2021.12.14

DX(デジタルトランスフォーメーション)とAIの関係性とは?事例も紹介

デジタル化が進みゆく現代において耳にする機会が増えた言葉に、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」と「AI(人工知能)」があります。

実はこの2つは密接にかかわっています。DX化を進めるなかでAIの活用は不可欠であり、効果的なDX化を実現するにはAIの特性も把握することが必要です。

そこでこの記事では、DXとAIの概要、その関係性と違いについて解説する他、具体的な事例についてもご紹介します。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?経済産業省の定義

経済産業省のDXレポートによると、DXは次のように定義されています。

企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネス・モデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること
出典:経済産業省「DXレポート」

つまりDX推進では、素早く変化する市場に対して、デジタル技術を活用して競争市場を勝ち抜くことが求められています。

DX推進のためのツール

DXを推進するためには、ツールの導入が欠かせません。そこで、DX推進のためのツールで代表的なものを、次のとおり紹介します。

  • チャットツール…LINEのように、チャット形式で連絡できるツール。メールと比べて、手軽かつスピーディーに連絡を取れるのがメリット。代表的なツールは「Slack」や「Chatwork」など
  • オンライン会議ツール…オンライン上で会議できるシステム。オフラインに比べて、出張費を削減できるのがメリット。代表的なのは「Zoom」「Google Meet」など
  • RPAツール…人間がする単純作業を自動で代行できるツール。データ入力や指示書作成など、煩雑な業務を代行してくれるのがメリット

どれも便利なツールで、なかには無料で利用できるものもあります。まずは無料のツールから導入してみて、DXを体験してみるのもおすすめです。

DXに必要な人材

DXに必要な人材には、専門性を求められます。よって企業にとっても、DX人材の確保は急務となっているのです。DX化を進めるうえで必要な人材は、次のとおりです。

  • プロデューサー(プログラムマネージャー:PM)
  • ビジネスデザイナー
  • アーキテキスト
  • データサイエンティスト/AIデザイナー
  • UXデザイナー
  • エンジニア/プログラマ

これらの人材は現代では需要が大きくなっており、報酬も高い傾向にあるのが特徴です。

AIとは

一般的にAI(人工知能)は「Artificial Intelligence」の略であり、人間の知覚や知性の一部を、ソフトウェアを用いて人工的に再現したものです。AIを有名にしたエピソードといえば、1997年にチェスで当時の世界チャンピオンに勝利したニュースです。このニュースを機に、徐々にAIが注目されるようになりました。

実はAIは「特定型AI」と「汎用型AI」の2種類に分けられます。

AI 内容 具体例
特化型AI ある分野に特化した人工知能 画像認識、自動運転、将棋など
汎用型AI 多種多様な用途に活用できる人工知能 ロボット、自己制御できるコンピュータなど

なお一般的にAIはArtificial Intelligence(人工知能)をさしますが、IBMではAIに対し独自の見解を示しています。「AI=Augmented intelligence(拡張知能)」であり、「人間の知識を拡張する、コンピュータの仕組み」として定義。さらなる価値の創出を目指しているとのことです。

参考:行政の業務領域おけるAIとコグニティブの活用について考える | IBM ソリューション ブログ

AIでできること

AIには、人間の学習能力や判断能力を備えています。AIができる代表的なことは、次のとおりです。

  • 画像認識…AIが人間の画像データを分析し、個々の顔を認識しています。代表的な画像認識といえば、「iPhoneの顔認証によるロック解除」が有名です。
  • 予測…膨大なデータを基に、人の動向を予測します。企業では、天候や顧客データから来店客を予測する「来店客予測」がよく使われます。
  • 異常検知…人間の目では捉えづらいことも、AIで細かく異常を検知します。特に工場で活用されており、製品の細かな異常をスピーディーかつ正確に検知します。

逆に「クリエイティブな作業」や「人の感情を読み取る」など、人間らしい思考能力を代替する能力は、AIによる代行が難しくなっています。そのため「人間がやるべき作業」と「それ以外」を分業することが、DX化では重要です。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とAIの関係性や違い

AI自体は、言うなれば単なるツールです。人間の知覚や知性の一部を、ソフトウェアが変わって実行してくれます。

一方でDXとは、デジタル技術を活用して製品・サービスやビジネスモデル、企業風土などに変革を起こし、競争社会で優位性を獲得することです。

つまり、AIを企業に導入するだけではDXとは言えません。AIを駆使して、ビジネスモデルに新しい変革をもたらして市場で戦えることで、初めてDXと言えるのです。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とAIを組み合わせた事例

AIを駆使してDX化を進めている企業の成功事例について、3つ紹介します。

セブン銀行

セブン銀行はほかのATMと比べて故障が少ないことから、「世界一止まらないATM」とまで評価されています。

たとえばセブン銀行では、データとAIを活用して「どの時間帯にどれくらいの金額が動いているのか」を把握しています。ピンポイントで現金不足を把握し、効率的に入金作業を行っているのです。ほかにも、顔認証を利用したセキュリティの強化によって、破壊行為やスキミングに備えています。

セブン銀行は人力だけに頼らず、データをフル活用することで、顧客満足度の高いサービスを提供しています。

無人店舗経営(ロボットマート)

コンビニエンスストアとは従業員がレジをして運営するもの。そのような常識を破ったのが無人店舗経営を実現したロボットマートです。2018年には東京の八丁堀に初めて店舗を構えました。

ロボットマートの店内に、従業員は1人もいません。決済はクレジットカードやPayPayに対応しており、もちろんセルフレジです。テーブルの枠内に商品を置くとAIが認知し、決済金額が自動で表示されます。また、店内にAIロボットを設置することでお客様の反応などを分析し、今後の店舗計画に活かしているようです。

海外でも無人経営の動きは進んでおり、無人コンビニ「Amazon Go」が有名です。人手不足が社会問題になっている日本で、AIの活用は不可欠と言えます。

Face Express(成田国際空港)

Face Expressとは、成田国際空港で導入されている、顔認証を駆使した搭乗手続きです。

チェックインする際に、パスポートと搭乗情報を登録します。その際に顔写真を登録し、顔情報を登録します。顔情報を登録することで、手荷物を預けたり、保安検査場を通行したりする際にパスポートや搭乗券を提示するのが不要になるのです。

また成田国際空港側は、Face Expressによって必要最低限の人材で運用できます。AIの発達によって、単純作業のような人間がやらなくてもよい業務をシステムに任せ、少人数で効率のよい運用を可能にしているのです。

まとめ

DX推進にAIを活用することで、「人間がやるべきこと」と「それ以外」を分業し、後者をAIに任せられるようになります。

ただし、AIを導入するだけではDX化とは言えません。AIを活用してビジネスモデルや企業風土に変革をもたらし、競合優位性を獲得して初めてDXなのです。

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