- 事業開発
リーン開発とアジャイル開発の違い
リーン開発はメリハリを持って事業開発を進め、良い部分は取り込み、無駄な部分は削るといった経営手法です。一方で、アジャイル開発は小単位で検証と改善を繰り返し、商品やサービスを進化させる経営手法です。事業立ち上げに役立つ手法として認知されている要素ですが、2つの違いを説明できる人の数は多くありません。
どちらの手法も新規事業を開発する際の経営手段として活用することができ、活用次第では企業に大きな利益をもたらします。2つの違いを明確にすることで、方向性に合わせた戦略設計が可能になるので、リーン開発とアジャイル開発については深く理解しておく必要があります。
リーン開発
リーン開発とは事業を展開するなか、メリハリを持って業務に取り組みつつ、長所は引き伸ばして無駄な部分を削ぎ落す経営手法です。市場や顧客の開発を目的としています。
商品を販売して企業の規模を拡大するにあたって、さまざまな課題を抱えることになるはずです。課題解決のためには、商品における良い部分は長所として活かし、無駄な部分は削減するといったようにメリハリをつけることが重要になります。
ビジネス業界では特にメリハリが重要視されており、従業員や商品開発、資金など、それぞれの要素に対して厳格な取り組みをおこなわなければなりません。
現代は環境の変化が激しく、消費者のニーズや求められるモノの移り変わるスピードが早まっています。そのため、リーン開発におけるメリハリのある業務への取り組み方が変化に対応できる策であり、企業の成長を支える重要な要素です。
リーン開発の手法
リーン開発は以下の手順で進めます。
- 仮説と構築
- 検証
- 改善
まずは顧客が何を求めているか確認するために、ニーズの調査と仮説の立案をおこないます。需要のない商品は誰からも求められていないため、ある程度顧客が求めているモノを把握しておく必要があるのです。
ニーズが確認でき次第、最低限の質を備えた試作品を作製し、顧客から得る反応をうかがいます。良い面と悪い面の意見を分析し、取り入れることで商品のレベルを上げることができるので、改善後は再度試作品をつくり直し、もう一度修正をおこないます。検証と改善のサイクルを繰り返すことで、より優れた商品やサービスの開発を目指すことが可能です。
リーン開発の特徴
経営手法にはそれぞれ特徴があるため、うまく活用するためにはメリットを深く理解する必要があります。リーンは事業の開発を促進する手法であるので、新規市場の開拓をおこなう方は特徴の把握をしておくべきです。
リーン開発の特徴は次のとおりです。
- 新規事業の開発に役立つ
- 生産性を向上させる
メリハリを持って事業展開を進めるので、環境の変化へ柔軟に対応することができることや未知の市場へ参入できることから新規事業の開発に役立ち、企業だけでなく従業員の成長が期待できることは間違いありません。しかし、成果を出すためにはリーン開発におけるプロセスの1つ1つに対して試行錯誤を重ねる必要があります。
また、リーン開発を活用することで生産性が向上します。商品に対する意見を顧客から受け取ることにより、分析や改善をおこなうのですが、何度も繰り返すうちに市場でのニーズが明確化するはずです。
ニーズに応える戦略は満足度向上の効果があり、良質な商品をつくることができ、作業工程では取り組み方を改善することで商品完成までのプロセスの効率化を目指すことができます。
アジャイル開発
アジャイル開発とは小さい単位での検証と改善を繰り返すことにより、顧客から求められる商品やサービスの開発を目指す経営手法です。優れた商品開発を目的としており、開発や設計を繰り返すことで、より質の高い商品を生み出すことができます。
小さなサイクルで少しずつ改善をし続けるので、細部にわたって良い点と悪い点が明確になるはずです。サービスの改良や変更が頻繁に求められる分野に適した手法であり、開発スピードが重視される領域で活躍します。
モノが簡単に手に入り、環境の移り変わりが激化する現代では、消費者のニーズ変化に合わせて商品を変化させるスピードが求められています。質での差別化がむずかしい状況下において、事業を拡大するためには顧客のニーズに対して柔軟に変化することが必要です。
アジャイル開発への取り組み方
アジャイル開発への取り組み方は次の3点です。
- チームで取り組む
- 評価項目に沿って取り組む
- 顧客側の目線に立って取り組む
1つ目の手法はチームでの取り組みです。従業員どうしで組むのはもちろん、商品を体験する顧客も入れてチームを作り、効果的な改善をおこないつつ開発に取り組みます。
2つ目の手法は評価項目に沿った取り組みです。コミュニケーションが取れているのか、フィードバックはどうであるのかなど、いくつかの評価項目を作成し、それぞれの情報を社員どうしで共有します。商品開発における現状を確認できるので、途中変更にも柔軟に対応できるはずです。
3つ目の手法は顧客目線に立った取り組みです。文字どおり顧客の立場からものごとを考えることで、消費者のニーズに応えることができます。
アジャイル開発では、情報の伝達や共有が重要視されますので、仲間とのコミュニケーションは円滑におこなう必要があります。
アジャイル開発の特徴
商品開発を目指すアジャイル開発には特有の特徴があるので、リーン開発と混合しないようにメリットやリスクを把握するべきです。
アジャイル開発の特徴は次のとおりです。
- 工数が少ない
- スケジュール管理がむずかしい
アジャイル開発では小単位のサイクルで商品開発を進めるため、作業工数が少なくなっています。途中の段階で作業に失敗したとしても工数の少ない取り組みであれば、比較的楽に修正することが可能です。
しかし、要件ごとに開発へ取り組むため、プロジェクト全体の進捗状況が把握しづらく、スケジュール管理がむずかしいといった点が課題として挙げられます。
リーン開発とアジャイル開発の違い
事業の開発に取り組む際、リーン開発とアジャイル開発の活用次第では、商品機能の大幅な向上が期待できることに加え、企業の売上を大きく伸ばすことも可能です。2つの違いは目的にあり、どんな最終ゴールに向かって取り組むのか把握することで、違いが明確になります。
リーン開発は顧客や市場の開発をすることが目的です。顧客からの意見を事業開発に取り入れ、必要な魅力と不要な要素に分けて改善を繰り返し、優れた商品を開発することで売上アップを目指します。
一方で、アジャイル開発はより優れた商品の開発をすることが目的です。顧客が求めるより優れた商品を開発するために、小さなサイクルで検証と改善を何度も繰り返し、競合他社に負けない商品づくりを目指します。
それぞれの手法は単体でも活用できますが、リーン開発を活用して市場や顧客の開発をおこない、アジャイル開発で商品の進化を求めるなど組み合わせることも可能です。そのため、自社に適した取り入れ方をするべきです。