- 営業戦略
クロスセルの事例とは
クロスセルとは購入したもしくはこれから購入しようとしている顧客に対して、関連商品を勧めることで顧客単価を上げる営業方法です。ファーストフードでハンバーガー単品を頼んだ顧客に、ドリンクを勧めてくるのもクロスセルの一例です。クロスセルをすることで顧客単価を上げることができ、顧客数が変わらなくても売上を増加することができます。
クロスセルは売上を上げるためだけに他の商品を紹介するのではなく、顧客のニーズが高い商品を提案することが重要です。そうでなければ顧客にとって売りつけられていると感じ、顧客を失う可能性があります。
クロスセルとは
クロスセルとは商品を購入を考えている人やこれから購入しようとしている顧客に対して、関連した商品を提案することで顧客単価を上げる営業方法のことをいいます。例えば、Amazonで商品を購入するときに関連商品が表示されるのはクロスセルの一例です。
顧客のニーズにあった関連商品を紹介することで、顧客満足度を上げ顧客ロイヤリティの向上もクロスセルの大きな目的です。
クロスセルの特徴とは
クロスセルには次のような特徴があります。
- 顧客単価を上げられる
- 顧客満足度が上がる
- コストがかからない
- 購入した商品を保管するサービスを提供できる
顧客単価を上げられる
クロスセル最大の目的は、顧客単価を上げることです。顧客1人が購入する金額が上がれば、顧客数が変わらなくても売上を上げることができます。ほかの商品の売上も同時に上げることができるだけでなく、顧客のニーズが高ければ今後セット割りをはじめとした戦略を導入することもできます。
顧客満足度が上がる
近年携帯電話と電力会社、ガス会社など同時に申し込むことによって毎月の料金を安くするサービスが増えています。顧客にとってみれば、毎月の料金が安くなるメリットは大きく顧客満足度を上げることができます。
このように、顧客にとってメリットのあるサービスをご案内することで企業やサービスに対してイメージが向上します。しかし、顧客のニーズにあわない商品を売り込もうとすると逆効果で顧客離れにつながることがあります。
コストがかからない
商品を宣伝するためにはコストが必要です。しかし、クロスセルはすでに商品を購入しようとしている顧客に対しておすすめするのでコストはほぼかかりません。また手間がかからないのも、クロスセルの大きなメリットです。クロスセルとして、紹介する商品を決定するまでの顧客の行動を分析する手間はかける必要があります。
購入した商品を保管するサービスを提供できる
例えばスマートフォンを契約したとき、それぞれのキャリアが提供している本体故障時の交換サービスをはじめとしたオプションを紹介してくることが一般的です。これらのオプションは商品を購入しないと売れないものであり、店にメリットがあります。顧客側で考えても、たとえスマートフォンを水没させてしまっても安価で交換してもらえると安心感があります。
スマートフォンは水没や明らかにユーザーの過失の場合で故障させた場合は、補償対応外であることがほとんどであり買いなおすにしても高額の料金が必要です。そこで、毎月料金が発生する定額サービスをご案内することで顧客が安心して加入するケースは少なくありません。
クロスセルを成功させるために
クロスセルを成功させるためには次の点が重要になります。
- 顧客ロイヤリティの向上
- 顧客のニーズにあった商品を紹介する
顧客ロイヤリティの向上
クロスセルを成功させるためにはサービスに対する満足度が高くなければ、商品を追加して購入することはありません。顧客がサービスに満足しているからこそ、紹介してくれた商品に対して購買意欲がわいてくることがあります。
顧客のニーズにあった商品を紹介する
関連商品なら何を紹介してもいいわけではありません。これまでの顧客の購買の傾向やWEBサイトの閲覧したページなどを分析して、同時に購入していることが多いもしくは追加して購入する方がお得になる情報を提供する必要があります。
例えば、商品を追加して購入すると送料が無料になるといった明確に顧客にとってメリットがあれば購入してもらいやすくなります。他にも、プリンターを購入した顧客にインクを紹介するといった必要になる商品をお得に購入できる情報であれば、顧客にとってメリットがあります。この場合、顧客単価を上げるだけでなく顧客満足度を上げることにもつながります。
いずれの場合においても顧客のニーズを理解していないと、クロスセルは成功しません。
クロスセルの事例とは
クロスセルには次のような事例が挙げられます。
- Amazon
- Uber Eats
- マクドナルド
- Salesforce
Amazon
AmazonはBtoBとBtoCの両方でクロスセルを実施しています。出品する企業に対して、商品の管理から配送、支払い管理までをおこなうフルフィルメントをすすめています。消費者に対しては商品を購入する手続きをしたとき「よく一緒に購入されている商品」と購入した商品と一緒に購入するケースの多い商品を紹介しています。
ほかの人が購入しているのならと、思わず購入してしまうケースがあります。ほかにも関連商品を紹介したり、送料が無料になるほかさまざまなサービスがあるAmazon Primeを紹介するなどAmazonにおいてはさまざまなクロスセルの事例を見ることができます。
Uber Eats
Uber Eatsでは商品を購入する画面になると、先にサイドメニューを表示させます。メインの商品を購入する前にもう一品通過することを促しています。
マクドナルド
マクドナルドで単品を購入しようとするとどの店舗でも「ポテトはいかがですか」と勧めてきます。一言添えるだけで決して無理に押し売りはしません。マクドナルドの場合はポテトやドリンクを付けてセットにしても、いきなり高額になることはありません。ハンバーガー単品で頼むと高い場合もあり、思わずセットにしてしまう顧客は少なくありません。
Salesforce
Salesforceは顧客管理をするためのCRM(Customer Relationship Management、顧客管理システム)が主力の商品でした。しかし、CRMを導入する目的は顧客を効率的に管理することにより満足度を上げ売上を最大化することでした。そこで、MA(Marketing Automation、マーケティング・オートメーション)やSFA(Sales Force Automation、営業支援システム)とのデータ連携を勧めています。
同時に導入した方が価格を抑えることができ効果があることから、顧客にとってもメリットが大きいクロスセル戦略の一例となっています。
まとめ
クロスセルとは商品やサービスを購入しようとしている顧客に、関連商品を紹介することで顧客単価を上げることが目的です。しかし、クロスセルは顧客のニーズにあった内容でないと顧客満足度が下がり顧客離れにつながります。
つまり、クロスセルの最大の目的は顧客満足度を上げることであるといった認識が必要です。顧客が満足してくれる商品を紹介することで、顧客が満足すると同時に顧客単価を上げることが求められます。そのため、クロスセルを成功させるためには顧客の行動履歴を分析することが重要です。関連商品を単に紹介するだけではクロスセルの成果が上がらないだけでなく、顧客満足度が下がる可能性があります。