2023.06.06

クッキーレスとは

クッキーレスとは、クッキーによる情報の取得が規制されることです。クッキーとは、閲覧したWebサイトやサーバーから発行されるテキストファイルであり、ユーザー情報が保存される仕組みです。しかし、近年ではプライバシーにおける問題があり、Googleでは2023年からサードパーティークッキーの利用を廃止しています。

サードパーティークッキーではユーザーの職業や興味関心、年齢などを行動履歴から推移できるほか、コンバージョンに至るまでのプロセスを正しく計測できることから計測に使われていました。今後はユーザーがアクセスしているファーストパーティークッキーや、クッキーを使わないデジタルマーケティング対策が求められています。

クッキーに対する規制

長年クッキー(Cookie)を使ってユーザーの行動データや情報を取得することで、マーケティング施策の効果測定やリターゲティングに活用しています。しかし、プライバシー保護の観点から国内外でクッキーを規制する動きが広まっています。

クッキーに対する規制は主に次の分野が挙げられます。

  1. 法律による規制
  2. 企業による規制

法律による規制

クッキーレスが起きた理由としてまず挙げられるのが法律による規制です。Web上での個人情報の漏洩や不正なデータ収集が問題となっており、ユーザーのプライバシーやデータ保護を目的として第三者データの利用が制限されました。

インターネット上での個人情報保護の観点から、クッキーなどのオンライン識別子も個人情報として扱われ、世界中で法律が制定されています。有名なものには、EUで2018年に施行されたGDPR(General Data Protection Regulation、EU一般データ保護規則)がありますが、米国のカリフォルニアでも同様の法律が施行されています。また、日本でも2022年4月1日に個人情報保護法が改正され、より厳しい規制が進んでいます。

これらの法律により、クッキーを取得する場合やデータ提供先で個人が特定できる可能性がある場合には、ユーザーの同意が必要とされます。クッキーの取り扱いに対して、厳しい規制が進んでいるため、企業は適切な情報提供や同意の取得をおこなうことが求められています。

EU域内の個人データ保護を規定する法として、1995年から現在に至るまで適用されている「EUデータ保護指令(Data Protection Directive 95)」に代わり、2016年4月に制定された「GDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規則)」が2018年5月25日に施行されました。
GDPRは個人データやプライバシーの保護に関して、EUデータ保護指令より厳格に規定します。また、EUデータ保護指令がEU加盟国による法制化を要するのに対し、GDPRはEU加盟国に同一に直接効力を持ちます。
引用:EU外国制度(PPC個人情報保護委員会)

企業による規制

次に挙げられるのが企業による独自の規制で、WebブラウザやOSの影響により、サードパーティクッキーの利用に制限がかかっている状況です。広告主やプラットフォーマーは、新しいアプローチや技術の導入などによりクッキーレスに適応することが必要です。

クッキーに代わる技術

クッキーレスにすることで、クッキーを使う場合と違いWebサイトへの訪問履歴を把握できません。そのため、ユーザーの行動履歴情報や属性情報を組み合わせた広告の配信がむずかしくなるのです。

さらに、クッキーレスではサードパーティークッキーが利用できないことから、リターゲティング広告を活用できません。ほかにはクッキーの保有期間が短くなることから、コンバージョン計測することがむずかしいなどクッキーレスにより従来通りのターゲティングができなくなります。そこでクッキー規制にともなって、活用される技術として次の点が挙げられます。

  1. Web接客
  2. ブラウザフィンガープリント

Web接客

サードパーティークッキーの規制が広まっていることから、自社のWebサイトに訪問したユーザーに会員登録や問い合わせなどをしてもらう施策を導入するケースが増えています。手段の1つとして挙げられるのがWeb接客です。Web接客を導入することで、チャットボットやポップアップを活用することでユーザーの興味を惹きつけられます。

ブラウザフィンガープリント

ブラウザフィンガープリントとは、ユーザーのブラウザとコンピュータに関するデータです。Webサイトが読み込まれる時に、Webサイトがブラウザに要求することで取得可能となる仕組みです。ブラウザの種類や使用言語、画面の解像度などの情報が含まれています。

銀行のWebサイトでよく利用されており、ユーザーがログインしたときにブラウザフィンガープリントを取得してログイン情報が前回と大幅に異なる場合は不正アクセスの可能性があると判断します。さらに、ユーザーの趣味や趣向に合わせたターゲティング広告にも活用することが可能です。

クッキーレスの対策手段

クッキーレスの対策手段として次の点が挙げられます。

  1. コンテキストターゲティング
  2. ファーストパーティークッキーの活用
  3. オウンドメディアの集客

コンテキストターゲティング

コンテキストターゲティングとはコンテンツをしているマーケティング方法です。Webページの上部に記載されているコンテンツを自動分析することにより、関連性の高い広告を配信する方法です。広告に合う情報を取得できない場合でも、ユーザーが興味を持つような広告配信をすることができます。

ファーストパーティークッキーの活用

クッキーが制限されるといっても完全になくなるわけではありません。制限が増えるのはサードパーティークッキーであり、ファーストパーティークッキーを活用することが可能です。ファーストパーティークッキーは企業がユーザーから直接入手できるデータであるため、許諾を得られれば問題なくマーケティングに活用できます。

ファーストパーティングのデータと登録されているユーザー情報を使って、行動計測をできる場合があります。

オウンドメディアの集客

オウンドメディアであれば広告に依存しないで集客の仕組みを構築することが可能です。ユーザーにとって有益なコンテンツを発信することで、ファンを獲得することにより商品やサービスの購入につなげることが可能です。中長期的に考える必要があり、コンテンツ充実をすることが求められます。

まとめ

クッキーレスとは、クッキーを使わないでオンライン広告を配信する手法です。ユーザーの属性情報や行動履歴などを集めるのではなく、IPアドレスやデバイスなどの情報を組み合わせることによって広告配信をします。長年オンライン広告の配信にはクッキーが使われてきましたが、プライバシーを侵害するとして世界各国で廃止の動きがあります。Googleでは2023年からサードパーティークッキーの利用ができなくなります。そこでユーザーのプライバシーを保護できるクッキーレスを活用する動きが広がっているのです。

Googleでは2023年からサードパーティークッキーの利用が規制されます。これはサードパーティークッキーを活用しているターゲティングの精度が悪化したり、コンバージョン計測が欠陥したりすることから広告効果が低下することにつながります。そこで、マーケターは従来通りのデジタルマーケティング手法ではなく、サードパーティークッキー規制を把握して対策をすることが必要です。

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