2023.07.04

協調投資(シンジケート投資)とは

協調投資(シンジケート投資)とは複数のベンチャーキャピタルが共同で同一企業に投資する方法です。協調投資をすることでリスクの軽減ができるので自社の利益向上につながるだけでなく、地域経済の活性化につながった事例があるように他社貢献もできる役割があります。

単独で投資をしようとすると自己資本で資金を用意する割合が多く、投資できる対象が限られてしまいますが、協調投資であれば他社と共同で資金を集めるので、単独よりも少ない資金で投資が可能です。

協調投資とは

協調投資(シンジケート投資)とは複数のベンチャーキャピタル(VC)が同一の企業に投資する方法です。他社と共同で投資をすることで、リスク軽減やスクリーニング効率化の効果があります。一方で利益を分配する必要があるので、リターンも減る側面もあります。

ベンチャーキャピタルは投資資金をIPOやM&Aで株式売買することでキャピタルゲインで利益を得ます。協調投資で収益を得るまでの流れは以下のように進みます。

  1. 投資先の審査
  2. 投資
  3. 経営支援
  4. 株式売買

投資先企業の経営者と面談や事業計画書、財務諸表などの確認を通じて、事業の強みや将来性を判断します。投資をすると決めて契約を結んだあとは、事業計画や上場を達成するための経営支援が必要です。例えば戦略の策定やコーポレートガバナンスの管理などを支援します。そして上場を達成した場合やM&Aの際に、株式を売却して利益を得ます。

協調投資をする理由

単独での投資ではなく協調投資が選ばれる主な理由は3つ挙げられます。

  1. リスクの負担軽減
  2. 投資機会の増加
  3. スクリーニングの効率化

リスクを分散することで損失するダメージが抑えられ、投資機会が増えれば自社の利益拡大の選択肢が多くなります。また、他社と情報を共有できて、自身の投資に対する知識と専門性が深まる効果もあります。

リスクの負担が軽減できる

スタートアップへの投資は、経営基盤が固まっていないことからリスクが高いのが一般的です。単独での投資となると失敗した場合の損失は投資額すべてになりますが、協調投資では出資額を分け合うことで損失が軽減できます。つまり、協調投資を選択することで投資の損失を抑えることができます。

投資の機会が増える

共同で出資する企業があることで、規模が大きくて参加できない案件にも投資が可能です。ベンチャーキャピタルの間でリスク分散ができるため、各々のベンチャーキャピタルで投資ポートフォリオを充実させることができます。つまり、協調投資をすれば投資金額の調達に融通が利き、投資案件の選択肢を増やすことができます。

スクリーニングの効率化

投資先企業のスクリーニングを単独でおこなうには時間と労力、経営知識が必要です。しかし、他社が知っている投資のトレンドや投資先の選考基準を共有することで、スクリーニングに費やす時間が効率化され精度を高めることができます。自身にはない情報を知ることでスクリーニングの効率化だけでなく、投資に対する知識と専門性が深まります。

協調投資の注意点

協調投資をすると他社と投資額を分担することで、利益の割合が減ります。また、投資後は他社と共同で経営に関与することになるので、ビジネスパートナーにふさわしいか判断する必要があります。

利益の割合が減る

リスクを抑えることはリターンが少なくなることを意味します。協調投資の場合では投資額を他社と共同で出すため、利益を分け与える必要があるからです。自社の取り分が減ってしまうことはマイナスですが、回収できなかった際の損失額を抑えられる利点があります。ローリスクローリターンを優先するかハイリスクハイリターンを求めるかで検討してください。

相性のいいベンチャーキャピタルを選ぶ

それぞれの企業が持つ強みをかけ合わせることで収益の見込みが高まることから、共同で投資するベンチャーキャピタルとの相性が大事です。専門にしている事業領域や投資をおこなうステージがベンチャーキャピタルによって決まっているので、お互いの強みを知るためにもコミュニケーションの場を設ける必要があります。

まとめ

協調投資(シンジケート投資)とは複数のベンチャーキャピタルが共同で同一企業に投資する方法です。協調投資によりリスク分散が可能になり、投資ポートフォリオの充実が可能になります。結果的に、投資金額の調達に融通が利くことになり、投資案件の選択肢を増やすことができるようになります。

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