- 経営戦略
BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)とは
BPR(Business Process Reengineering)とは業務改革をおこない、全体的に改善することを意味します。多くの企業では業務をスムーズに進行させるため、定期的な業務の見直しや改善をおこなっています。しかし、近年では業務プロセスを根本的に考え直し、抜本的な業務改革が重要視されるようになりました。
国内における労働者人口の減少やIT技術の進化により、これまでの業務プロセス全体の見直しや改善が不可欠となってきている背景があるためです。BPRを実施してビジネスを成功させるためのルールを構築し、新しいプロセスをつくることが求められています。
BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)とは
BPR(Business Process Reengineering)とは、直訳すると仕事の手順を再構築する意味であり、業務プロセスの抜本的な業務改革をおこない、全体的に改善することです。BPRの実施によって既存のルールを見直し、ビジネスを成功させるためのルールやプロセスをつくりあげます。さらにBPRの効果を高めるためには従業員の意識改革やシステムの導入なども重要です。
BPRの重要性
少子化に伴う労働者人口の減少は深刻な社会問題となっており、多くの企業では既存のプロセスで事業を継続していくには困難な時代がやってきます。また、労働者人口の減少という課題を踏まえ、政府からも各企業や自治体、あらゆる業種や業界にDX推進が求められており、古い業務プロセスの抜本的な変革は避けられません。さまざまな背景からBPRが大きく注目されており、重要視されています。
ERPとの関係性
ERPとはひとつのシステムに複数の業務を搭載でき、BPRに取り組むうえで最適なシステムです。ERPによってこれまで部門ごとに構築してきたシステムを一元化し、部門間の情報可視化が実現することで迅速な意思決定や業務効率化が実現可能です。BRPは企業の情報戦略に欠かせないシステムであり、ERPを組み合わせることでEPRの効果は非常に高まることが期待できます。
BPRを活用するメリット
BPRを活用するメリットは次のとおりです。
- 業務効率化
- 従業員満足度の向上
業務効率化
BPRに取り組む際はシステム導入の検討が必要ですが、その分ムダな業務が減り、業務効率化につながります。業務改革や改善でもっとも重要なのはムダを省くことです。
そこでシステムを導入することで単純作業を減らしたり、業務を統合・分離したりすることが可能となり、ムダをなくして効率化が実現できます。システム導入には費用がかかりますが、投資対効果は非常に高く、組織のリソースを重要な業務に集中させることで生産性の向上にもつながります。
従業員満足度の向上
BPRにおける業務効率化によってムダな業務が省けるため、従業員の負担も減り、従業員満足度の向上につながります。業務効率化による従業員満足度の向上は、フリーランスや業務委託といった働き方が多様化された現代において、優秀な人材の確保につながる大きなメリットです。BPRに取り組むうえで従業員のニーズを捉えることも重要であり、従業員のモチベーションが上がることで一人ひとりの生産性向上も期待できます。
BPRの実施方法
BPRの実施は次の手順でおこないます。
- 検討
- 分析
- 設計
- 実施
- モニタリングと評価
検討
まずはじめに目的や目標の設定です。現状の業務プロセスを可視化して洗い出し、改善点などを挙げてもらいます。情報を整理して現状を把握したうえでゴールを明確化し、組織全体に周知することが重要です。BPRの対象業務の範囲は特定の部門に限定して小さく始める企業もありますが、基本的には全業務でおこない、各部門に専任と兼任の担当者を配置します。
分析
目的や目標を踏まえ、挙げられた問題に対してどのように改善すべきかを分析をしていきます。分析をおこなううえで、次のステップの設計にスムーズにつなげるためには分析ツールやフレームワークの活用が有効です。現場の従業員に対しても提案を促し、責任を持たせることによってモチベーションの向上につなげます。
設計
分析後は改善に向けた戦略や方針の策定です。業務を細かく分析することによって優先順位がつけやすく、優先度の高い順に施策の策定がしやすくなります。従業員に対しての研修や教育マニュアルの策定もおこない、全体的な意識改革が必要です。ノンコア業務についてはアウトソーシングなどの活用も検討します。
実施
施策が決定したら優先順位やリソースを踏まえて新しいプロセスの実施です。検討で設定した目的や目標を意識しながら取り組み、各部門の担当者は常に現場で活動し、従業員にBPRを根付かせます。
モニタリングと評価
新しい業務プロセスを実施後、最後のステップはモニタリングと評価です。各部門の担当者、現場の従業員へのヒアリングなどをおこない、問題の有無を確認します。BPRをおこなうには時間がかかりますが、最後のステップまでしっかり取り組み、組織強化や業務効率化を継続することが重要です。
BPRに役立つフレームワーク
BPRに役立つフレームワークは次のとおりです。
- ECRS
- ABC
- シックスシグマ
ECRS
ECRSとは、次の4つのステップからなり、業務のムダをなくして効率化を目指すフレームワークです。
- 排除
- 統合
- 交換
- 簡素化
まずはもっとも重要なポイントであるムダな業務の排除を検討し、次に類似の業務の統合や業務の組み換え、IT製品への代替案などを検討します。最後に業務をできるだけ簡素化する方法を検討し、完了することで適切な優先順位で業務改善が実現可能です。
ABC分析
ABC分析とは製品の売上げ、コスト、在庫などの指標から重視する順にA、B、Cとランク付けをし、効率的に管理するための手法です。特に在庫管理において効果を発揮し、在庫の過不足を防ぎます。ABC分析では直接業務にかかわる直接費ではなく、光熱費や消耗品など、各製品に共通して消費している間接費のムダをなくすことに有効です。
シックスシグマ
シックスシグマとは定義(Define)、測定(Measure)、分析(Analyze)、改善(Improve)、管理(Control)というDMAICの5つのステップからなる、業務におけるミスやロスを減らすためのフレームワークです。まずは顧客の不満点から課題を明確にし、取得データから現状を把握します。課題の原因を探り、改善策を検討後に実行、定着させていくという取り組みです。
もともとは製造部門での統計学を応用した手法でしたが、現在ではさまざまな部門で適用されており、フレームワークを循環させることで製品やサービス品質のバラつきを抑え、クオリティを高く一定に保つことが可能となります。
BPRを実施する際の注意点
BPRを導入する際の注意点は次のとおりです。
- システム導入によるコスト増加
- 従業員の意識改革が重要
システム導入によるコスト増加
BPRの取り組みには必要なシステムを導入することでコストがかかるケースがあります。現在の業務を自動化、簡素化するにはシステム導入が不可欠となるため、初期費用やランニングコストがかかってしまうのは仕方ありません。しかし、システムに対するコストよりも業務効率化による生産性の向上が見込まれるのであれば、投資対効果は十分といえます。
従業員の意識改革が重要
BPRの取り組みには従業員の意識改革が重要ですが、日々の業務に追われている従業員に対し、時間を与えずにただ業務プロセスの見直しや改善を求めても効果はありません。BPR導入の目的やどのような効果があるのかをしっかり説明し、従業員がBPRに取り組める環境をつくる必要があります。研修や教育によって従業員の意識を高め、一丸となって取り組むことによって継続的なBPRが実現するのです。
まとめ
EPRとは業務全体のプロセスを見直し、再構築することです。BPRを実施するには組織全体で取り組む必要があるため時間もかかりますが、業務効率化や従業員満足度の向上により、生産性の向上につながるというメリットがあります。
一方で、労働者人口の減少による人材不足の問題やムダな業務をなくして効率化するためにはシステム導入などの検討も必要です。今後、事業を継続するうえでBPRのような抜本的な業務改革は不可欠であるといえます。