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IT化とデジタル化の違い
デジタル化とは紙で運用している請求書や契約書を電子化するなど、アナログで業務していたものをデジタルを活用した業務に変更することです。アナログ業務をデジタル化することによって、業務効率化やコストの削減などを目指します。
IT(Infomation Technology)とは情報技術のことであり、スマートフォンや電子マネーなど普段の生活でもさまざまなITを使った製品が見られます。IT化とは情報を使った技術を活用することにより新たな価値を生み出すことです。
IT化を進めるための1つの方法がデジタル化であり、IT化はDXを進めるための方法です。つまり、DX化を進めるためにIT化とデジタル化の両方が求められます。
IT化とデジタル化の違い
IT化とデジタル化は間違えて解釈されることがあります。しかし、次の点でIT化とデジタル化は異なります。
- 意味の違い
- 技術の違い
- 目的の違い
意味の違い
デジタル化とは現在アナログで業務していることをデジタルに変えることです。例えば契約書や請求書など紙で扱っていたものを電子化することが挙げられます。誰もがパソコンやスマートフォンを持つようになり、デジタル技術は身近なものとなっています。このため、企業にてデジタル化が求められるようになりました。
ITとは、情報を活用する技術のことです。つまり、IT化とは情報を活用する技術を活用して業務効率化することをさします。具体的には、システムやソフトウェアを活用して、データの収集、分析、共有、保管などの作業を効率的におこないます。これにより、従来の手作業や紙ベースのプロセスに比べて、時間と労力を大幅に節約することが可能です。
技術の違い
デジタル化とは情報を数字で表せる状態のことです。IT化にはデジタル化した情報を有効活用できるような技術が必要です。例えば、紙ベースの情報をPDFや画像などのデータに変換できるようにすることがデジタル化であり、デジタル化したデータから情報を自動で読み取って作業を自動化することはIT化です。
つまり、デジタル化は情報の形態を変えることで効率的な管理や利活用を実現し、IT化はデジタル化された情報を活用するための技術やシステムの導入を指します。デジタル化とIT化は相互に補完しあい、より効果的な業務遂行や意思決定を支援する役割を果たします。
目的の違い
デジタル化することの目的は、業務の効率化やコスト削減などです。例えば、ペーパーワークを電子化することで保管や提出する手間を省いたり、ルーティンワークを自動化することで業務負担を減らしたりできます。業務負担の軽減により人員コストを減らしたり、紙を使わないことで紙代や印刷代などのコスト削減をしたりすることも可能です。
IT化することの目的は、業務効率化やコストの削減だけでなく適切な分析をすることによって意思決定をスピーディーかつ正確におこなったり、市場の変化に合わせたカスタマイズをしたりなどさまざまなことが挙げられます。IT化は組織の成長と発展をするにあたって不可欠な要素であり、持続可能な未来を築くために重要な役割を果たしています。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
DX(Digital Transformation、デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタルによる変容のことです。具体的には、デジタル技術を用いて新たな価値を創造し、顧客体験の向上や効率化を図ります。
例えば、AI(Artificial Intelligence、人工知能)やビッグデータ解析を活用して、顧客のニーズや行動パターンを把握し、個別に適したサービスを提供することが可能となります。デジタル技術を活用することにより、顧客や社会のニーズを基盤としてビジネスモデルや組織、企業風土などを変革し、競争上の優位性を確立することが目的です。
IT化とデジタル化との関連性
DXの目的はIT技術を活用することによる企業の変革です。そのため、IT化はDXの手段といえます。デジタル化はIT化の手段であることからDXにはIT化とデジタル化の両方が必要です。
IT化とデジタル化を組み合わせることで、企業は効率性の向上、顧客体験の向上、イノベーションの推進などを実現することができます。DXは、急速に変化するデジタル時代のなかで競争力を維持し、持続可能な成長を達成するための重要な戦略となっています。
2025年の壁対策
DXが必要であるといわれている理由の1つが2025年の壁対策です。ブラックボックス化や既存システムの複雑化などの原因によりDXが進まないと、2025年以降最大で年間12兆円の経済損出が生じる可能性があるとしています。
・ 既存システムが、事業部門ごとに構築されて、全社横断的なデータ活用ができなかったり、過剰なカスタマイズがなされているなどにより、複雑化・ブラックボックス化
・ 経営者がDXを望んでも、データ活用のために上記のような既存システムの問題を解決し、そのためには業務自体の見直しも求められる中(=経営改革そのもの)、現場サイドの抵抗も大きく、いかにこれを実行するかが課題となっている
→ この課題を克服できない場合、DXが実現できないのみでなく、2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性(2025年の崖)。
引用:D X レポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~(経済産業省)
デジタル化やIT化の必要性
DXを進めるためには、デジタル化やIT化を進めることが必要です。デジタル化やIT化は、ブラックボックス化や既存システムの複雑化に対する解決策の1つとなります。デジタル化によって情報やプロセスが効率化され、IT化によって業務効率が向上することが期待できます。柔軟で効率的なビジネスプロセスが実現し、経済的な損失を最小限に抑えることが可能です。
さらに、DXは競合他社に対する競争力の強化や新たなビジネスモデルの創造にもつながります。デジタル技術の活用によって、顧客体験の向上や新たなサービスの提供が可能です。データの活用やAIの導入によって、より洞察力に基づいた意思決定や効果的なマーケティングが進められるようになります。
まとめ
デジタル化とは請求書や契約書など紙で管理していることを電子化するなど、アナログからデジタルに変更することです。IT化とは、デジタル化したデータを活用して新たな価値を生み出し業務効率化やコスト削減、イノベーションの推進などにつなげます。
日本ではDX導入が推進されていますが、DXを導入するためにはIT化が必要です。IT化するためにはデジタル化が必要であり、デジタル化が進まなければ、効率的な情報管理や業務の自動化は困難です。デジタル化によって、データや情報が電子的な形式で取り扱われるようになることで迅速なデータの共有や分析が可能となります。