- 営業戦略
顧客ロイヤリティの事例
顧客ロイヤリティとは、ユーザーが企業やブランド、商品などに対して信頼や愛着を持つことです。ユーザーが企業を信頼することで、その企業が販売しているほかの商品を購入する確率が上がったり、SNSや口コミサイトなどで情報を拡散してくれたりといったメリットがあります。
顧客ロイヤリティを高めるためには、指標を使って数値化することが一般的です。さらに、顧客との接点を把握したうえで、顧客一人一人に対して顧客ロイヤリティを向上させるための施策を進めていきます。
顧客ロイヤリティを高めるプロセス
顧客ロイヤリティを高めるためのプロセスは次のようになっています。
- 指標を使った数値化
- 顧客との間において接点の把握
- 顧客ロイヤリティを向上させるための施策を実行
指標を使った数値化
現状の顧客ロイヤリティを把握するために、十分なデータを集めることが重要です。顧客ロイヤリティは心理的なものと行動的なパターンがあるため、両方を測定することにより指標化することが求められます。
顧客ロイヤリティを測定するためには、アンケート調査や購買率の調査、近年ではNPS®(Net Promoter Score、ネットプロモータースコア)の測定をおこなうケースが増えています。NPS®(ネットプロモータースコア)の測定とは、顧客に対するアンケートを元にして、商品やサービスを他者に勧める可能性を0〜10の11段階で評価をしてもらう方法です。
しかし、NPS®だけでは十分な測定ができません。スコアが低い場合、その要因を把握することができないためです。そこで、NPS®とは別にアンケート調査をおこない、満足している理由や不満な理由を確認します。もし不満な場合は、どのようなことを改善して欲しいかを聞くことで今後の商品開発やサービス展開に活かすことが可能です。
最後に購入履歴や購買率も顧客ロイヤリティを測定するための要因となります。継続的に長時間商品を購入したりサービスを利用したりしている顧客は、ロイヤリティが高いと測定することが可能です。すべての顧客において1度購入して次に購入する前の平均期間を出し比較することで、高い頻度で購入している顧客を把握できます。
顧客との間において接点の把握
顧客と企業の接点とは、WEBサイトを使っての情報収集や商品の使い勝手、郵送状況、アフターフォローなど多岐にわたります。それぞれのプロセスにおいての顧客体験を把握することで、顧客ロイヤリティの測定が可能です。担当者は営業部門やマーケティング部門、サポート部門など複数の部署が対象になります。
顧客ロイヤリティを向上させるための施策を実行
顧客ロイヤリティや顧客接点の現状を把握したら、状況に応じて顧客への施策を進めていきます。顧客一人ひとりによって適切な対策が異なるので注意が必要です。例えば、定期的に商品を購買している顧客であっても、NPS®において評価の低い場合があります。評価が低い場合は、その理由を明確にして適切な施策をすることが重要です。定期的に購入しているからといって顧客ロイヤリティが高いと判断していると、将来的に継続して購入してくれない可能性があります。
顧客ロイヤリティが高いといえるための要件
顧客ロイヤリティが高いといえるためには、次の3つの要件が挙げられます。
- 購入頻度
- 紹介数
- ブランドへの信頼度
購入頻度
顧客ロイヤリティが高いと認識するためには、購入頻度はサービス利用期間が重要です。商品によって購入までの頻度は異なりますが、それぞれの商品において購入頻度が平均よりも高い場合は顧客ロイヤリティが高い状態の可能性が高くなります。
紹介数
SNSや直接友人に商品やサービスを紹介するということは、顧客ロイヤリティが高い証拠です。紹介キャンペーンを展開することで紹介した数を把握したり、ハッシュタグを使ってSNSでの口コミを測ったりすることでユーザーの紹介数を把握できます。紹介数が多ければ多いほど、顧客ロイヤリティが高いと判断することが可能です。
ブランドへの信頼度
ブランドへの信頼度は、心理的ロイヤリティに大きく影響します。ブランド自体を信頼しているため、競合他社と同じような商品の質と価格であれば、選んでもらえる可能性が高くなります。さらに、関連商品や新商品にも興味を示すことを期待できるのです。信頼度が高くても行動につながらない場合は、高額であることをはじめとして購入できない理由がほかにあります。
顧客ロイヤリティの事例
顧客ロイヤリティには次のような事例が挙げられます。
- ヤクルト球団
- ポニーキャニオン
- Airbnb
- チューリッヒグループ
ヤクルト球団
ヤクルト球団では、球団公式のチケット販売システムを刷新することにより、チケットの購入動向データの分析が可能になりました。そこで、会員向けの先行販売や割引、さらに座席指定ができるなどニーズを満たした対応をしています。さらに、選手とファンのコミュニケーションをとることにより、エンゲージメントを強化中です。
ポニーキャニオン
ポニーキャニオンが運営しているアニメ専門通販サイトである「きゃにめ」をリニューアルし、ユーザーの行動や属性などを可視化し分析できるようになりました。ユーザーごとにあわせたメルマガの配信やキャンペーンの実施、商品購入時に貯めたポイントでオリジナルグッズと交換できるなどさまざまなサービスを展開中です。このことにより、エンゲージメントを強化しロイヤルカスタマー育成に成功しています。
Airbnb
Airbnbは宿泊施設や民泊を貸し出ししたいユーザーと借りたいユーザーを結びつける仲介プラットフォームを運営している企業です。AirbnbではNPS®を活用して、ユーザーの声を集めてユーザーのニーズを高めることに成功し顧客ロイヤリティを向上させました。
チューリッヒグループ
損害保険を主に扱うチューリッヒグループでは、顧客ロイヤリティの指標としてNPS®を活用しています。顧客ロイヤリティを高めるために、コールセンターやSNSなどを通じて、改善点を把握することで顧客満足度向上につなげています。
Net Promoter Score®NPSは、ベイン・アンド・カンパニーのフレッド・ライクヘルド氏が提唱した顧客ロイヤルティを測るための指標です。「チューリッヒの商品をご家族やご友人にお薦めしますか?」という質問に回答いただき、計測します。10-0の11段階の評価を以下の3つのグループにわけて、算出します。
引用:Net Promoter Score®(NPS)調査(チューリッヒグループ)
まとめ
顧客ロイヤリティとは、ユーザーの企業やブランド、サービス、商品などに対する信頼や愛着のことをいいます。ロイヤリティは短期間で高くなるものではなく、顧客が長期間商品やサービスを使い続けることで培われていくことが一般的です。インターネットやスマートフォンの需要が高い現代において、ロイヤリティが高い顧客はSNSや口コミなどで宣伝をしてもらえます。さらに、顧客ロイヤリティを高めることにより顧客に違う商品やより高い商品を購入してもらえるなどさまざまなメリットがあります。