2022.07.28

パーパス経営の課題

パーパス経営とは企業の存在意義に主軸を置いた経営方針のことです。パーパスを実現することで消費者からのロイヤリティ向上が期待でき、企業の成長の促進につながります。

さまざまな企業から注目を集めるパーパスですが、一筋縄ではなく、越えなければならない壁や課題は数多く存在します。パーパス経営を成功させて企業の売上をアップさせるためには、従業員へパーパスを浸透させる、パーパスを独自の内容にするといったポイントをおさえる必要があります。

パーパス経営とは

パーパス経営とは企業が存在する意義を中心に考えた経営方針のことです。パーパス(Purpose)は目的や意図を意味しており、ビジネスにおいては企業の存在意義といった言葉として使用されています。企業が単に売上を上げることを目標に業務へ取り掛かるのではなく、事業拡大に向けて活動した結果が、社会への貢献になることが望ましいとされています。

パーパスは世界中の企業で掲げられており、社会への貢献度を示す1つの指標として認知は拡大中です。大手企業をはじめ、あらゆる企業でパーパスは取り入れられ、独自の魅力を世間に伝えています。

パーパス経営の特徴

パーパス経営の成功が実現することで、ロイヤリティやブランド価値の向上、信頼度の増加などが期待できます。その結果、企業は利益を上げることにつながるため、パーパスを掲げるメリットは多々あります。

しかし、パーパス経営は万能ではなく、すべての企業が成功をおさめられる訳ではありません。企業がパーパスを掲げたとしても顧客側に価値を感じてもらいにくく、パーパスを浸透させることはむずかしいです。そのため、課題のクリアやポイントを意識した施策が必要です。

パーパス経営が注目を集める背景

パーパス経営が注目を集める理由として、持続可能な社会が求められる時代になったことが挙げられます。現代では、地球温暖化による気候変動や災害、モノの消費による環境破壊や汚染などを多くの方が問題視しており、世界規模で注意喚起の声が挙がっています。

顧客から支持を集めるには持続可能な社会への活動が重要です。社会への配慮を意識しない取り組みは信頼や関心を失うことにつながります。パーパスは社会への貢献度を示す指標となるため、意識度の低い活動による顧客離れを避けることができるはずです。

パーパス経営における課題

パーパス経営において企業が抱える課題は次のとおりです。

  • パーパスの定義を勘違いしている
  • パーパスを実現できてない
  • 社員への浸透が不十分である

パーパスの定義を勘違いしている

パーパスの定義を勘違いしている企業は少なくありません。パーパスは持続可能な社会へ向けた取り組みを示すものです。しかし、社会へ貢献するだけでは顧客や従業員から関心を持ってもらうことはむずかしいはずです。

パーパスを掲げる際は、自社の活動内容により社会や環境がどのように変化するのかを消費者や株主に伝える必要があります。多くの方から支持を得るためには、企業の存在によって社会に良い影響を与えると、明確に伝えることが求められています。

パーパスを実現できてない

パーパスを実現できないことも企業が抱える課題の1つです。より多くの人から期待を集めようと、大きな目標を掲げてしまうケースも考えられます。

パーパスを掲げたとしても、活動内容や行動が言葉にともなっていないと、信頼や人気は低下するはずです。実現が不可能なパーパスを掲げるのは避けるべきであり、達成できる範囲内での目標設定が重要です。

社員への浸透が不十分である

経営陣がパーパスを重要視するのは、企業の成長を促進するうえで必要な要素といえます。しかし、従業員への一方的な情報発信でパーパスの良さを伝えたところで、全員がパーパスへの取り組みに本腰を入れるかどうかは不安が残ります。浸透させる手段として挙げられるのが、従業員一人ひとりとコミュニケーションを取ることです。

パーパス経営を成功させるポイント

パーパス経営を成功させるポイントは次のとおりです。

  • 社会への貢献度をパーパスに掲げる
  • 実現可能な内容にする
  • 社員へパーパスを浸透させる
  • 独自のパーパスを示す
  • 潜在的な課題解決を目指す

社会への貢献度をパーパスに掲げる

パーパスを掲げる際にもっとも重要な要素は社会への貢献度を示すことです。自社の売上しか考えず、社会に悪影響を与える企業を応援したい方は少ないはずです。企業の活動によって社会にどんなメリットがあるのか、明確に企業の存在意義を示す必要があります。

実現可能な内容にする

パーパスは実現できる内容に設定します。企業にとって信頼や人気は重要であり、売上を左右するものです。社会に貢献すると言葉を発しただけで、行動に移さなければ信頼を失うことにつながります。

パーパスを掲げたうえで、どのように実現していくかを考え、実行に移すべきです。その結果、多くの方から関心が集まるため、パーパスの実現には無理な目標設定に注意するべきです。

社員へパーパスを浸透させる

パーパス経営を成功に導くためは従業員へパーパスを浸透させる必要があります。企業は従業員の働きによって稼働しているので、パーパスを意識して業務に取り組むことが、より良い活動につながるはずです。

しかし、従業員へパーパスを浸透させるのは簡単ではありません。浸透させる手段として、個別でのコミュニケーションが挙げられます。会話のなかで従業員が持つ自身の価値観に気付き、企業が掲げるパーパスとの関係性を確認できます。

独自のパーパスを示す

社会に貢献するという内容だけのパーパスでは、人から関心を集めることはむずかしいです。ロイヤリティを向上させるためには、独自の強みをパーパスに掲げる必要があります。

パーパスは差別化でも大きな役割を果たすため、オリジナル要素の強い目標を掲げ、企業の存在意義を示すべきです。他社とパーパスの内容がかぶっていると存在意義が薄れてしまいます。

潜在的な課題解決を目指す

パーパスでは潜在的な課題を発見し、解決をすることもポイントの1つです。潜在課題を発見するためには、さまざまな視点でものごとを考える、顧客の意見を取り入れるなどがおすすめです。しかし、企業側が潜在的な課題を発見しても、顧客自身に気付かせる必要があるので効果的な施策を考える必要もあります。

日本と欧米の違い

日本と欧米の企業における違いは仕組み化できるかどうかです。欧米の優れた企業は、個人が磨いたスキルを組織の仕組みに落とし込むので、ビジネスのスケール拡大とそのスピードが早い傾向にあります。そのため、パーパスの実現も早いはずです。

一方で、日本の企業は個人が磨いたスキルをうまく仕組み化できていないので、個人の技量に頼ってしまう場面が多々あります。パーパスを実現するには、欧米のように個人の技量を組織の仕組みに落とし込み、消費者や従業員にパーパスを浸透させる必要があります。また、世界の市場で戦うためには日本企業は独自のパーパスを掲げ、取り組みを進めるべきです。

まとめ

パーパス経営とは企業が存在する意義を軸に考えた経営戦略を意味します。現代では、気候変動や環境破壊が問題視されており、世界中で持続可能な社会が求められるようになっているため、パーパスは注目を集めています。

パーパスにおいて企業が抱える課題は多々ありますが、社会的意識のない活動は顧客からの信頼や関心を失うはずです。そのため、社会貢献度を示す、独自性のある内容を掲げるといったポイントを意識して、パーパスを実現させる必要があります。

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