- 事業開発
事業企画と事業開発の違い
社会の変化に伴い、あらゆるマーケットでの競争が激しくなっています。そのため、企業が行う事業の成功を左右する事業企画が重要視されています。
事業企画という言葉は、事業開発と同じ意味合いで使われることもありますが、実際には仕事内容、求められるスキルが少々異なるため両者の違いをしっかりと理解しておくことも大切です。
そこで本記事では、事業企画と事業開発、それぞれの仕事内容や必要スキルの違いについて詳しく解説していきます。
事業企画と事業開発の違い
事業企画とは、1つの事業での企画から目標設定、課題解決、事業計画の実行などの一連の流れを担当する仕事です。事業計画を推進させていくだけではなく、決めた予算と実績の進捗管理、目標や施策における修正、見直しも行います。
事業企画といっても、既存商品の販売計画から、新商品や新規市場への参入計画、事業部全体の事業計画など対象となる活動はさまざまですが、既存事業の戦略部分を担うことが多いです。
事業企画と同じように捉えられることが多い職種に事業開発があります。
仕事内容の違い
事業企画と事業開発では、まず仕事内容が異なります。
事業企画では、1事業について具体的な戦略を練り、計画を作成していきます。対象は参入計画、販売計画、事業計画など様々です。
具体的には、KPIや予算の設定、活動実績評価のモニタリング、課題発掘から施策立案など。事業において方針を明確にするのが主な仕事です。
事業開発では、新規事業の立ち上げや推進を担い、主に0から1にする役割があります。新しい事業を立ち上げ、売上を作り出す仕組みを開発します。
そのため、事業企画の仕事内容と似通っているところは多いですが、業務範囲の幅が異なります。たとえば、マーケットやターゲットの選定など0からの企画が必要です。
キャリアパスの違い
事業企画と事業開発では、キャリアパスが少し異なります。
事業企画では、営業やマーケティング、財務管理の経験やスキルを大きく役立てることができます。そのため、事業企画での結果が伴えば経営企画への昇進などが見込めます。
一方で事業開発では、営業やマーケティングの経験に加え資料作成などのプレゼンスキルが大きく役立てられます。キャリアパスとしては経営企画、事業企画への移動、経営コンサルティングなどが挙げられます。
事業企画に求められるスキル
既存事業をメインとする事業企画には、さまざまなスキルが必要とされます。ここでは、事業企画に求められる4つのスキルについて解説していきます。
マーケティング力
事業の成功には、収益につながる販売戦略やターゲット選定、価格設定などが重要です。市場ニーズの調査や把握、課題分析などを行いながら収益を上げていく必要があるため、高いマーケティング力が必要となります。
マーケティング力がなければ事業を成功させることが難しいため、消費者ニーズを理解して収益を出すためのPDCAを回していく力が求められます。
マネジメント力
事業企画では、各部門との協力が必要となります。事業全体の企画を行い、実際に動いてもらう現場をまとめるマネジメント力が必要です。
事業の推進と目標達成のためには、各部門との意識を統一させることが重要です。そのため、各部署の意識統一や役割分担、現状進捗把握など、事業推進のための適切な判断をするためにも全体をまとめ、把握するマネジメント力が欠かせません。
営業力
事業企画には、一般的に営業に求められるスキルとは少々異なり、事業を社内に向けて発信をするという営業力が求められます。
事業を円滑に進めるためには、業界や異業種の企業と一緒に拡大させていく場合もあります。このような場合に、協力者を増やしていくための営業力が欠かせません。
財務管理能力
財務管理能力とは、予算や収益にかかわる財務に関する管理能力のことを指します。事業企画では、どのように利益を生み出すかだけではなく、資金調達や予算管理なども非常に重要です。
特に事業の立ち上げ時は赤字になることが多く、事業を継続させるためにも資金確保が重要となります。高い財務管理能力を備えていれば、事業に関するお金の流れを把握し事業を成功に導くことができます。
事業開発に求められるスキル
ここでは、事業開発に求められる4つのスキルについて解説していきます。
コミュニケーション力
事業開発では、立ち上げ時に複数の部署や部門と関わることとなるため、高いコミュニケーション力が求められます。各部署や部門が納得した上で新規事業を始めるためには、関わる人たちに事業内容を正しく理解してもらう必要があります。
現場とのコミュニケーションだけではなく、現場の声を経営側に届けるなどの経営側とのコミュニケーションも発生します。そのため、事業開発を円滑に進めるためには優れたコミュニケーション力が欠かせません。
理論的思考力
事業開発は基本、新規事業が対象です。未経験のフィールドで企業側での過去データや経験が無い場合、実際に起こりうる事例やリスクの把握が難しくなります。このような状況では、先入観にとらわれず客観的に状況を捉える理論的思考力が求められます。
事業開発を成功させるためには推論するスキルを養い、限られた情報から先入観にしばられずに、客観的にビジネスモデルや業界の先を予測することが重要となります。
資料作成能力
事業開発は新規事業の立ち上げとなるため、事業に関する資料や営業で使用する資料の作成が必要となります。たとえば、企画段階で決裁者に対するプレゼンテーションを行う際に必要な資料や、新規事業立ち上げ段階の顧客やビジネスパートナーへのプレゼンテーションなど、資料を作成する機会が多くなります。
資料で事業の魅力を伝え相手を納得させる資料作成スキルが必要となります。分かりやすさや見やすさなど、内容が伝わりやすく使い回しができる資料作成は重要です。
プロジェクト管理能力
新規事業立ち上げの際は、0を1にする必要があるため複数のプロジェクトを同時に動かすことになります。また、プロジェクトが多いと実際にプロジェクトにかかわる人の数も多くなります。
各プロセスチェックや管理、関係する部門同士の連携を調整する役割もあり、グループ全体で新規事業を円滑に進めていくためにはプロジェクト管理能力が重要です。
まとめ
今回は、事業企画と事業開発の違いに着目しました。
既存事業を対象にすることが多い事業企画に対し、新規事業を対象にすることが多い事業開発。どちらも事業全体を把握し動かす必要があるため、高度なスキルが求められます。
十分なノウハウや適切な人員がいない場合は、必要なスキルを備えた社外のプロに任せる外部委託を視野に入れるとよいケースもあります。