- 経営戦略
コーポレートガバナンスコードとは
コーポレートガバナンスコードとは、東京証券取引所と金融庁がコーポレートガバナンスを達成するために必要な事項をまとめた上場企業統治指針です。企業はステークホルダーからの信頼を得ることが重要であり、コーポレートガバナンスの実現が求められます。コーポレートガバナンスコードは定期的に事項が追加され、常に把握をすることが重要です。
コーポレートガバナンスコードとは
企業にとって重要なのは、業績を追求するだけでなく法令遵守や社会的責任を果たしステークホルダーからの信頼を得ることです。コーポレートガバナンスは企業統治のことで、株主の代表権の保護や内部監査、企業の透明性の確保、適切な情報開示などが含まれます。
コーポレートガバナンスコードは、企業統治の方向性を示し、企業が遵守すべきルールや倫理的な行動基準を示しています。これにより、株主、取締役会、経営陣、従業員、およびその他のステークホルダーに対して、企業が持つ重要な責任を明確にし、透明性と責任を促進することを目的としています。
コーポレートガバナンスの概要
コーポレートガバナンスとは、企業の統治機構、意思決定プロセス、監査、内部管理の仕組みなど、企業経営の健全性を維持するための仕組みのことです。コーポレートガバナンスの目的は、企業経営の透明性や責任を確保し、株主の権利保護やステークホルダーとの信頼関係を築くことです。
コーポレートガバナンスにおいては、経営陣が株主の代表として企業を統治し社内の意思決定プロセスが透明かつ公正であることが求められます。また、企業が法令や倫理観に基づき適切な行動を取ることや、内部監査や役員報酬の適正化なども求められます。
コーポレートガバナンスコードの手法
コーポレートガバナンスコードには次のような手法が挙げられます。
- コンプライ・オア・エクスプレイン
- プリンシプルベースアプローチ
コンプライ・オア・エクスプレイン
コンプライ・オア・エクスプレイン(Comply or Explain)とは、上場企業がコーポレートガバナンスコードの受け入れを表明するために、ルールを遵守するかルールを守らない場合は説明を求めることです。ルールを守らない理由を十分に説明できれば、一部の原則を遵守しない場合でも許容される可能性があります。
ルールを守らず十分な説明をできない場合は、取引所規則が定める企業行動規範に違反することとなり実効性確保措置の対象となるのです。説明した内容が十分であるかどうかは株主や顧客などが判断することが一般的です。
コーポレートガバナンスコードを強制的に原則遵守するのではなく、ケースバイケースで原則を実施するべきでないことを説明できれば企業行動規範に違反しません。
プリンシプルベースアプローチ
プリンシプルベースアプローチ(Rule-Based Approach)は、企業がガバナンス規範に沿っているかどうかを証明することよりも、企業がガバナンスに関する原則に基づいた自己判断をおこなうことを重視する手法です。この手法では、企業はガバナンスの原則に沿っているかどうかを自己評価しその評価に基づいて報告することが求められます。
企業がガバナンス規範に従うことだけでなく、ガバナンスの原則に沿った自己判断をおこなうことが求められるため、企業が継続的に改善し長期的な価値向上を目指せます。また、企業が自己評価をおこなうことで、内部統制やリスクマネジメントを強化することが可能です。
自己評価によって、企業がガバナンスの原則に沿っているかどうかを自己判断するためその評価にバイアスがかかる可能性があります。企業によっては、ガバナンスの原則を曖昧に解釈し報告に偏りが生じることがあるのです。
コーポレートガバナンスコード5原則
コーポレートガバナンスコードは次の5原則が基準となっています。
- 適切な情報開示と透明性の確保
- 株主以外のステークホルダーとの適切な協働
- 株主との対話
- 取締役会等の責務
- 株主の権利・平等性の確保
適切な情報開示と透明性の確保
適切な情報開示と透明性の確保は、企業がステークホルダーに対して適切な情報を提供し、企業の意思決定プロセスや経営状況を透明化することが目的です。原則に基づき企業は、定期的に財務諸表や報告書を公表し適切な情報開示をおこなうことが求められます。
原則の主張は、ステークホルダーが企業の経営状況やリスクを正確に把握することができ、企業の信頼性が向上するということです。また、情報開示の透明性を高めることで、企業による不正行為や横領を防止することも期待できます。
株主以外のステークホルダーとの適切な協働
株主以外のステークホルダーとの適切な協働は、企業が社会的責任を果たすためにステークホルダーとの協力関係を構築することが目的です。この原則に基づき企業は社会的責任についての取り組みを公表し、ステークホルダーとの対話を重視することが求められます。
企業が社会的な期待に応えることで、ステークホルダーからの信頼を獲得し企業価値を高めることができます。また、ステークホルダーとの協働関係を構築することで、企業が社会的貢献を果たすことが可能です。
株主との対話
コーポレートガバナンスコードにおける株主との対話とは、企業と株主とのコミュニケーションを円滑におこなうことを指します。企業は、株主からの意見や要望を受け止め、切に反映することが求められているのです。株主は企業に投資をすることで、企業の成長や発展に貢献する一方で、その企業に対して期待や要求をします。企業は、株主からの意見や要望を受け止め、それを経営戦略に反映させることで、株主の信頼を得ることができます。
取締役会等の責務
コーポレートガバナンスコードにおける取締役会等の責務とは、企業経営に関する最高意思決定機関である取締役会が、企業価値の向上と社会的責任を果たすための責務を担うことです。取締役会は企業経営に関する重要な意思決定をおこなうため、企業の利益や株主の利益を考慮しなければなりません。また、取締役会は、企業内部のコントロールシステムを構築し、不正行為やコンプライアンス違反の防止にも取り組む必要があります。
株主の権利・平等性の確保
株主は企業のオーナーであり、その投資によって企業が成り立っています。したがって、株主は企業経営に対して積極的に関与し、企業価値の向上を図ることが求められるのです。コーポレートガバナンスコードは、株主の権利と平等性を確保することで、企業経営の透明性と公正性を確保することが目的です。
株主に対する権利とは、企業経営に対する意見を述べることや、重要な決定に対する投票権を含んでいます。株主は、企業経営に対して積極的に関与することができるよう企業から適切な情報開示を受ける権利を持つほか、株主の投票によって企業の経営に直接的に参加できます。
コーポレートガバナンスコードは、株主の権利を平等に保障することも求めているのです。株主の権利が不平等になると、少数の株主が過度な影響力を持つことになり、企業経営の公正性が損なわれることがあります。そのため、コーポレートガバナンスコードでは、株主に対する情報開示の義務や、株主総会の運営方法などが明確に定められています。
まとめ
企業が経営するにあたって公正な運営や判断がされるように統制する仕組みがコーポレートガバナンスです。コーポレートガバナンスを提示することでステークホルダーの利益を守ることが目的です。コーポレートガバナンスコードは、コーポレートガバナンスを実現するために金融庁と東京証券取引所がとりまとめたものです。コーポレートガバナンスコードにて設定された原則を守ることで、企業はステークホルダーとの信頼関係を構築しやすくなります。