2023.04.27

シェアリングエコノミーの課題

シェアリングエコノミーは、CtoCにおいてのビジネスで手軽に取引できることから需要が高まっています。しかし、法整備が進んでおらず、安全性や補償においての課題もあります。個人が取引をするため信頼性の担保がむずかしく、トラブルや事故にあった場合には現在の保険では対応できないことが少なくありません。

シェアリングエコノミーの安全性における課題

シェアリングエコノミーにおいて、安全面において次のような課題が挙げられます。

  1. トラブルが起きるリスクが高い
  2. 労働基準法が適用されない
  3. サービス格差がある

トラブルが起きるリスクが高い

シェアリングエコノミーにおいて大きな課題が、トラブルのリスクが高い点です。2023年2月現在では、シェアリングエコノミー全体的に規制している法律はありません。民泊新法が出来たばかりですが、ほかの分野においては法整備が追いついていない状態です。

法整備が設定されるまで、それぞれのビジネスモデルに関連する法規制を確認することでトラブルを防げるように対策することが重要です。一般社団法人シェアリングエコノミー協会をはじめとして、法律の適用を進めるような声が上がっており、今後法規制が強化される可能性があります。

労働基準法が適用されない

シェアリングエコノミーにおいては、セーフティーネットの対象となっておらずトラブルが起きた場合は自己責任となります。例えば、Uber Eatsの配達員に対しては労働基準法が適用されておらず、問題となっているのです。しかし、配達員が労働組合であるUber Eats Unionを結成して、労災補償や報酬などの労働条件改善を企業に要求しています。このように、各企業において労働環境について取組を進められれば、より安心してシェアリングエコノミーを活用した働き方がしやすくなります。

サービス格差がある

シェアリングエコノミーにおいては、企業はプラットフォームを提供しているだけです。そのため、モノやサービスなどを提供する人によってサービス格差があります。プラットフォームにおいてはレビュー機能や評価機能があることから、提供者に対して判断材料の1つにすることは可能です。

シェアリングエコノミーにおける法的な課題

シェアリングエコノミーにおける課題として、次のように法的に整備されていない点が挙げられます。

  1. 補償制度がが十分でない
  2. 課税漏れにつながっている
  3. 取引をする人の信頼性が確認できない

補償制度がが十分でない

シェアリングエコノミーでは、プラットフォームのサービスをしている企業が手続きの仲介をします。しかし、あくまで企業がおこなうのは仲介までであり、取引は個人同士でおこなうことが一般的です。その為、補償制度が十分ではなく取引においてトラブルが起きた場合に保証の範囲や責任の所在などが明確でない可能性があります。

今後さらにシェアリングエコノミーの市場が拡大していくためには、安心して利用できるような保証制度の整備が求められます。個人同士での保証には限界があることから政府や業界などが積極的に保証制度の整備に加わることが必要です。

課税漏れにつながっている

シェアリングエコノミーは、普段使っていない場所やモノ、またスキルなどを使って報酬を得られるため副業や新しい働き方として始めるケースが一般的です。しかし、気軽に始められることから課税が漏れてしまっていることがあります。新しく参入した人が多いビジネススタイルであり、税制面での決まりが十分ではありません。政府においてシェアリングエコノミーに対する課税対策が進められていますが、明確とはいえずシェアリングエコノミーが今後より普及するために大きな課題となっています。

取引をする人の信頼性が確認できない

シェアリングエコノミーは個人と個人の間での取引をするため、本人確認が重要です。取引をする際に身分証明書の提示をしてもらったり、公的機関を通した届出をする仕組みを作ったりするなどの対応が求められます。シェアリングエコノミーを安心して利用するためには、取引に関連する人の信頼性を確保することが必要です。

シェアリングエコノミーの課題対策

シェアリングエコノミーのおいて、法整備ができていない、信頼性の担保がむずかしいといった課題に対して次のような対策方法が挙げられます。

  1. 安全面において配慮をする
  2. 利用時に十分な確認をする
  3. 怪しいと感じるサービスは利用しない
  4. シェアリングエコノミーの保険を活用する

安全面において配慮をする

シェアリングエコノミーにおいて、個人と取引をしたり個人の所有物をシェアすることに対して抵抗感を持つ人もいます。そのため、シェアリングエコノミーのメリットを周知する以外にも、安全面において配慮をすることが重要です。例えば、取引前にお互いを確認したり、トラブルがあった場合の対処方法などを明確にする必要があります。

利用時に十分な確認をする

シェアリングエコノミーを利用する場合は、相手の情報や取引内容、受け渡し方法などを十分に確認をすることが重要です。シェアリングエコノミーでは、お互いの信頼性を確保することがむずかしく、結果的にトラブルになりやすいリスクがあります。そのため、取引をする前にお互いの確認をするなど、注意をすることが重要です。

怪しいと感じるサービスは利用しない

シェアリングエコノミーに限らず、少しでも怪しいと感じるサービスは利用しないことが一番の対策方法です。取引内容がよくても、提供者が信頼できないとサービスを利用しない方がリスクを防げます。相手の情報は口コミや評価などで確認できる場合もありますが、情報がない場合も少なくありません。

相手に認証マークがあれば、シェアリングエコノミー協会が作っている自主ルールを満たしていることになり、安全性を判断しやすくなります。いずれにおいても、少しでも不安を感じた場合は取引をしないことがリスク防止になるのです。

シェアリングエコノミーの保険を活用する

従来の保険では対応できない場合がありますが、シェアリングエコノミー向けの保険があります。三井住友海上では、シェアエコプロテクターとよばれるシェアエコノミー向けの保険があり、カーシェアによるトラブルをはじめとして5分野が保険対象に含まれているのです。

(1)幅広い補償:プラットフォーム事業者を加入者として、プラットフォーム事業者・サービス提供者・サービス 利用者が負う賠償責任を総合的に補償。
(2)幅広い分野の事業に対応:シェアエコ5分野(移動、空間、スキル、モノ、お金)のうち、従来引受対象としていた空間、スキル分野に加えて、新たにライドシェア等の移動分野の事業も引受対象とする。また、今後さらに引受分野の拡大を検討予定
引用:シェアエコプロテクターについて(シェアエコノミー協会)

まとめ

シェアリングエコノミーは、個人間の取引をする特徴がありモノや空間、移動など5分野において展開している新しいビジネスです。気軽にやり取りができたり安価での取引が可能であるため、近年需要が高まっています。

しかし、個人でのやりとりである点や近年出来上がったビジネススタイルであるため、法規制が十分でなく安全であるとはいえません。政府やシェアリングエコノミー協会は、安全に取引をできるような取り組みをしていますが現状課題が残っているのです。

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