2022.09.21

データドリブン経営の事例

データドリブン経営とは、データを蓄積して分析することで経営戦略や人員配置などの意思決定をおこなう経営手法の1つです。データドリブンが登場する前からデータを活用して意思決定をしていたのですが、デジタル化が進む現代において扱うべきデータが増え、より精度の高い情報収集が必要になりました。

さらに、インターネットやスマートフォンの普及によりユーザーの行動が変化し意思決定の難易度が上がっています。そこでより高い精度で分析をできるデータドリブンが誕生しました。

データドリブン経営とは

データドリブン経営とは経営者の勘や経験に頼ることがなくデータを蓄積して分析することによって経営戦略に活かすことをいいます。インターネットやスマートフォンが普及したことによって、ユーザーの価値観や消費行動は大きく変化し必要なときに必要なものを選べるようになりました。このため、リアルタイムにユーザーの課題やニーズをつかむ必要性が高まったのです。

さらに、インターネットを使って商品を購入することによってこれまで以上にユーザーの行動情報を得られるようになりました。膨大なデータをどう活かすかが、ビジネスを成功させるための鍵となっています。

データドリブンによって得られる情報

データドリブンを進めることによって、どのような情報を知りたいのかを明確にすることが重要です。例えば、商品の売り上げが増えない場合や商品に問題がある場合のほかにユーザーが求めているものとは違う可能性もあります。単にデータ分析をするのではなく、現在企業が抱えている課題の把握のほかに、データ分析をすることでどのようなことが解決できるのかをあぶりだすことが重要です。

データドリブンによって得られるものには、次のような情報があります。

  1. ユーザーのニーズ
  2. 社内環境
  3. 業績

ユーザーのニーズ

インターネットやスマートフォンが普及していることから、ユーザーはさまざまな情報を得ることができます。そのため、ユーザーごとのニーズをリアルタイムに把握することがビジネスを成功させるうえで重要です。データドリブンを進めることにより、ユーザーがどのような商品を求めているのか、どのような課題を解決しようとしているのかなど把握することができます。

どれだけ良い商品であってもユーザーのニーズに合わなければ売り上げが上がることはありません。ユーザーのニーズや課題をつかむことはビジネスにおいてもっとも重要なことの1つです。

社内環境

業務の効率化やそのほか従業員の企業に対しての貢献度など、社会環境をデータとして分析できます。例えば、1つの業務に対して費やす時間や売り上げ、会員獲得などの結果につながっているかなど従業員の行動履歴を把握することが可能です。さらに、従業員の企業に対してのニーズを把握することでモチベーションを高めることで離職率を下げることができます。

業績

売上データや営業活動のデータ、そのほか業績の分析をおこなうことができます。単に業績を分析するだけでなく、商品一つひとつに対してなぜ売れるのかといったところまで追求します。さらに、売れる理由の要因となっているのが地域柄なのか商品の特徴なのかといった詳細まで分析をすることで、安定して業績を上げることにつなげることが可能です。

データドリブン経営を実現させるための課題

データドリブン経営を実現させるために、次の課題を解決する必要があります。

  1. 不明確な指標
  2. データのサイロ化
  3. 時間をかけ過ぎないこと

不明確な指標

データドリブンは莫大なデータを扱うので、目標が定まっていないと効果的な分析ができなくなります。目的によって使うべきシステムやツールが異なるため、目標が不明確であれば準備ができなくなります。さらに、従業員がデータドリブン導入の意図を理解していないと十分なデータ分析をすることはできません。

データのサイロ化

データのサイロ化とは、部署ごとでデータを扱っている場合、部署間にてデータ共有にへだたりのあることにより連携をできていない状態をいいます。このような状態であれば、企業全体でデータ活用をすることがむずかしく、企業で統一してデータ管理をすることから始めなければいけません。企業内で統一してデータ管理することはDX(Digital Transformation 、デジタルトランスフォーメーション)の推進にもつながります。

時間をかけ過ぎないこと

データドリブン経営を成功させるためには、スピーディーに進めることが重要だと考えてください。市場やユーザーニーズは常に変化しているためデータ分析をすべき内容が違うものになる可能性があります。全部署の管理を一括でおこなう準備をしっかりする必要がありますが、計画立てはスピーディーにおこなうことが重要です。

データドリブン経営の事例

データドリブン経営には次のような事例が挙げられます。

  1. NTTドコモ
  2. INSIGHT LAB
  3. 日清食品
  4. ソフトバンク

NTTドコモ

NTTドコモでは顧客管理システムや料金システム、会計人事システムなどさまざまなシステムを利用しています。それぞれのシステムはリアルタイムに処理されることにより完全に同期することが可能です。すべてのデータを可視化したものがNTTドコモにおけるデータドリブン経営の基本となっています。

これまでは集計されたデータだけを見ていたのを、集計される前のデータを活用して課題解決を発見し、さらに顧客への理解をより深めています。

参考:NTTドコモがHANAとTableauで構築した「データドリブン経営」のための可視化プラットフォーム(ITLeaders)

INSIGHT LAB

INSIGHT LABではさまざまなツールを使って業務管理をおこない、それぞれの部署においては業務スピードを上げることに成功しました。しかし、企業全体としてはデータ集約がしにくい状況でさまざまな課題をかかえる状況だったのです。そこで、ばらばらに管理していたデータを集約しデータドリブン経営を進めることにより、利益率の高い案件を増やすことに成功しました。

日清食品

これまでカップラーメンは、若者が食べるものと認知されており60歳以上の購入者が少ない状況でした。そこで、アクティブシニアとよばれるSNSをはじめとして情報を発信しているサービスに着目し、分析をしたところ、豪華な食事の画像が多く投稿されていることがわかりました。

そこで日清食品ではフカヒレやスッポンなどの贅沢な食材を使った商品を打ち出すことで60代以上の方にも売れるようになり、販売してから7か月で140万食以上売り上げを達成できました。

ソフトバンク

ソフトバンクでは、繋がらずに困っているといったユーザーからのフィードバックが多くありました。そこで、地域や時間帯ごとの接続率を分析し電波改善をおこないました。実際に大手携帯会社3社の端末から通信状況を収集し、これらのデータを活かして地域データとよばれるマーケティングデータを活用した例です。

まとめ

データドリブン経営は経営者の経験や勘に頼るのではなく、さまざまなデータを活用して意思決定をすることをいいます。インターネットやスマートフォンが普及したことにより、ユーザーはインターネット上で商品を検索したり購入したりするケースが増えました。

そのため、ユーザーの行動情報を収集しやすくなっています。さらに、データを分析するためのツールが増えており、ビッグデータをどのように活用するのかがビジネスにおいて重要なポイントの1つです。

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