- 経営戦略
デューデリジェンスのチェックリストとは
デューデリジェンスとは、M&Aをおこなうときに必要な適正買収価格や簿外責務がないかなどの事前調査をおこなうことをいいます。デューデリジェンスをおこなうときには、5種類のデューデリジェンスに対してそれぞれチェックリストがあります。
例えば、人材デューデリジェンスであれば従業員の数、人件費、応募数、採用数といった数値で表す項目のほかに、従業員の上下関係や既存の従業員との相性のような人間関係についても調査されます。
デューデリジェンスのチェックリストとは
デューデリジェンスのチェックリストは、それぞれ以下の5つのデューデリジェンスによって調査内容が異なります。
- 人材デューデリジェンスのチェックリスト
- 法務デューデリジェンスのチェックリスト
- 財務デューデリジェンスのチェックリスト
- 技術デューデリジェンスのチェックリスト
- 事業デューデリジェンスのチェックリスト
それぞれのデューデリジェンスにおいて、正確にもれがないように情報を確認するためにチェックリストがあります。
人材デューデリジェンスのチェックリスト
人材デューデリジェンスのチェックリストには次の点が挙げられます。
- 人事の調査
- 費用の調査
- 人間関係の調査
人事の調査
従業員の数や部署ごとの業務内容、責任者を調査します。この調査で、人事に関しての基本的なことをすべて把握することが重要です。
費用の調査
次に、人事における費用の調査をおこないます。全体の給与や報酬のほかに、採用における費用を調査します。これまでおこなった面接、求人サイトへの掲載、合同説明会など採用におけるすべての費用調査です。
人間関係の調査
従業員同士の上下関係や派閥、その他人間関係に関しても調査をおこないます。さらに重要なのは買取をする企業の従業員との相性の調査も重要です。人間関係がうまくいかないと、コミュニケーションがとりづらくなり、業務効率に支障がでる場合があります。
法務デューデリジェンスのチェックリスト
法務デューデリジェンスのチェックリストには次の点が挙げられます。
- 社内規定を調査
- 債務などリスクの調査
- 契約状況
- 労務もに関する問題
社内規定を調査
法務の調査をおこなううえで、ベースとなる社内規定を把握することが重要です。社内規定のなかで法務に関して書かれている部分だけを記録し、法律と照らし合わせていきます。また、M&Aをするうえで契約書に問題がないかどうかの確認もこの時点でおこないます。
法令遵守に関しても十分注意して確認する必要があります。特に無認可の事業や反社会的勢力への関与、税法の違反、個人情報保護法の違反などがあった場合には買収がむずかしくなるケースもあります。
債務などリスクの調査
M&Aで企業を買収すると企業が持っている簿外債務も引き継ぐことになります。つまり、債務がある状態で買収するとその時点で返済義務が発生します。特に注意したいのは不動産や金融資産、知的資産です。リスクを背負わないためにも十分な調査が重要です。
契約状況
M&Aを締結後、契約できないクライアントが存在する可能性があります。特に契約者同士が古くから信頼関係を持っている場合など、買収後に取引ができなくなる可能性があります。取引できなくなるのが、重要な顧客の場合は今後の経営に大きく影響が出ます。
財務デューデリジェンスのチェックリスト
財務デューデリジェンスのチェックリストには次の点が挙げられます。
- 簿外債務のリスクの有無
- 賃借対照表の確認
- 取引先の外部調査
簿外債務のリスクの有無
M&Aで企業を買収すると企業が持っている簿外債務も引き継ぐことになります。つまり、債務がある状態で買収すると、その時点で返済義務が発生します。このようなリスクを背負わないためにも十分な調査が重要です。
損益計算書の確認
売上高や原価、営業外損益など、損益に関連する内容の確認が必要です。確認する内容ですが、基準日直前に多額の売り上げ計上、返品、値引きなど通常ではないような取引がある場合は要注意です。業界の詳細を把握していないと理解できない場合もあることから専門家を活用するケースもあります。
取引先の外部調査
主な取引先の財務状況によって財務的な価値が変わってきます。財務状況がよい取引先が多くあれば、それだけ財務的な価値が上がります。また、得意先や部門別、地域別などより詳しい売上分析も財務デューデリジェンスがおこないます。
技術デューデリジェンスのチェックリスト
技術デューデリジェンスのチェックリストには次の点が挙げられます。
- 企業が所有する技術
- 市場において企業の位置
- 買収する企業が持つ技術との相性
企業が所有する技術
M&Aをおこなう大きな理由の1つに企業が持っているノウハウや技術を買い取ってそのまま新規事業として運営をすることが挙げられます。そのため技術のレベルや種類は、M&Aをするうえで重要な点です。
市場において企業の位置
企業が持っているレベルが市場においてどれくらいの位置にいるか判断することが重要です。レベルの高さ以外に技術の模倣性や希少性が高いと価値が上がります。
買収する企業が持つ技術との相性
今後規模を拡大するうえで買収する場合は既存の技術との相性が重要になります。もし相性が悪いようであれば、技術面での価値が下がります。
事業デューデリジェンスのチェックリスト
事業デューデリジェンスのチェックリストは以下の点が挙げられます。
- 外部環境の分析
- 内部環境の分析
- 事業計画書や契約内容
外部環境の分析
外部環境とは、買収を検討している企業が持っている事業に対しての脅威になる要素を分析していきます。例えば、市場内においての競合や新規参入企業、主な購入者の調査をおこないます。
他社の動きのほかに、顧客のニーズやトレンドの変化も外部環境となります。
内部環境の分析
内部環境は企業の商品やサービス、ネームバリューなどの経済価値、希少性などを調査していきます。現段階での調査のほかに、将来性を期待できるかどうかを判断することが重要です。今後、将来性がある場合は経済価値が高まります。買収をして即戦力としての価値があるか、将来的に価値があるかどうかが判断基準となります。
事業計画書や契約内容
事業契約書や他社との契約内容、顧客リスト、仕入れリスト、予算など事業に関する情報はすべて必要です。そのほかにも営業会議の議事録や資金サイトなどの情報も活用できます。
まとめ
M&Aをおこなうと買収した会社の業務や人材、技術、商品のほかに債務や金銭的リスク、税務リスクなどすべての責任を持つことになります。そのため、それぞれのデューデリジェンスにおいて正しい情報を仕入れることで、M&Aをおこなうべきかどうかを判断することができます。
デューデリジェンスには5種類あり、それぞれの項目においてチェックリストがあり、M&Aをするにあたり重要な内容です。M&Aにおいて企業を買収したあと、負債があった場合には返済義務があります。個人情報や法令違反があった場合も罪をかぶることになります。
また、重要な取引先が、経営者が変わるなら続けて契約はしないといったケースも十分に考えられます.。M&Aの前に、十分にデューデリジェンスをおこなうことによって、買収後のリスクを最小限にする必要があります。