- 事業開発
経営企画と事業企画の違い
経営企画と事業計画は似た言葉ではありますが、意味合いはまったく異なります。経営企画は今後どのような会社にしていくかを明確にすることです。ゴールを達成するために外部環境の情報を把握し課題を解決していきます。
対して事業計画とは、1つの事業が対象であることが一般的です。事業の方向性や目標を設定することで、課題や戦略などを明確に設定します。事業の目的とは収益を得ることであり、事業企画とは収益を得るための営業計画であることが一般的です。
経営企画とは
経営企画とは、中長期的に今後どのように企業を運営していくのかを具体的に立案し経営をサポートすることです。主に新規事業の創出をしたり経営計画の策定、管理をしていきます。このほかにもビジネスモデルの設定やコストの管理などさまざまな業務を担当するのが一般的です。
自社の現状を把握し売り上げや利益といった金銭面だけでなく、マーケティング戦略や社内リソースなどさまざまな分析が必要です。分析結果をもとに経営目標を設定し目標を設定するための施策を作成していきます。計画だけでなく運営後もPDCAを繰り返し、改善していくことが重要です。小さな規模の企業であれば社長や役員が経営企画を担当することが一般的です。
経営企画の業務内容には、市場やコーポレートガバナンスの調査、企業戦略の策定などが挙げられます。企業の内外において十分な調査をしたあと、経営ビジョンを達成するために必要な中長期的な計画を具体的に決めることが必要です。さらに、新規事業をするうえで事業の創造も経営企画の業務内容です。人材の能力や企業の予算を把握したうえで、収益の柱となるような事業を決めていきます。
事業企画とは
事業企画とは、経営陣の方針を理解しながら事業計画を推進したり策定したりすることです。このほかにも、新規事業を立ち上げたりほかの企業との業務提携やアライアンスなどの企画立案も含まれます。事業企画には経営陣の意思決定に基づいた目標の設定、具体的施策の計画や提案など多くの工程でなりたっています。進捗状況に応じて施策や目標を見直す必要があります。
経営企画と事業企画の違い
経営企画と事業企画において次の違いが挙げられます。
- 役割の違い
- 対象の違い
- 仕事内容の違い
- キャリアパスの違い
役割の違い
経営企画は、中長期的に経営全体の経営戦略を立案することが役割です。経営陣により近く、企業全体的に戦略を立てていきます。企業の上層部が決定した経営戦略を実現するのが目的であり、具体的な行動内容を立案にしていきます。実行させるために経営資源の配分決定も必要です。
経営企画は3〜5年といった中長期をスパンとすることが一般的であり、顧客ニーズや競合他社の動向、市場の動きなどを把握したうえで企業の方針を決めていきます。事業企画は該当の事業を成長させることが役割です。既存の事業を開発する場合と、新規事業を開発する場合があります。
対象の違い
経営企画の対象は企業全体であり、会社のビジョンを達成するためには経営計画の立案が必要です。対して、事業企画では特定の事業が対象です。経営企画と事業企画では、対象となる範囲が大幅に異なることから必要なことが大きく異なります。
仕事内容の違い
経営企画は企業全体が対象であり、経営計画の作成や管理、新規事業の創出が主な業務です。ほかにも、運転資金の管理や税金の把握などをはじめとした経営管理業務や社内規定の考案などさまざまな業務が挙げられます。
事業企画の主な業務内容は特定の事業の目標を作成し実行していくことです。さらに、人事や予算においての調整をしながら具体的に計画を進めることが重要です。さらに、継続的にKPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)を確認し、場合によっては修正が必要な場合があります。
必要なスキルの違い
経営企画は経営陣に近い部署であることから、プレゼンテーション能力やデータ分析力、経営管理力などのさまざまなスキルが挙げられます。事業企画は個別的な事業を手がけていることから、事業計画の推進や策定、アライアンスの企画や提携など事業実現のための計画策定や戦略の作成のためのスキルが必要です。
キャリアパスの違い
経営企画と事業企画はキャリアパスが異なります。事業企画に進むためには、マーケティングや営業企画経験を活かすことができます。事業企画には事業を進める役割と、企画を進める役割があります。そのため、関連性のある事業において商品企画や新規開拓経験があれば事業企画に進みやすくなります。事業企画をしたあとは、役員などに昇格するケースもあります。
経営企画においては、コンサルティングや事業企画経験者が多いのが特徴です。経営企画を経験後は、財務部長になったり独立したりするなどさまざまなキャリアパスが挙げられます。
事業企画に必要なスキル
事業企画には次のようなスキルが必要です。
- 適切な財務感覚
- マーケティングスキル
適切な財務感覚
事業企画担当者には、費用対効果を見極めたりコスト管理が求められたりすることから適切な財務感覚が必要です。新しい事業においてどのような収益を見込めるのか、損益が出る場合においても想定できる財務感覚が重要です。事業に必要な予算を調達したりバランスシートを作成したりする必要があることからも、財務に関する知識を持った人材が求められます。
マーケティングスキル
事業において収益性を高めるためには、マーケティングが必要です。市場の動きやターゲットのニーズを正確に掴むなどのリアルタイムな情報収集能力が求められます。インターネットやスマートフォンが普及していることから、マスメディア以外にさまざまな媒体において情報をしたり、将来的なニーズの変化を予測することも求められます。
経営企画に必要なスキル
経営企画には次のようなスキルが必要です。
- ロジカルシンキング
- 情報収集能力
- 語学力
ロジカルシンキング
企業全体を左右する経営企画担当者は、社内外のさまざまなデータを正確に分析することで適切な答えを出すことが重要です。さらに、経営企画においては分析した結果や作成した計画を経営陣やほかの従業員に対して提示して理解してもらうことが求められます。そのため、論理的に企画した報告書や企画書を作成したり、伝えたりする能力が必要です。
情報収集能力
収集した情報が正しくなければ、正確な社内外の情報を把握できないことになります。その結果、分析したデータが的外れになることが少なくありません。正しい経営判断を進めるためには、正しい情報集めをすることが重要です。
語学力
経営企画職においては、海外市場の分析や現地社員とのやり取りがある場合があります。近年ではグローバル化が進んでいることから、海外展開をしている企業も多く、最低限の語学力が求められるケースが増えています。
まとめ
経営企画と事業企画は、対象が企業全体であるか1つの事業であるかの違いがあります。そのため、業務内容も異なるのが特徴です。経営企画は経営陣とのやり取りが多いのが特徴で、事業企画は事業推進において実施計画の策定やリソースの獲得計画の策定などが挙げられます。