いて被害状況や避難所をいち早く伝達できれば、住民は適切な行動がとれるようになるため、二次災害の拡大防止に役立ちます。
自治体によるデジタルトランスフォーメーション(DX)の成功事例
神奈川県平塚市の事例
神奈川県平塚市は、事務経費や業務工数を削減するために紙で発行していたプレミアム商品券を令和2年から電子化しています。
プレミアム商品券を電子化した結果、事業規模が8億円から15億円に倍増したのにも関わらず、事務経費は1億4,800万円から5,400万円へ減少しました。
電子化によって消費者の購買行動がデータ化されたため、データを基礎とした分析が容易になり、施策の評価や企画立案において有用な指標になっています。
宮城県都城市の事例
宮城県都城市では、応募者の負担を軽減することを目的に採用面接の二次選考において録画形式のデジタル面接を導入しています。事前に質問を収録したファイルを応募者に送信し、応募者は自分の都合のよいときに受験ができるようになっています。
録画形式なので選考をおこなう職員も都合のよいタイミングで視聴できます。後年に渡ってデジタル面接を視聴できるため、質問事項や選考の妥当性の検証もできます。受験者にアンケートした結果、87%が「受けやすかった」と回答しています。
大阪府東大阪市の事例
大阪府東大阪市は、議事録作成支援システムの導入による議事録作成時間の実施を実現しています。今までは議事録作成する際に録音した音声を複数回聞き直しながら作業を実施するため、会議時間の約3~8倍も作業時間がかかっていました。
議事録作成支援システムを導入した結果、議事録作成にかかる作業時間を3割程度削減できることが明らかになり、大阪府東大阪市の市役所では全庁に議事録作成支援システムの貸し出しを実施しています。
まとめ
地方自治体がデジタルトランスフォーメーション(DX)施策を実施することで行政手続きの迅速化やサービスの質の向上、二次災害の拡大防止につながります。
少子高齢化の影響もあり年々地方自治体職員の人数が減少しているため、DX化を推進しなければサービスの質が次第に低下していくかもしれません。住民や職員が過ごしやすい世の中にするためにもDX化推進が必要です。